踊り子。
猫野 尻尾
第1話:北条 きらり。
まじでお試しで投稿したので続けるかどうか思案中です。
まるでそれは絵空事のような話。
俺は某中小企業に勤めるいちサラリーマン。
「
だから安アパートで一人暮らし。
趣味は仕事から帰るとゲーム、あとは週末に釣りに行くくらい。
ある日、俺の誕生日の日、会社の同僚から
「誕生日ならええとこ連れてったるわ」
って言ってストリップを見に連れて行ってもらった。
その同僚は時々、劇場に足を運んでるみたいだ。
俺はストリップなんてはじめて。
だからまあただの男として、踊り子さんの裸を拝みに行くってスケベ心だけ
で同僚について行った。
劇場に向かうタクシーの中で同僚が得意げに言っていた。
いま、もっともダンスが熱い状況を呈しているがストリップ劇場なんだって。
失われゆく昭和遺産なんてノスタルジックに語られがちなストリップだけど、
いつの間にか無数の個性的な「踊り子」たちの表現が炸裂するアリーナへと
変貌しているんだそうだ。
そう言われても見たことない俺には、さっぱり分からない。
到着した劇場は「銀河系ショー劇場」
ネーミングからして古そう。
いつから営業してるんだろうってくらい少し古ぼけた建屋だった。
もちろん18歳未満は入場できないわけで俺は同僚とチケットを買って
劇場内へ入った。
すでにショーは始まっていて色とりどりのスポットを浴びた踊り子さんが
ステージで舞っていた。
踊り子さんたちの演目は基本的に約15分ほどで次の踊り子に入れ替わる。
俺はスケベ心だけでストリップを見に来たが、その気持ちはステージで舞う
踊り子さんたちを見て下世話な考えだと知った。
そこにあるのはエロだけじゃなく明るく楽しむ開放的なダンスの中に肉体労働的
な本質があった。
と言うのも笑顔で踊る踊り子さん、15分フルに踊りきったその体は高揚して肩で
息を切らしていた。
顔で笑って・・・みたいな・・・ハ〜ハ〜息をしている。
その光景を見た俺はスケベ心などどこかへ行って完全にストリップにハマった。
ストリップというより踊り子にハマったんだ。
それから俺は頻繁に劇場に足を運んだ。
そして数人の踊り子の中で俺が一目惚れしたのが「北条 きらり」って踊り子。
本名は、のちになって分かったけど、この子が俺のマストになった。
もちろんきらりには多くのファンがいたから俺はそのファンの中の
ひとりだった。
それから俺はきらりに会うために取り憑かれたように毎日、劇場に通った。
そしてきらりに花籠を贈りプレゼントを贈った。
毎日通い続けて約一ヶ月経った頃だった。
ショーが全て終わって帰ろうとした時、俺は誰かに呼び止められた。
振り向くと、なんとそこにきらりがいた。
「お兄さん・・・毎日来てるよね」
「あ、きらり・・・さん」
「そうですけど・・・え?なんで俺が毎日来てるの知ってるんですか?」
「ステージから客席見てたら分かるもん」
「あ〜今夜も来てるって思って・・・」
「そうですか・・・あの俺、あなたのファンなもので・・・」
「お花やプレゼントありがとう、お兄さんでしょ?贈ってくれてるの」
「はあ、勝手に贈っちゃってご迷惑じゃなかったですか?」
「嬉しかったよ」
「贈り主の名前ないから・・・でもきっとお兄さんからだって思ってた」
「よかったらお名前、教えてよ」
「あ、俺「
「そう・・・よしむらさん、ありがとう」
「また来てね・・・それじゃ〜ね、ばいばい、気をつけて帰ってね」
きらりの歳はまだ分からないけど、俺とさして変わらないくらいの
年齢なんだろう。
それからしばらくして俺はきらりに楽屋に呼ばれた。
常連のファンのひとりだと認めてもらえたんだろう。
きらりはステージでの派手な化粧を落としたスッピンも可愛いかった。
こんなところで俺のタイプの子に巡り合えるとは・・・。
きらりの楽屋に呼ばれた俺はその晩、興奮が収まらず眠れなかった。
一目惚れした彼女に声をかけてもらった。
俺は蛇に睨まれたカエルみたいに固まってろくにきらりと話をすることすら
できなかった。
そして、きらりの本名が分かった。
本名は「
劇場と楽屋に通っているうちに俺と比奈乃は自然と惹かれ合って行った。
そんな訳で彼女に俺の想いを告白することなく俺にストリップの踊り子の彼女
ができた。
って訳で今のアパートに比奈乃を招待したくなかった俺は新しいマンションを
借りることにした。
そしてお互い節約もあって同棲をはじめた。
そこから発覚して行く彼女の辛くて悲しい過去。
比奈乃は自分の過去のことについて俺には包み隠さず話してくれた。
まあ、人にはそれぞれ他人には言えないこともある。
だから彼女の過去のことは俺は口を継ぐんだまま棺桶の中に持って行こうと
思っている。
普通の素人の子が好きで踊り子になったわけじゃないとは思ってたけど・・・。
そして劇場で踊っているかぎり付いて回るたくさんのきらり「比奈乃」のファン。
追い払う訳にはいかない。
そんなファンに対する俺のちょっとしたジェラシー。
まあ、比奈乃がストリップを辞めないかぎり静かな生活は望めないかもしれない。
比奈乃はファンがいるかぎり、おばあちゃんになってもストリップは続けて
たいって言った。
この先、年齢的にどうなの?って思ったけど、そんな野暮なことは言えないから
俺は賛成してやった。
ステージにいる彼女は、きらりは輝いている、だから踊り続けたほうがいいんだ。
俺は比奈乃を愛してるし、心から愛おしい・・・彼女は俺にとってなくてはならない
世界で一番可愛い存在。
まあ、これからも紆余曲折あるだろうけど、ふたりで力を合わせて幸せを掴んで
行こうな比奈乃・・・。
今日もステージで踊る比奈乃に会いに劇場に足を運びながら俺はそう誓った。
おしまい。
踊り子。 猫野 尻尾 @amanotenshi
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