第6話
味噌汁を飲み干して、ふと、春先っていいな、と思った。最近食欲が暴走気味だったのは、悪魔的に丁度良い天候のせいなのかもしれない。『食欲の春』とでもいう感じか。
それなら、『芸術の春』なるものもあるのでは?だとしたら、優も仕事が捗っているかも。小説と絵が仕事な訳だし。私と違って、顔出しどころかインタビューもまず受けないタイプだけど、私にだけは進捗や作業の様子が逐一送られてくる。春が彼に創作の力を与えれば、制作が進めば、連絡の頻度も増して私得なのだ。そして私は届いたそれらを褒め倒す。ふたりきりの時間。
口角が知らず知らずのうちに上がる。軽やかな手つきでキッチンの側の冷蔵庫を開け、ご飯達を視界に収める。勝利BGMをハミングしつつ、それらをテーブル上に運ぶ。
そういえば、先程片付けたゴスロリを着た私の一番のファンは、間違いなく彼だ。あのとき弟に、LINEで私の戦闘服を絶賛された。それを纏えば、見ていてくれているように思える。最強の私になれる。だから、私は戦えている。実は、当時のやりとりのスクショを保存して、ことあるごとに見返しているのは別の話。
…顔が熱くなってきた。ともかく。いただきます。隣に置いてくれた魚やご飯も完食して、ちょっと休憩したら。今日は…そうだ。
比較的大会が近い、フォートナイトにしよう。今日やったゲームとは違って、ようやく全国レベルになった程度だから、詰めるべき箇所も多い。大会までは、まだ時間がある。しかし、今回戦って肌で実感してしまった、相手が強くなっている現状。別ゲーとはいえ、どちらもリリースからかなり時が経っている。並の努力では越されてしまう。どうしたものか。
よし!
攻守のやり方ごと、変えよう。
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