第22話
朝日が昇っている
もう朝か······
そして隣で妹が寝ている。こいつ夢遊病治ってたんかい。俺が気付いたのが二日前。ほんっとうについ最近。気まぐれでちょっと夜更かしして寝る時間が遅くなった時に突然ドアが開いたもんなんだから怖かったよ。
と、そんなことはどうでもいい。さっさと起きよう
今日は休みだなー
「姉ちゃんー起きてる?起きてないと思うけど」
反応がない。起きてないわ。
「どうも~失礼しまーす。それとはよ起きろ」
「ふぇっ?·····なに~?」
「起きたら?自分で約束したでしょうよ」
「ん~~~?あっ!そうだ!」
「バサッと起きたな」
「そひゃそうよ〜シャキッしてるよ!」
「まだ呂律回ってないけどね」
ーーーーーーーーーーー
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「さっさと朝ご飯食べて、自分から一緒に出かけたいっていったんじゃん」
「ぅ~~?、·····ごめん〜〜」
「まだ寝ぼけているだと?お、俺がせっかく頑張って起きたのに、ヒドッ」
「か、家族だったらべ、別に〜·····」
『速報です。今無差別誘拐犯の通報が相次いでいます。十分な注意が必要でしょう』
「別になんだって?」
家族だからって迷惑かけていいんですか?そうですか。
「いやぁほらあの、あ!誘拐犯が出たんだって!それも結構近くじゃない?」
「話をそらすんじゃないって」
「うっ···、はい」
そんなしょんぼりしなんくてもいいのに。まああまり迷惑とも思ってないし、いじるのもこれまででいいや
「はいはい、もう言わないよ」
「うぅ、遊んでたでしょ」
「遊んでない遊んでない」
「ほら小馬鹿にしてー!」
ーーーーーーーーー
俺たちが通っている学園の近くの公園のベンチで座って少し休憩をしている
「ねえ姉ちゃん。そろそろ車椅子自分で動かせないの?」
「ん?そうだな〜、まだ全然だな〜」
「·······そうですか」
この前あなたが生活に支障がないっていうか芸術レベルで乗りこなしてるの見えたんですが、もしかして幻覚だったりする?
隣で白のワンピースを着こなしながら水を飲んでいる姉ちゃん
「ねえ、なんで今でもこうやって周りを散策みたいなことやってるの?」
「ふふっ、いきなりどうしたの」
「いや、なんか·····」
どうやって切り出そうか悩む。言いづらいことこの上ないほどだ。言いたいけど言えない
「もしかして·····この足のこと?」
「っ·····」
いきなり飛んできた言葉に気をのむ。
「いきなりどうしたの。もう過ぎた話なのに」
「いや、そういうことじゃなくて。ずっと悩んでたんだ。もし、姉さんが俺のこと助けていなかったら足は今みたいな足になってないんじゃないかって」
「········」
「突然なのは謝るよ。せっかくの休日なのにごめん。ただ—」
言葉が出てこない。いつもそうだ肝心なところで臆病になったり失敗する。昔からそうだ、俺が何か行動するたびにいつも周りが悪い目に合う。その行動が自分から見て善行だったとしても必ず何かしら悪い方向に向く。
だからもう自主的に行動はしたくないんだ。
さらに、学校だとよりこの変な体質が際立った。
ことさら、不確定な要素が多すぎる恋愛に至ってはもう億劫になるくらいに無理だった。
「うーん。とりあえず、姉さんはやめて!!」
「え?」
「だって、なんか姉さん呼びは距離が感じるじゃない。そうでしょ?」
「い、いや。ちがくて、呼称は今それどころじゃ」
「いーや。お姉ちゃんって言ってもらいたいの」
「えぇー」
マイペースだな。本当に。俺の中じゃ一大決心だったんだが?今でも何が何だか分からん
「たしかに悪いところもあった」
(やっぱりそうだよな····)
「うん。ちゃんと後ろを見て、時速120で走ってる暴走車を躱せていたら未来は変わっていたかも?」
「無理でしょっ!!」
「ただそれを成し遂げたのがこの私。咄嗟に判断して裕太を突き飛ばし、被害を最小限に抑えるためにボンネットにジャンプしたりなんだりして生きてるのよ」
「それできるのあなただけでしょ。大体、後ろから来てちゃ分からないよ」
「耳悪かったっけ?」
「その時は無理やり走らされてへばってたんですが」
「うーん。つまり暴走車のおじちゃんが悪いってことかな?」
「運転してたのおばちゃんだったけどね」
「まあ努力あるのみってところだよね」
「今の話と関係あるの?」
「うん、あるよ。この話だって退院の時におしまいにする約束だったのに。あと、姉さん呼びからお姉ちゃん呼びに変えろとも言った」
「·······ぐうの音も出ない」
後半のは聞かなかったことにしよう
「つまり、もっとポジティブに生きなさいってこと。詰め込み過ぎは駄目だよ?後、私のことお姉ちゃんってちゃんと言って」
たしかに、姉さんのことは的を射ている。俺のメンタルがクソ雑魚なのが大体の原因なんだろうな。困った。姉さんに諭される日が来ようとは
「ふーっ。わかったもう少し頑張ってみるよ姉ちゃん」
「ふふっ。抱きついてもいい?」
「ははっ。遠慮しとく」
「えー、なんで」
そんな感じで抱きついてこようとする姉さんを優しく抵抗していると
「坂本くん?」
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