第14話 ヤンデレ、呼び方を固定する。

「まず待て。フレンチキス?」


「ディープキスではなくフレンチキスで我慢するから。」


「変わらないんだよ。フレンチでも知らないヤツにキスしてる状態は!あと風呂?洗うのは自分で、入るのは一緒に?何で?」


「裸のほうが伝わることがあるからだよ!」


「ないよ。」


「心の距離も近くなるよ?」


「近づけ方がバグってんだよ。」


一気に過ぎるから。


「一回今日試そ?」


「何で?」


「試さないと分からないこともあるじゃん?」


「試さなくても分かることもあるじゃん。」


「何で?何が理由?」


「いやいや、勝手に人の家入ってきて勝手にルール決めてるヤバイ人に言われたくないんですけど?」


「人生は1度きり。やるなら今しかないんだよ!」


「だからなんだよ。」


「1度きりだからこそ私は悔いは残さないの。絶対に。絶対に。絶対に。」


「うん?お前………どうした?」


「それ!」


「何?」


「そのお前、ダメ!お前じゃなくて杏。杏って呼んで!」


「…………呼んで得はあるのか?」


「距離が縮まる!」


「…………縮まるか?」


「何?ひよってるの?たかが女の名前呼ぶだけだよ?それを何ひよって」


「はいはい。分かりましたよ。杏。」


「もう1度。」


「杏」


「もう1度。」


「杏………しつこいな………」


「最後、伊波 杏」


「しつこ……はぁ………伊波 あん………ん?」


伊波 杏?


「お前勝手に俺の名前を使うな!」


「いずれなるんだから!いいじゃん!」


「良くない!」

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