第9話 ヤンデレ、ご満悦

「うわぁ~!ここが新しい我が家!結構広い!」


「ふざけんな!我が家じゃねーよ!」


「よいしょっと。」


「よいしょじゃねーよ!」


「管理人さん厳しいでしょ?だから叫びとかすぐ目につけられる。」


「そこまで知って………」


コイツ………ストーカーのプロだ。


「ではでは、改めて。本日よりお世話になります。そしてお世話します。一色 杏といいます。よろしくお願いします。」


「まず認めてないけど。」


「もう入った時点で私の勝ち。分かる?」


「脅迫じゃねーか。」


「大丈夫だって。悪いようにはしないから。料理も洗濯もするし家賃だってはんぶんこだよ?こんな美味しい話は無いよ?」


「見知らぬ女つきだけどな?」


「だから私は貴方の妻ですから。見知らぬ女ではありませんよ?」


「お前が勝手に言ってるだけだろ。」


「とりあえず2人で愛を深めていこ。」


「いやいや、待って。何勝手に俺の気持ち無しでスタートしてんの?まだ付き合ってもないけども?」


「付き合ってませんよ。結婚してますから。」


「どっちもしてないんだよ。」


「認めたら楽だよ?」


「考えを放棄したら終わりなんだよ。」


「じゃなくて。私の見た目ドタイプなんでしょ?」


「は、はぁ?」


聞かれてた?いや、コイツ居なかったし。


「ショートカットで小さくて胸がデカイタヌキ顔の童顔。好きだよね?」


「何で………ヤバイ………」


「知ってるよ。知ってるよ。知ってるよ。知ってる。だって私は貴方の妻なんだから。」


ニヤリと笑う顔に一番の恐怖を感じた。

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