あとがきとおまけ
あとがき
ひどい話でしたねw。前漢最高の名君として誉れ高い宣帝はホモ扱いだし、賢人の誉れ高い丙吉がサボり魔、悲劇のヒロイン許平君はガングロのコギャルにされて思いっきりオモチャにされてます。
このコンセプトが青池保子先生の伝説の少女マンガ「イブの息子たち」に強く影響を受けているのは説明の必要もない事だと思います。他にも時代考証ガン無視のジェット機やらデジタルサイネージやらドローンやら出てくるのは手塚治虫先生の漫画で戦国時代にしれっと電話が出てくるのに対する誇張したリスペクトとなってます。
最近の創作界隈では時代考証がどうのこうの、人権がどうのこうのとうるさいので、みんな異世界に行ってしまった訳ですが、小説ってのはもともとこういう無茶苦茶で嘘だらけでよかった筈です。
たしかに歴史小説を真実だと思い込んで、僕の◯◯はそんな人じゃない!って歴史の学者先生に文句を言う困った人たちが居て、学者先生方として歴史小説家どもいい加減にしろよという気持ちも理解できないわけではありませんが、娯楽作品は娯楽作品、史実は史実と分けて考えなくてはいけません。
そこで、既存の歴史小説に対する2つのアンチテーゼをご用意しました。その一つがこのH.EROであり、もう一つが唯物史観的反体制歴史小説の⊿です。唯物史観では役割に対する個人名は基本的に割り当てず、そのように置かれた人物は必ずそう動くという抽象度が高い記述として、仮置きの登場人物名があたえられてもそれは誰でもよくもしかしたらあなたかもしれないのです。そしてその対極として主観バリバリ、ただし狂気に満ちた全く尊敬できないキャラクターたちが暴れるのがこのH.EROで、よもやこれを真実だと思う人は一人もいないでしょう。これは愛読者となってくださった方が歴史学者先生にケンカ売らないでねという配慮です。カッコよくて人徳者のキャラクターに人は自らを投影して、そのイメージを大切にしてしまうものなのです。それが史実を受け入れられない熱狂者のモンスターを生み出すのですが、H.EROの登場人物には誰一人感情移入できるキャラはいないでしょう(笑)
もともと正史に記録されている宣帝と愉快な仲間たちは、史実そのものをなんの改変しなくても必要な要素が全部揃っている百点満点の成り上がりざまぁになっています。ですからただ忠実に描くだけで高純度な成り上がりざまぁ小説が書けるわけですが、おそらくは原典を隠してる作家先生と、それを孫引きして原典を知らない作家先生が多数派のようで、まだまだ主要ジャンルとは言えない状況です。お隣中国では武帝〜宣帝の時代がドラマ化もされていたようですので、宣帝と愉快な仲間たちのコンテンツとしてのポテンシャルは高いはずですし、何よりも基本ストーリーが完全にパブリックドメインになってて誰でも同じ題材を使いたい放題です。ぜひ皆さんも書いて、戦国春秋(諸子百家)、三国志に並ぶ中華ジャンルの一角になるまで宣帝と仲間たちを盛り上げていきましょう。
著:草加八幡次郎ボロ家(ゲイ術家)
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