復活魔王と臆病勇者のチート学園サバイバル〜我ら2人なら、最強です〜

大塚セツナ

第0話 最後の戦い



 ――魔王城。

 それは、文字通り、魔王が巣食う居城。

 その魔王城の最上階の、大広間。


 そこには、禍々しいオーラを纏った、魔の王と、白銀の鎧に身を包んだ、勇気ある者が対峙していた。



「魔王よ! 貴様の野望もここまでだ!」


「フハハハハ!! 勇者よ! よくぞ我が臣下たちを退け、我の元まで辿り着いた! その勇猛さは褒めてやろう!」



 金髪を輝かせ、その凛々しい碧眼を真っ直ぐに向ける姿は、まさに勇者と呼ぶにふさわしいだろう。

 だが、相手は禍々しい魔力を纏い、周りの空間が歪んで見えるような魔王。

 その勇ましさは、傍目に見れば、無謀とも言えるだろう。



「最後の戦いの前に、一つ尋ねよう! 勇者よ! 我の下につけ!!」


「……なんだと?」



 魔王の突然の勧誘に、勇者はピクリと眉を上げ、聞き返す。



「僕を、勧誘しているのか?」


「ククク、当然であろう? 我が臣下たちはそれぞれが一騎当千の猛者たち……その者たちを、貴様は剣一つで退けてきた……」



 魔王は、勇者の方を手を伸ばし、不敵な笑みを浮かべる。



「貴様のその強さ! 我と貴様が手を組めば、世界どころか、神々の住む彼の地にすら手が届く!!」


「…………」


「もう一度言おう! 勇者よ! 我と共に、世界を手に入れよう!!」



 魔王の瞳は、真っ直ぐに勇者を……いや、勇者と、自身が統治する未来の世界を見つめている。

 その言葉を受けた勇者は、静かに目をつむり、フッと口角を上げ、魔王を見つめ直す。



「……悪いな。僕は、世界のために戦う」


「……そうであろうな。ならば、口惜しいが――」



 勇者の断りを受け、魔王は苦笑し、その手に、黒い炎を生み出す。



「――我が野望の前に立ち塞がる以上。貴様を殺すしかない」



 魔王の手から放たれた黒い炎は、渦を巻き、巨大な暴力となって勇者を襲う。

 轟々と燃え盛るそれは、勇者どころか、大広間全体を包むように燃え広がっていく。



「……呆気ないな」


「――そんなわけ、ないだろう?」



 声と共に、一陣の風が起き、黒い炎が『斬り裂かれる』。

 黒い炎は、その力を保てず、悲鳴を上げるように宙に霧散していく。



「――まあ、だろうな」


「遊びはよそう。僕はここに、決着をつけるために来たんだ」


「遊び、か……。今のは、世界をも焼き尽くすと呼ばれた、地獄の炎だぞ?」



 魔王の説明は、決して誇張でも、強がりでもない。

 先ほど斬り裂かれた黒炎は、太古の時代。まだ人間も魔族もいない時代に、一度世界を滅ぼしたものだった。


 だが、目の前の勇者にとって、それは前哨戦でしかなかったようだ。



「おや? それじゃあ、魔王にとって、今のが全力だと言うのかい?」


「……クク、そうではないことは、貴様が1番知っているであろう?」



 不敵な笑みと共に、魔王から、黒い魔力の渦が溢れ出る。



「さぁ! もう一度言わせてもらおうか! 我が野望の前に立ち塞がる勇者よ!! この魔王の手で、貴様を葬り去ってやろう!!」


「ならば、こちらも今一度誓おう! 魔王よ! 人々を苦しめ、世界の破滅を望む者よ! 我が刃で、お前の野望を打ち砕く!!」



 もはや、言葉は要らない。


 両雄の、最後の戦いが、今、始まった。

































           *



――魔王討伐、おめでとうございます。


――魔王討伐にともない、今回、地上の生き物である皆さんに、『アップデート』のお知らせがあります。


――アップデート内容は███を███し、それに当たり███を███します。


――それでは、新しい███を、お楽しみください。

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