「背後の人。」~10代から20代に書いた詩
天川裕司
「背後の人。」~10代から20代に書いた詩
「背後の人。」
彼は、男のくせに化粧が好きで、はじめはほんのお遊びだったのだ。こんな風だったらキレイだろうなぁ、みたく鏡に映してみたりする。それが時が経つにつれ、辞められなくなり、中毒になっていった。自制することはできず、他人の言う注告など聞かないのは当然で、人ゴミを避けては、ため息をつく。ある日、晴れた空だった。街を歩いていると、後ろに気配を感じていた。その日も化粧はしていて、その心境は、面白いものであった。てっきり自分を見ているものだと思い込んだ彼は、その日を記念に、容姿を女にかえた。その背後の人は、彼を見ていたのではなく、彼の前を歩いていた体のゴツイ、男気めいっぱいの男を見ていたのだった。彼は人1倍の恥ずかしがり屋なので、その背後の人の顔を見ることもなく、余世を過ごしていった。
「。」
“男が女を追う理由は?”
「性欲さ」
“..死への恐怖よ。”
「いや、違う。女と一緒にいたからとて
死は訪れる。そこに永遠性など、ない。」
“随分ひがんでるのね、あなたの気持ちわからないわ。”
「そうだろうとも、あなたは女性で、僕に惚れても
いない、惚れる惚れないなどは、笑いごとだが、
生きる限り、その差はある。」
“そうね..(笑)、でも、もし今あなたに私が惚れる
としたら、答は見つかるかしら?”
「それがいけないのだ、人間に男と女がいること自体
がミス・テイクだ。神のミス・テイクだ、..」
「論理。」
お腹がすいた、お腹がすいた、くり返しくり返し お腹がすいた、
昨日の昼たくさん食べたのに、甘いものも。 今、夜だけどとても
お腹すいた。“物.”は無敵で儚い。
「正気。」
金がなくなれば、友達もなくなる。私はそれでいいと思った。それは正しいことだ。
「シック。」
金と女は男の、位置に差をつける。今までどうということもなかった親友に、女ができた、というだけで、嫉妬深い輩(プライドの妙に高い者)は、その男に近づくことを避ける。また、その親友に大金がとび込んだ、というだけで嫉妬深い輩(プライドの高い者)はその男に近づくのを避ける。全てこの世のことなのだ、その彼女を持った男はその嫉妬深い輩に寄ってきて、その自分の肩の上から自分の得た彼女の顔を覗かせるのだ。そしてその女はしゃべることもできる。より、その嫉妬は、神を忘れて狂うのだ。時間がたつにつれ、その顔をずっと見ていれば、たまに崩れることもあるが、顔を見なくなれば、次第にその感情はさめ、その感情を嫌い、女の時代(流行)となったこの時代を嫌うのだ。個室に閉じこめられた我とひとりの女のストーリーでも、誓ってその女を好きになったりはしない、という程に。個室の中の沈黙に、我もまた沈黙で対処するのだ。孤独にはなれない女は話しかける、でも決して話しかえしたりはしない、口を失くすのだ。すべて無視して、別の男が来るまで待つ。そしてその女が息絶えてから、我は横になるのだ。いつのまにか、嫉妬深い男は、その親友達と何年か会っていないことに気づき、今までをかえるために、それで良し、と思い込む。プライドというやつを大切にしたかったのだ。やがて神の御国へかえる、“かえるところがあるだけでも幸せだ、”と、また幸福をのろう。嫉妬深い男の性格とは…?
「思春。」
思春期、あの時代..あれが精一杯だったんだ、そう思おう。
「招詩。」
私はベートーベンになろう、才能のない彼になって、この世間をののしろう。“ののしる”のは、以前からしていたこと、初めてではない。人間(ひと)が嫌いなのだ。何を言っても通じることのない、永遠性の壁を秘めたこの人間が。神が創られた、というのは信じている。見たことはないが、だが創っていないという現場を見たこともない。私の親は二人共クリスチャンだ、私もそれとは別にクリスチャンであろうと思う。この世間へのせめてもの負け惜しみに、この世間は、生きているのだろう、私と同じように。だがそうしても同じ主義は保てない。
理由があろうがなかろうが、私は人間嫌いなのだ。哲学の存在など、勝手な喚、私も生きているのだ。知ったことではない。そこで、神に問いたい、私はこれからどこへ行けばいいのか、と。罪なことはこの世にどれくらいあるのですか?..私のまわりは..私の親は、この流行ではありません、あなたもこの現代の流行ではありません、皆、罪人です。私はそれが嫌なのです。私一人、とはとても言えません、誰かと共に、私とその人間(ひと)をきれくして下さい。この世の中は避け去るを得ません。私は明日にでも、この流行にあわせようとしています。これがここにいるあなたの創られた“人間”の隠れた趣旨のひとつです、あなたは淋しくはありませんか?地獄が存在しているというのを聞きになって。この世は十戒をもとにした地獄に近いです。私はそこで、“ベートーベンのプライド”に成ら去るを得ない、と思ったのです。皆、共に生きているのです。“それが嫌だ。”――――――――-信仰。
「光陰。」
あの業界の中で、結構格好いいなぁなどと思ったのは、あの私生活も卑劣そうな“GARY OLDMAN”だ。名前はともかく、役柄が気に入った。現実に私が、外国人になってあんな風に生きても罰せられないのだとしたら、なんと強い心を持てるのだろう、と。でも、結局は考えられないんだ、そこに壁がある。どうしても崩れない、“それならば..”と、どうしても崩れない。憧れなど、無に等しい。矛盾ではない、そういうものなのだ。
「涼秋。」
私は男・女友達の誘いを断った。何故かって言うと、彼等の趣旨と合わないからだ。例えばどこかに唄いに行って、“スティング”など唄ってみろ、たちまちそこは異様な雰囲気にかられて、何も言わなくなる。机(テーブル)に足をかける奴、黙って目次を見ている奴、何も気づかない輩達、そんな中にいて、果たして“楽しいな!”と言えるか?..今のこの輩もTVの中の奴等と同じ雰囲気だ。どちらも現代の流行を趣旨とする奴等、無愛想なだけで、気づかうということを知らない幼稚人、殺してやりたいくらいどうしようもない。本当にのど元かっ切って、刺し殺してやりたい..。自分にスポットライトが当たってないと、人間(ひと)を気づかうことができない者達、こういうのを小利口というのだろう。そのことは、全世界中同じだろう、格好が悪いったらありゃしない、最悪の模範だ。sexだけやってればいいものを、近頃のメス(女)はつけ上がる。金が欲しいだの、物が欲しいだの、“豚に真珠”という格言を知らないのか、と思う程だ。
今の世の中は、生きる価値などない、と信じたい。その方がもはや幸せだ。外国人に生れたかった、思うような格好の良い外国人に、どうせ生かされるのなら。..そんな思いさえも間違いかも知れないが。...
「背後の人。」~10代から20代に書いた詩 天川裕司 @tenkawayuji
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