お願いPhoenix!!
昼休み、
そんな中、誰かが勢いよくドアを開けた。おっ、
「みんな!! ビッグニュース!! ビッグニュースだよ!!」
何事かと私達は身構えた。
嫌な予感がする!! いや、嫌な予感ばっかじゃないか……。
「あのね!! この間のボランティアが認められて、新入生歓迎会でライブ演奏していいって!! ここて
すぐさま
「イェーイ!! ライブだライブ〜〜!!」
続いて
「あらあら〜〜。ウフフフ〜〜」
なぎさ先輩は小難しそうな顔をしていた。
「う〜む……楽器なんてリコーダーくらいしかやったことがないぞ」
こんな感じの人が居ないと私の立つ
「ゴメンねぇ。私も手伝いたいところなんだけど、生徒会の仕事があってさぁ。
こうして彩先輩は部室から出ていった。
さてさてライブライブ……って、ガチに出来る楽器がねぇ!!
私は思わず頭を抱えたが、すぐに
「うっし!! それじゃあ……そうだなぁ。
さすが音楽経験者だけあって、それらしい配役だ。
あれ? 私は……?
翼先輩はにっこりと笑いながらこちらを向いた。
「愛っちは……ボーカルな!!」
「えっえっ、あっ……どどっ、どうして私なんです⁉」
思わず素が出てキョドってしまった。いや、そらしょうがないよ。
ホントにマジでなんで私なんだ。この中でボーカルつったら一番に音感のある翼先輩でしょ!!
そう言い返したかったが、私にそんな度胸あるわけないじゃん。
「そうだなぁ。あたしが思うに愛っちはとても綺麗な
おっ。思いがけないところで
(何これもしかして主人公補正とか言うヤツ?)
ぼんやりしていると
「うっし!! さっそく練習だぁ!! みんな〜いくぞぉ〜!!」
こうして放課後に
「ほんじゃまぁボーカルの発声練習からいくぞ〜!! 愛っち、あたしのコーラスに続けて歌ってくれ!!」
音楽室に力強さと
「あ〜え〜い〜お〜う〜〜〜♪」
(うっしゃあ!! 綺麗な声色こわいろ、聞かせてやんぜ!!)
「ゔぁーえーびーーーうぶぅ〜〜〜!!」
あれ、なんでだ。皆なんで黙ってんの⁉
「ま、まぁまぁ。声はいい声は。もっかいやってみ」
私はコクリとうなづいてリズムを思い出した。
「あ゛〜↑あ〜↓おぉ〜〜ぐッぐぅ〜〜」
またもや音楽室は静まり返ってしまった。
どういうことだこれは!!
そんな私に先輩方は率直な感想を投げかけてきた。
「愛、おまえ
「確かに声はいいけど、音程がね……」
「ウフフフ。まるで
さんざんな言われようである。主人公補正はただの思いこみだったのか。
微妙な空気が流れかけた時、
「確かに音程は酷い。酷すぎる。
そんなクソミソに言うンじゃねぇよ!!
だけど、話はそこでは終わらなかった。
「だけど声自体は間違いなく美しい。あたしよりも透き通った声をしてると思う。あたしが面倒を見るから愛ちんにボーカル、任せてやってくれないか?」
少しの間のあと、部員たちは
ただ、翼先輩は
「期待の1年坊だからってチヤホヤするわけでも、ソンタクするわけでも、ましてや主人公補正でもないからな。本気で食らいついてきなよ!!」
こうしてその日からボーカルの猛特訓が始まった。
びっくりしたのは
楽器も一通りのものが揃っているし。
私は本番まで毎日、翼先輩と音程合わせや歌詞の暗譜、そして発声の練習をした。
皆に迷惑をかけたくないという一心で、もうこれがとにかく必死。
その甲斐あってか、
他の部員たちも私の歌声に
練習にも熱が入り、チームワークもバッチリ!!
自分でもそれなりに手応えを感じることが出来てきた。
でも翌日にライブを控えた夜、私は違和感を感じていた。
「喉が……イガイガする……まさか……」
これは
まだ発声出来るが、ライブが終わるまで持つかはわからない。
(どうする……?
そして当日がやってきた。
一方、先輩方はまったく緊張している様子がない。
気づけば私はマイクの前に立っていた。
「イェーイ!! 期待のルーキー!! アイっち〜〜〜!!」
いかん。体が動かん。
「や、やほ」
陰キャ丸出しのリアクションだ。
「キャ〜〜〜!!」
「あ〜いちゃ〜〜〜ん!!」
黄色い声援が上がった。
「じゃ、
なぎさ先輩がスティックを打ち鳴らすと心臓が爆発しそうに高鳴った。
翼先輩はバンドに勢いをつけてエレキをかきならした。
そして私は皆との特訓を思い出しながら歌い出した。
「わ〜た〜し〜をリヴァイブしてよ!! おね〜が〜い〜Phoenix!! Phoenix!! ハイ!!」―――
耳が
翌日、教室に入ると昨日のライブに感動したらしいクラスメートが集まってきた。
こんなにクラスの人々にもてはやされるのは始めてだ。うわ恥っず!!
「ねーねー、愛ちゃん!! もう1回、歌ってよ」
私はいい気になった。今度こそ主人公補正である。
「ヴァーダジオリヴァヴ〜!! ヴォ〜デーガァイ!! オーデーガイ!! ヴォニッ!!ヴォニッ!! ヴォイッ!!」
そう、私の
あれ、なんだかみんな引いてんじゃん。どしたどした?
何が悪いのか全くわかんねぇ。
どうやら私の酷い
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