イジメっ子
天川裕司
イジメっ子
タイトル:(仮)イジメっ子
▼登場人物
●小山康代(こやま やすよ):女子高生。17歳。地味子。
●常盤典子(ときわ のりこ):康代のクラスメイト。綺麗で可愛い。イジメっ子。
●湯川(ゆかわ)リエ:康代のクラスメイト。典子の腰巾着的な存在。
●藤崎(ふじさき)ミカ:康代のクラスメイト。典子の腰巾着的な存在。
●川田詩織(かわた しおり):康代のクラスメイトで、康代の親友。
▼場所設定
●学校:一般的な公立高校のイメージで。
●典子の部屋:戸建て住宅のイメージ。典子の部屋は2階。
NAは小山康代と常盤典子でよろしくお願いいたします。
(イントロ+メインシナリオ+解説=3355字)
イントロ〜
皆さんこんにちは。
皆さんは、
「知らない内にストーカーに付け回されていた」
という経験はありますか?
今回はそんなストーカー被害を、
少し変わった感じでお届けしましょう。
ストーリー現在から結末迄の展開を、
登場人物と一緒に見るようにしてみて下さい。
メインシナリオ〜
ト書き〈学校〉
NA:康代)
私の名前は小山康代。
今年17歳になる高校3年生。
私は今、イジメに遭っている。
典子「ヤースーヨ!アンタまたそんな地味なペンダント付けてるの?」
康代「え…あ、あはは…」
典子「ちょっと貸しなさいよ」
ト書き〈ペンダントを奪う〉
典子「ふーん。まぁよく見りゃ結構イカしてるわね。私が貰ってあげる!」
康代「え?」
典子「なーに?文句あんの?アンタが付けてたってどうせ似合わないんだから。こういうのは私みたいな可愛い女の子が付けりゃ魅力を発揮するのよ♪」
彼女の名前は常盤典子。
私の事をいつもイジメてくる。
ト書き〈仲間内に見せびらかす〉
典子「ホラーこれイイでしょう〜?康代ちゃんから貰っちゃった♪」
リエ「どうせ無理やり取ったんでしょう〜?」
ミカ「康代はアンタ専門の貢ぎ人だからねぇー」
ト書き〈悪巧み〉
典子とリエとミカ。
この3人はいつも一緒。
そして私に対し、いつも一緒に悪巧みをする。
ト書き〈自宅、携帯電話で話してる〉
典子「ねぇリエ、今度さ、康代のヤツ合コンに誘ってやんない?」
リエ「え〜?盛り上がんないわよ?男も引いちゃうんじゃない」
典子「だからイイんじゃないの♪身の程思い知らせるイイ機会じゃん♪」
典子は帰宅するとすぐ自分の部屋に上がり、
リエとそんな電話をしていた。
翌日、2人は私を誘って来たが、
悪巧みが分かっていたので私は行かなかった。
(別の日)
典子「マッズ!久々に弁当作ってきたら激マズ!捨てよ!」
リエ「あ、どうせ捨てるんだったらさぁ、康代に食べさせようか?」
学校の体育館裏。
典子とリエは2人だけでお弁当を食べていた。
その時、こんな事を言い合っていた。
もちろん私は食べなかった。
そんなマズい弁当なんて食べれるわけない。
ト書き〈画像の盗み撮り〉
そんな或る日、驚くべき事が起きた。
なんと典子は、学校での私の日常の様子をスマホで盗み撮りし、
それを家に持ち帰ってパソコンに取り込み、
ID非公開の形で、様々なSNSサイトに勝手に投稿していたのだ!
既に「Yasuyo」と名前が付けられたファイルは、
典子の自宅のパソコンの中に何十個もある!
ト書き〈数日後〉
それから数日後。
リエ「どうしたの典子?」
典子「なんか家のパソコン調子悪くてさ。ファイル全部消えちゃったんだ」
リエ「え?そうなの?」
典子「う〜ん、寿命かなぁ?でもまだ買って3年も経ってないのに」
ト書き〈ノートを奪う〉
典子「あらーこのノート、とってもキレイね〜!見た目も可愛いし♪」
康代「そ、そう?これ、パンダブックスで買ってきたんだけど…」
典子「え?パンダブックスって言ったら、私の大好きなお店じゃないの♪あの店、結構ブランド物揃えてるしさぁ、可愛くて上品なヤツ多いんだよね♪」
結局、取られた。
詩織「ねぇ康代、ねぇどうして言いなりになってんのよう?ちゃんと言うべき事は言わなきゃダメだよ!私が行って、取り返してきてあげようか??」
この子は、学校のクラスの中で唯一の親友・川田詩織。
康代「ううんいいの!そんな事したら私、もっとひどくイジメられちゃう!」
詩織「ホントにいいの?この前ペンダントも取られてたでしょ?」
康代「うん、いいの。確かに私みたいな地味な子が付けてるより、典子みたいな子が付けてる方が似合うと思うし。ペンダントも喜んでるわ。あはは…」
詩織「はぁ〜、どこまでお人好しなのよ」
ト書き〈リエが事故に遭う〉
それから数日後。
リエが亡くなった。
学校帰りに利用していた電車のホームで、後ろから誰かに押された様子。
ミカ「…まさかリエが死んじゃうなんて…」
典子「昨日まで普通に喋ってたのに…リエぇ…」
ト書き〈ミカが死ぬ〉
典子「ウソ…ミカまで…」
その翌日。
ミカも死んだ。
リエと同じように駅のホームで誰かに押された様子。
状況から他殺の線も浮かんだが、犯人は全く判らない。
ト書き〈下校〉
詩織「まさか2人とも亡くなっちゃうなんてね」
康代「うん…」
詩織「…でもさ、正直言って、ちょっと安心した所もあるんじゃない?」
康代「え?」
詩織「だってさ、康代の事イジメてきたあの2人なんだしさ、もうイジメられないと思ったら何か重荷が取れたような気がしない?2人が居なくなって」
康代「な、なんでそんなひどい事言うの!」
詩織「え、あ、ごめん!変なこと言っちゃった」
康代「あ、私もごめん。大きい声出しちゃった」
詩織「…でも典子、これから寂しい毎日が続きそうね…」
康代「…うん。でもきっと、大丈夫よ。彼女ならきっと立ち直れるわ。もともと明るい子なんだし、またそのうち誰か、新しい親友が出来るわよきっと」
詩織「そうね」
ト書き〈典子の部屋〉
NA:典子)
リエとミカ。
私は親友を立て続けに2人も無くし、悲しみのドン底に暮れていた。
失って初めて分かる友達の有難み。
その時ふと康代の事を思い出した。
典子「康代…。私、今までなんて悪い事してきたんだろう…」
康代もリエやミカと同じ、私のクラスメイト。
康代だって大事な友達!
そう思い、私はこれまで康代にしてきた事を、
心から後悔し始めた。
そして…
典子「謝らなきゃ!」
そう思い、康代に電話をかけた直後、
私の部屋の押し入れの中から着信音が聞こえた。
解説〜
はい、ここ迄のお話でしたが、意味怖の内容は解りましたか?
それでは簡単に解説行きます。
今回の意味怖は簡単だったと思います。
「康代が典子のストーカーだった」
これには誰でもすぐに気づいた事でしょう。
でもこれとは別に、もう1つの意味怖テーマがあったのです。
それは「語り手」でした。
冒頭から後半までは、
ずっと康代の語り手でストーリーが進んでいきます。
でもその間、
「康代がそのとき知る筈のない事」
が幾つもストーリー現在に出て来る場面がありました。
気付かれたでしょうか?
・「合コン」を巡る悪巧み。
・「激マズ弁当」
・典子の部屋のパソコンの中の「Yasuyo」と名付けられたファイル。
この3つを見ただけでも、康代が知る筈のない内容である事は一目瞭然です。
典子とリエの電話内容を、
第三者がリアルタイムで知るなんて事はあり得ません。
体育館裏での「激マズ弁当」を巡る話も、
典子とリエの2人だけで話していたのですから、
これも第三者がそこに居ない限り分かる筈ありません。
更に極めつけは典子が自宅で使っていたパソコン。
この中に「Yasuyo」と名付けられたファイルがある事など、
普通、典子以外に知る人は居ないでしょう。
つまり康代は、典子とリエの電話を盗聴し、
体育館裏での会話も物陰から覗いて盗み聞き、
更に知らぬ間に典子の家に忍び込み、そのパソコンの中身を覗いていた…
となる訳です。
だからその悪巧みに前もって気付き、誘いを断る事が出来たのです。
「Yasuyo」ファイルを消去したのも康代でした。
康代は典子の完全なるストーカー。
だから典子のそばにいつも居て、
彼女の行動を逐一見張っていたのです。
ペンダントをあげた理由も、康代が典子の事を好きだったから。
ノートにしても、わざわざ典子御用達の「パンダブックス」で買ったのは、
「きっと典子が気に入るだろう」
と前もって予想していたから。
だから詩織が、
「取り返してこようか?」
と言った時、康代は即座に拒否した訳です。
ストーリー途中でリエとミカが亡くなりますが、
これは事故ではなく他殺でした。
この段階では詩織の存在が気になりますが、殺したのは康代。
理由は「典子を独り占めするのに邪魔だったから」。
そしてラストの場面。
典子は今まで康代にしてきた事を後悔し、
謝ろうと康代に電話をかけます。
でも康代の電話の着信音は、
典子の部屋の押し入れから聞こえてきました。
このとき既に康代は、典子の部屋に忍び込んでいた訳です。
康代が最後に言った、
「新しい親友が出来るわよきっと」
という「親友」とは自分の事。
このあと典子は、驚愕という言葉では抑えきれない恐怖を感じた事でしょう。
今回は語り手が犯人だったと言う事で、
ストーリー冒頭から犯人が明かされていました。
今回のテーマに気付いた人は、
「その犯人の正体」
もすぐ解ったでしょうね。
これまでに書かせて頂いたYouTubeドラマシナリオ(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=-IARmAPotMs&t=3s
イジメっ子 天川裕司 @tenkawayuji
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