長閑な森(魔境)でのんびりとスローライフを送りたい~何としてもスローライフを送りたいので、困ったことがあったら力づくで解決しようと思います!~

ゆーき@書籍発売中

第一話 スローライフが、したいいいい!!!!!

「スローライフが、したいいいい!!!!!」


 自室でゲーミングチェアに座りながら、俺は思い切り叫び散らした。


「毎日毎日が忙し過ぎる。のんびり、暮らしたい……」


 そして、机に顔を突っ伏すと、心の底から嘆きの声を漏らす。

 俺、井上悟いのうえさとるは御年28歳のサラリーマンだ。

 いや、サラリーマンでは無く、ブラック企業戦士の方が適切か。

 不景気の中、何とか入った会社が笑ってしまうぐらいのブラック企業で、後は見ての通り……だ。

 今は約1か月ぶりに家に帰って来て、僅かな安息の時を楽しんでいる所だ。

 もっとも。帰って来た時点で夜の12時を過ぎてて、出社は7時だから……ははっ 終わってる。


「はぁ。んじゃ、今日はアニメ見るかぁ……」


 そう言って、俺はガバッと顔を上げると、ノートパソコンを開いた。

 そして某アニメサイトを開き、ヘッドフォンを着けると、2倍速でアニメを見始める。

 こうしないと、とてもじゃないが見たいもの全部見れないからな。


「あー……いいねぇ……」


 アニメに限らず、俺は漫画やラノベも好きだ。

 その中でも、俺が好きなのは異世界スローライフもの。

 ゆったりと、それでいて充実したその世界を見ていると、摩耗した心が自然と良くなっていくような……そんな気がするんだ。


「はー……ただ仕事あるし、もう少ししたら寝ないと……」


 ノートパソコンの右下に表示されている時刻をちらりと確認した俺は、そう言って小さく息を吐く。

 その時だった。


「うっ……な、なん……」


 突然、心臓が締め付けられるような痛みに襲われ、俺はバタリとゲーミングチェアから転げ落ちた。

 あ、ヤバい。めっちゃ痛い。

 痛い。苦しい。痛い。苦し……い。


「な、あ、う、ぐっ……」


 俺は胸を押さえながら、床をのた打ち回った。

 早く、救急車を呼ばないと。

 スマホは、どこだ……?


「う、ぐっ……」


 どこ……


「っ……」


 そこで、俺の意識は闇へと落ちてしまった。


 ◇ ◇ ◇


「……にゃるほど。しょれて、いまにいたるとゆーことか」


 所変わって、ここは中世風の大きな屋敷。

 その一室で、俺はベッドに寝転がりながら、回らない呂律でそんな言葉を漏らす。

 まず端的に事を説明すると、どうやら俺は剣と魔法のファンタジーな世界に転生したようだ。

 そして、丁度1歳の誕生日を迎えた時に前世の記憶を思い出し、困惑しつつも最低限の情報を集め、今に至る。


「しかも、きじょくだし……むぅ」


 俺は上手く喋れない事に、相当なもどかしさを覚えながらも、そう言った。

 そう。どうやら俺は、相当なお偉いさんの家に生まれてしまったらしい。

 グローリア伯爵家ってとこの次男だったな。

 お陰で今の俺は、サイラス・フォン・グローリアとかいう、めちゃくちゃ仰々しい名前になっている。

 容姿も、黒髪黒眼の成人男性から、銀髪蒼眼の幼児にメタモルフォーゼだ。

 なんか慣れんな。


「しょれて、これからどーしゅるか……」


 折角ブラック企業という楔から解き放たれ、結構憧れていたファンタジーな世界に転生できたんだ。

 なら、目指すのは……あれしか無いな。


「しょう。しゅろーらいふ!」


 そう。スローライフだ。

 長閑な森で、仕事に追われる事も無く、ゆっくりのんびり生きる。

 それを、何としても目指そう。


「ちゃぢゃ……しょのためには、ここからでにゃいと……」


 まだ詳しい事は分からないが、このまま行けば、貴族家次男という事もあってか、長男の予備――あとは、出世のための道具として使われるかもしれない。

 少なくとも、前世みたいに惰性で生きていたら、どうやってもスローライフが出来ない状況にまで追い込まれるのは確定!

 なら――


「しょのために、いまのうちかりゃ、こーどーしないと!」


 幸い……と言っていいのかは分からないが、ここグローリア伯爵家からは、既にキナ臭さを感じられる。ブラック企業戦士として、”ヤバい人間”を見続けて来たからこそ……後は、普通に俺の前で闇金的な事について話していたこそ、分かってしまったのだ。

 こんな泥船っぽい所から出たいと言う意味も含めて、ここから簡単に出られるよう手を打っておくのは、いい案だと思う。


「あとは、ちから……でゃな」


 この世界には、魔力という特殊なエネルギーが存在しており、その関係で魔法が使えたり、身体能力が常人以上になる人が居たりする。

 また、魔物という特殊な生物も存在しており、そいつらは地球の熊やライオンと比べても遥かに強く、森にはそんな奴らが跳梁跋扈している。

 更に、人の命の価値も、日本と比べれば軽めな方……故に、人間魔物問わず色々な面から身を守る為にも、結構強くなっておく必要がある。


「よし。しょーときまれば、さっしょく……あ」


 やばい。ウンコ漏れた。

 取りあえず泣いとこ。


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