第9話 絶好の機会

両親が死んで身内がいなかった僕は独り暮らしをすることになった。火事の件は鈴木がやった証拠はなくて事件として扱われなかった。葬式を終えて、学校に戻ると鈴木が声をかけてきた。

「おい、木城悲しいなぁ一人で暮らすのは辛いか」

嘲笑うように言った。

「鈴木、心配してくれてありがとう」

「何呼び捨てしてんだ、ぶっ飛ばすぞ」

「お前、ふざけんなよ、言って良いことと悪いことがあんだろ」

青山が言った。もう僕にはその言葉は不要だった。慰めの言葉なんか僕にはいらない。鈴木を地獄に落とすために使えるもの全部使うことしか、僕のいや、俺の頭にはそれしかなかった。その日の放課後僕は鈴木に呼ばれた。

「屋上に呼び出して何のよう?」

「お前を親とおんなじとこに送ってやろうと思ってな」

つまり僕を殺す気か。この日を待ち望んでいた。

「一緒に死のう、鈴木」

「何言ってんだ、死ぬのは木城、お前だけだ。」

そう言うと鈴木は僕を屋上から落とそうとした。鈴木は僕を殺した証拠を残さないように一人で来ていた。鈴木が僕を落とそうとすることと同時に鈴木の腹を僕はナイフで刺した。鈴木は驚いた様子で僕を見ながら息絶えた。僕はその後、自分で屋上から飛び降りた。

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