第36話 お茶をどうぞ

「ふひー、疲れた疲れた」

「お疲れですなぁ。はい、お茶です」

「こちらに茶菓子も用意してますよ。はい、どうぞ」

「おう、ありがてぇ……うむ、美味い。これはリョクチャか?」


お、エクチルさんは鋭いですな。

儂が見つけた薬草。

こっちでの名前はババチャと言って虫除けに使われていた。

前の世界の知識でどーにかこーにか茶葉を乾燥させてやっと商品化に漕ぎ着けたんじゃ。

いやー、何年かかったことやら。

薬師の方がサラッと新しい虫除けの軟膏とか作っておって悔しかったのう……

ま、お茶を飲んで感動しておったから良しとする。


「……って、緑茶を知っておるんですかな?これもこちらの世界に?」

「おうよ。元々は東部の一部地域でババチャを利用して作られているものだな。大昔の戦争の時に帝国が東から傭兵団を雇ってな。そのメンバーがこっちの大陸にババチャの使い方を教えたのさ。まだ流通量は少ないからひとつかみで銀貨200枚ってところだ」

「……すみませんな、まだ金銭感覚が疎くて」

「金貨の5分の1ですか……ええっと、金貨1枚で王都で」

「王都での平均は金貨1枚で1年生活出来るレベルだ。その金貨の5分の1だぞ?相当高価だってことさ。ま、基本貴族が飲むものって覚えておけばいい」


な、なるほど。

うちの村、恐らく大型トラック4台分は保管しておるからな。

一体いくらになるんじゃろ……

その時になったら考えるか、うむ。


「そうそう、俺が買取ったヤツらもとんでもないものばっかりだが……この黒龍の鱗、これは一体どこで手に入れたんだ?」

「黒龍ですかな?それはもうそろそろ来るはずですじゃ」

「は?くる?」


エクチルさんがぽかんとする。

黒龍といえばうちの村では1匹ですからな。

どうせそろそろ……ほら来た。


「ふぁああああああ……あー、よく寝たー。やっぱり布団最高だよね。センタローがいなければ使い放題。まだまだ木こり作業やってもらわない……へ?センタロー?」

「……お前、また儂の布団使ったんか!お前はお前用の布団があるじゃろ!?」

「えぇー、だってあれ硬いじゃーん。柔らかい方がボクの好みなんだもーん」

「……お前の体格的に鳥の羽は無理じゃろ。お前龍の姿で寝るじゃん」

「最近は人型ですー。こっちの方がゆっくりじっくり寝れるんですーだ。睡眠マスターを舐めないでもらえる?ふんす」

「……褒めてないから。すみませんなー。うちのドラゴンが。これが黒龍のクロと申します。生意気ですが、根はいい奴なので」

「生意気て……しばいたろか?ってあれ?エっちゃん?お久しぶりー。元気してたー」

「……そ、その口調は。本当にクローディオ様?!」


え?そこ知り合い?!

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