第28話 行商人のあて ~フランツ・フードルフィ~

「あ、勇者様から行商人を呼んで欲しいって言われてたんだけど商業ギルドに情報共有していいか?」

「……マジか?」


あ、レオが渋い顔をしている。

商業ギルドはその名の通り商人たちが加盟しているギルド。

規模的には探索者ギルドに匹敵する大きさで各国に存在する。


「……最近モンスターの素材の件で色々あってなー」

「あー、確かラセの方で大規模な戦闘があったんだっけ?」

「そうだ。ブラックホーンブルの群れが珍しくやって来てなー。全部で200超の戦果があったんだがそこに介入してきてなー」


モンスターの素材の単価は基本探索者ギルドが決める。

ブラックホーンブルは皮が硬くて丈夫なのでバッグや馬車の帆に使われる。

値段もそこそこするそうだが商業ギルドが値下げを要求してきたそうな。

探索者ギルドとしては利益が出なくなるから大喧嘩に発展。

当分事務的手続き以外は喋りたくないそう。


……ギルマスって大変やねー(他人事)


「ほんと、商業ギルドは闇が深い。ギルマスのダボダは歴戦の商人。隙を見せたら根こそぎ利益を持っていかれるからな……後領主様への報告と国への報告が済んでないからな。急ぎじゃないなら待って欲しい」

「なーほーなー。じゃあレオから紹介とかは無理か。国への報告が優先だもんな。すまん、忘れてくれ」

「そういうこった……あ、そうだ。あいつなら大丈夫じゃないか?」


レオがポンと手を叩く。

アイツ、とは……?

誰か商人の知り合いいたっけな?


「アイツは商業ギルドに加入しているがほとんど参加してないから上に連絡も行かない。それにあいつは口も固いから国への報告前に動いても情報を漏らさないぞ」

「アイツって誰だ?俺達の知り合いか?」

「おいおい、忘れたのか?ダンジョンに行った時に助けて貰っただろ?『ショーバク』だよ『ショーバク』」


……あ!ショーバク!

そういえばあの人は行商人だったな!

レオいわく今は仕入れのためにストにやって来ているそう。

話をつけるなら今しかないな。

俺はレオとの打ち合わせを終えたあと、『ショーバク』の元に向かった。

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