第27話 ギルドにて ~フランツ・フードルフィ~

「……なるほど、本当に村があったのか」

「えぇ、証拠となるものも確かに。幻惑魔法の類ではないかと」


俺は勇者様の村で貰ったポーションなどを机に並べる。

ここは俺たち『森の盾』の拠点でもありメルカティラ王国東部最大の都市ストにあるギルド本部。

目の前にいるのはギルドマスターのレオ。

元『森の盾』のリーダー兼俺の義理の兄だ。

リーダー辞めて結婚してストでギルドマスターしながら悠々自適に暮らす!って言って出ていったら俺の実家にいたんだよなー……

あの時は2人ともびっくりして悲鳴あげたんだよなー……

いや、『黒獅子』と呼ばれるぐらいには強いから理解できるんだけど。

いかんいかん、話を戻して。

今はギルドマスターの部屋で2人きりで会談中。

勇者様の村から作成中の道を使って街道まで歩いた。

いやはや、あの道はすごい。

魔法陣があちらこちらに刻印されていてスタミナ消費なしで走れた。

そもそも頂いているブーツが化け物じみているのでさらに速度が上がって一日で街道まで出てしまった。

森で一泊するつもりでポーションとかを頂いてきたのに申し訳ないことをした。

そのまま街道で一泊して朝、走ってストまでやってきたところだ。


「不純物が無い砂糖に効果が良すぎる解毒薬……確かにこの辺じゃ見ないやつだし、実物もあるな」

「ええ。それにこのブーツ!素材も化け物ですが術式が組み込んでありスタミナ消費がほぼないです」

「だろうなー。くそっ、お前は冗談言わないからガチなんだろうなー」

「お、口調が砕けたじゃないかお義兄様」

「やめろやめろ!気持ち悪い!……とりあえず領主様への報告と国に報告しないとな。その時はお前も来ること。そっちの方が早い」

「デスヨネー……」


やっぱりそうなるよねー。

ストを収める領主様はメルカティラ王国一の公爵であるガルドバルド様。

元々いた領主が爵位を剥奪されてやってこられた方。

ラセとの戦争を経験し、齢70を超えて現在でも国軍の総司令官を務められるお方。

なんなら森への探索にいちばん興味を持たれていた方でもある。


「報告したらすぐに森に行かれるぞ……その時は、全力で止めるぞ」

「あ、そっち?普通に物を見せるだけじゃなくて?」

「絶対にあの方は森に行こうとするぞ。なんならソロで走り出すぞ……何度家臣の方々が止めようとして被害を受けたか……その度にギルドの救護施設が家臣の方々で埋まって運用が大変になるんだ」

「……脳筋とは聞いていたけどマジなのか。レオがどーにかしろよ」

「無理無理。あの方はこの国でいちばん強いとも言われているんだぞ?未だにラセやサツミドーに視察と称して手合せに行っているし。この前なんてサツミドーの総司令官のソーソーン閣下と3日3晩ずっと手合わせしてたらしいぞ」

「……それで異世界人じゃないってまじ?」

「一応先祖は異世界人らしいがな。あそこまで先祖返りがすごい人はいない」


……そんな人を止めるって?

貰った防具、壊れないかなー……

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