第25話 お見送り

「リーム、キリア。準備は大丈夫か?」

「問題ないんダナ」

「ええ。大丈夫ですわ……来た時より重いですわ……」

「……同感だ。本当にいいのかセキ?こんなに貰ってしまって」

「はい!皆さんはこの村に来た初めての外の人ですから!」


儂の孫、セキが大きく頷く。

フランさんたち一行は今背中にたくさんのアイテムを積んで立っている。

あの量、大人でも中々厳しい重さだと思うんじゃが、そこは探索者じゃのう。

体幹がしっかり鍛えられておる。

基礎トレーニングはやはり大事じゃのう。

村からのアイテムはポーションなどの回復薬にモンスターの革や骨などで作った加工品。

後は麦などの農作物。

砂糖も少々渡してある。

砂糖、やはり異世界ものっぽく高級品じゃった。

儂の村の砂糖は森で見つけたネオホワイトスノービートから作られておるが不純物がまじらないように最新の注意を払って作っておる。

……ま、ゴミが入らないように風魔法で換気してるだけじゃが。

雪のように白い砂糖はそこそこ高く売れるそうなのでプレゼントにはもってこいじゃろうて。


「では、帰ります。ありがとうございました」

「ンダ!また必ず戻ってくるんダナ」

「ナナセ様!次は王都の化粧水を持ってきますわ!それまでお元気で!」

「武器、ありがとうな。お礼は必ず……!」


フランさん達が歩き出す。

儂の作った道はしっかりとした石畳じゃから歩きやすかろうて。

何なら足元も儂の村特性の靴に買い換えてもらったからのう。

ブラックサーペントの皮にグリフォンの羽毛を使用したブーツ。

確か移動速度アップと耐震、落下ダメージ無効が付いとったかのう?

村人全員で昔から履いとるからスキルは忘れてしもうた。

あの靴を履いておるなら拠点としている都市まであっという間じゃろうて。


「ホッホッホッ……フランさん達の話を聞いて新たな人がやってくるといいのう」

「えぇ、そうですね。村に新しい風を……お爺さんの夢ですから」

「そうじゃのう……しっかり行商人を呼んでもらぅよう伝えたからそこはやってくれるじゃろう」

「行商人……Theファンタジーですね。憧れます」

「ふぁああぁ……んにゃ?センタロー。ここにいたの?」


フランさんたちを見送っていると後ろから声が。

振り向くと人間姿のクロが。

……此奴、寝起きか。

昨日1日見かけとらんが、丸一日寝とったな?

全く……よく寝れるわい。


「フランさん達を見送っとったからのう。お前は寝てばっかじゃのう……」

「センタロー知らないの?寝る子は育つのですよーだ。てっきり一緒に出て、道作りに行くのかと思ってたよ」

「ん?道は作るぞい。食料とかをもうバッグ詰め込んでおるからな。婆さんの準備が整えばすぐに出るぞい」

「ふふっ、ナナセの薬はよく効くから多めに欲しいのよ。見送りが終わったら持ってきてくれるっていから……あ、来たわね」


「ママー!持ってきたよー」


おおきた声がしたと思ったら七女のナナセが走ってきた。

手には軟膏……あぁ、婆さんの足に塗るやつか。

痛み止めの成分が入った軟膏は手放せないアイテム。

儂も塗っておるがとてもよく効く。

無理をしなければ一日斧を降ってても腰に響かない。


「軟膏は1週間分。また取りに帰ってきてね?成分的にも1週間を超えると効果が薄くなっちゃうし」

「ええ、ありがとう。ちゃんと週1帰ってくるわよ」

「……パパも。腰痛めてるんだから無理しないでね?」

「分かっとるわい。それじゃ行ってくるかのう、婆さん」

「ええ、今週もよろしくお願いしますね」


婆さんを車椅子に乗せていざ出発じゃ!


ブーン!






「……いつも見てるけど、車椅子で行く必要なくない?瞬間移動とかワープの魔法使えるよね?」

「クロ様、そこは夫婦の愛、ってやつですから。2人でいることに意味があるのです」

「ほんとにー?忘れてるだけじゃない?」

「……否定はできませんね」

「でっしょー?あの2人、一緒にいるとおノロケでPONしやすいからなー」

「その辺、フォローお願いします」

「しょーがないなー。ま、起きたら見に行ってみるよ、うん」

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