第24話 森の先

「いやはや、凄いものを見ました。流石は勇者の血を引くもの、ですか」

「いやいや。孫たちは自分たちで力をつけているだけですじゃ。ホッホッホッ」

「いや、それにしてもだろ……」


アンカーさんが呆れたように孫たちを見る。

パープルスライムの倒し方を教えたあと、儂らはのんびりお茶を飲んでおる。

孫たちとリームさん、キリアさんがパープルスライムをバンバン倒していくから暇になったからのう。

婆さんが作ってくれたサンドイッチを食べる。

うーむ、たまごサンド!

いい塩加減じゃ。

ニワトリの卵がないからコカトリスから取ってきたが、日本のものと変わらないから助かったわい。

こっちの世界は元の世界と似ているようで違うものも多いから卵の味が一緒だったのは救いじゃのう。

……捕まえ方特殊すぎるのはいただけないが。


「サンドイッチ、大変美味しいですね……あ、そういえば。勇者様の作られている道、あの先を進めば街道まで繋がっているのでしょうか?」

「む?その予定じゃよ?まだまだ時間はかかりそうじゃがな」

「……なるほどですね」


フランさんが考えるように手を口元に当てる。

突然聞いてきたから何事かと思ったがそういえばもうそろそろ村を出て街に帰るんじゃったのう。

森を早く抜けるために道を使おうと考えておるのか。

ありがたいのうー。


「今地図がないのでなんとも言えませんが、あの道を真っ直ぐ突き進めば東側の街道にぶつかるかと。街道に出て北……カルポ山という2つの山頂を持つ山に向かって進めば交易都市『スト』に着くはずです。ストはこの辺では一番栄えている街です」

「街道を反対方向に進めばラセ帝国との国境。ここに出てしまえば後は安全に行けるし、時間帯があれば乗合馬車も通る。馬車に乗れれば1日あればストまで行けるな」

「乗合馬車!そんなものもあるんですかな!この森が危険と聞いておりましたが乗合馬車では馬が逃げてしまいそうですのう……大丈夫なんですかな?」

「乗合馬車は馬、と言うよりは竜車です。地竜と呼ばれる羽のない小型ドラゴンで車を引っ張って走ります。速度は馬より遅いですが、小型でもドラゴン。街道に出るモンスター程度であれば倒せます」

「警備の騎士団や探索者も付きますからね。死者は月に二、三人ですよ。他の街道よりは少ないぐらいです」


……いや、死人出とるやないかい。

てか、他の街道はまだ死人が出とるのか!

乱世じゃのう……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る