第12話 儂の孫セキ
「じいちゃん!この時間になんでまた!?」
「おぉ!セキか!元気そうじゃのう!」
「そりゃ元気さ!見張り台からじいちゃんの作った道をクロ様が歩いてるって聞いて飛んできたんだ!しかもじいちゃんはクロ様に乗らずにばあちゃん押して来てるって!もう夜が来るのに何してるのさ!」
「すまんすまん、ちょっと嬉しいことがあってのう!身体が動いてしもた」
「嬉しかったって……あ!人?!森にいたのか!」
男―セキ―がフランさん達に気づいてフランさんに駆け寄る。
セキは儂の3番目の息子の子、つまり孫に当たる。
槍メインで戦闘しておるがゆみもそこそこ使えるから若くして村の自警団のリーダーを務めておる。
「怪我はないか!毒とか、呪いとかは?!」
「あ、あぁ。何ともない。聖女様に『ヒール』して頂いたから」
「聖女?……あ、ばあちゃんか!もー、ばあちゃん!身体悪いんだから無理すんなって!親父からも言われてただろう?」
「あらあら、そうだったかしら?怪我人を助けるのはヒーラーの勤めよ?」
「そりゃそうだけどさー……とりあえず、ほかのメンバーも大丈夫か?」
「んダナー」
「健康そのものですわー。カズハ様はヒーラーの鏡ですわ!」
「ほんと、古傷すら治して頂いた。感謝しかない」
婆さんの回復は世界一じゃからな!
儂の嫁じゃからな!ふんす!
「……じいちゃん、ドヤ顔やめなよ。凄いのはばあちゃんなんだから」
「儂の嫁が褒められておるんじゃからええじゃろ。ふんす!」
……くっ、孫にジト目された。
「はいはい、じいちゃんのばあちゃん自慢はそれ位で……とりあえず4人の方々、我が村にようこそ!俺の名前はセキ、この村……『リュウガタケ』の自警団の団長をやってます。あまり何も無い村ですが一晩だけでもお泊まり下さい」
「あ、ご丁寧にどうも。チーム『森の盾』のリーダーをやっているフランと言います。よろしく」
「黒魔道士のリームなんダナ」
「ヒーラーのキリアですわ!よろしくお願いいたしますわ!」
「近接担当のアンカーだ。この村、強い人間が多いな!魔力の質が王都とダンチだ。詳しく教えて欲しい」
「そうですね。この村はモンスターに襲われることが多いので必然的に戦闘が増えるんですよ。あ、村を案内しながら話しますね。こちらにどうぞ」
セキが4人を連れて歩き出す。
……初めての村の外の人間相手にあそこまではなせるとは。
我が孫ながら、アッパレ!
「うわぁー……号泣してるー。センタローが泣くとかマジ違和感」
「あらあら。けど孫が生まれた時とかも号泣してたわよ?なんなら曾孫が生まれた時なんて走り回って大変だったでしょ?」
「あー、たしかにー。グリフォンの巣まで走っていって卵もぎとってきてたもんねー。しれっと3匹ぐらい仕留めて『宴だー!』とか泣きながら叫んでたねー」
……過去の過ちを蒸し返すんじゃないぞ、婆さん。
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