嫁と異世界に飛ばされ50年、孫達のために今から本気出す
金剛石成
第1話 朝の目覚め
「ふぁあ~……いやー、よく寝たわい。おお、婆さん。もう起きとったのか。腰大丈夫かのう?」
「おはようございます。ええ、いつもよりは大分」
「おうおう、無理はせんでなー。皿は儂が持っていくから」
「いえいえ。私が動きますよ。リハビリも兼ねて」
ベットからリビングを見るとばあさんが朝飯を作っていた。
腰を悪くしているから基本座って作業をしているが今日は調子がいいのか鼻歌交じりだ。
昨日は孫たちが久しぶりに遊びに来たからはしゃいでおったからなぁ。
数年前に腰を強打して車椅子を使うこともあったがだいぶ回復してきた。
昔は骨折しても魔法ですぐ治っておったのに、今じゃ数日おきにヒールをかけないと歩くこともままならない。
もう、歳には勝てんのう……
儂は寝起きの顔洗いに洗面所へ向かう。
水は昨日の夕方に近くの水源から汲んでおいたものを使う。
朝イチで汲みに行くのもいいがいつ死ぬか分からない。
儂も婆さんも今年でもう73、いつお迎えが来てもおかしくないからのう。
死ぬなら妻と一緒に、そう言って早50年。
いつ何時何が起きるかわからんからのう。
……ふぉ!水冷た!
「ふぃー、目が覚めたわい。水が冷えて気持ちがええわい。お!今日は目玉焼きか!珍しいのうー」
「ええ、久しぶりにガルーダの卵を手に入れましたからね。一緒に孫たちからのプレゼントのベーコンも添えて。ベーコンはこの前曾孫たちが倒したオークですって」
「いいのういいのう!あ、塩取ってもらえるかのう?……目玉焼きと言うと昔を思い出すのう。覚えておるか?付き合い初めてすぐの頃、サークルのメンバーと一緒にキャンプ場で朝飯を作った時。料理担当だった婆さんとゆりちゃんがなー」
「もう!あの時は初めてのガスコンロでの朝食だったんです!しかも火力マシマシで!それを言うなら夕飯担当のお爺さんと田島さんとエクスさんがカレー丸焦げにしたじゃないですか!カレーを焦がすなんて小学生でもしませんよ?」
「ホッホッホ。まぁ、田島君はいつも適当に料理していたからなー。けどいつまでも鮮明に覚えておるのう。この世界に来て長いというのに……学生生活なんてさらに前の記憶だと言うのに」
「ええ、ほんと。長く生きてきましたねぇ。貴方も私も」
懐かしい思い出ですなー。
あの頃の思い出は未だに覚えている。
今から50年前、まだ儂と婆さんがこの世界に来る前の話です。
―――――――――――
閲覧ありがとうございます!
新しく物語を書き始めました!
今週一週間は毎日16時、来週からは3日に1話のペースで公開していけたらと思っています。
メインは『あーさんのダンジョン飯配信』になりますのでよろしくです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます