第2話僕物語

ある日仲間と取っ組み合いをして遊んでいたらヒョイと抱かれてしまい

「何すんだよ!離せ~」

と腕の中で暴れたんだけど、その腕の中が温かくてついウトウトしてそのまま眠っちゃったんだ。

起きたら知らない部屋にいたんだ。で、びっくりして

「ここはどこ?早くここから出せ」

って騒いだら隣りの部屋から

「うるさいわね。静かにおし!」

と、一喝。びっくりして声が止まってしまったんだ。

この声の主は後に姐さんと呼ばさせてもらう。

貫禄十分の女性で、怒ると足でダンと思いっきり床をけり、グックッと怒る。

そんな時はちょっと怖い。ても優しいんだァ。

お母さんが時々、外出するんだけど、帰りが遅くなり、外が真っ暗にならないと帰って来ないのが淋しくて

「クゥーン」

て泣いていると隣の部屋から黙って覗いて見守ってくれた。その顔を見ただけでホッとしたんだ。

姐さんは小柄だから友達に思えて一緒に遊ぼうって追いかけたら凄い勢いで部屋に戻り、足でダンダンと大きな怒りの音を出すんだ。ボクは遊びたいだけなのに。

散歩は1人静かにしたいんだって。

でもね、羨ましかったんだ。お母さんの背中に乗って、顔をあらったり、うたた寝をしたりしているのが。

でも、それは姐さんがお母さんに甘える時間だったんだ。だから、あんなに怒っていたんだな。

優しい姐さんだったなぁ。

そんな懐の深い姐さんに見守られながらボクはやんちゃ全開だった。ボクはもっとやんちゃが続けられると思っていた。

ある日、朝起きるとお母さんが慌てていて、姐さんは病院に運んだ。

そして姐さんはずーっと寝ていて起きない。

そして、お母さんは涙を流して姐さんを撫で続けていた。

そして、一日一日過ぎて行くにつれて、姐さんの匂いがついているものがきえていくんだ。

もう「クゥーン」と泣いても心配してくれる顔がない。

あんなに楽しくて仕方がなかった散歩も何かちっとも楽しくない。

お母さんが作ってくれるご飯、楽しみにしていたご飯もちっとも美味しくなかったんだ。

食べているのに、何故か体重がどんどん減ってさ。

お母さんは心配して、毎日ボクを病院に連れて行ってくれた。これ以上、体重を減らしたらダメとお医者さんに言われて、しょげてたなぁ。

ご飯も、おやつも食べているのにね。って。

でも、不思議なんだ。悲しいのは変わらないけどね。

ご飯の味が少しづつ美味しく感じられるようになったんだ。そしたら、体重が少しづつ増えてきてお母さんがホッとしていたんだ。

でも、ボクねやんちゃが楽しいと思わなくなっちゃったんだ。それは、元には戻らなかったな。

姐さんは7年と6ヶ月生きていたんだ。うさぎの年を人間に直したら70歳のおばあちゃんだったんだって。

夜は部屋に入って寝てたんだけど、ボクが「クゥーン」と鳴くとそ〜と覗いてくれる、そしてププッと話をしてくれるんだ。もう聞けないけどね。

そしたら、お母さんがそーっと抱いて布団に連れて行ってくれるたんだ。

温かったなぁ。

1人でしょんぼりとお留守番をしているボクを見てて、お母さんは時々ボクの仲間の匂いをつけてくるようになった。ボクはどこかボクの見ていない所で可愛がっている仲間がいるんだと思って、いつもはお帰りと飛びつくんだけど、匂いをつけてきたお母さんは嫌いだからスッ…とお母さんから離れるんだ。

そんな時のお母さんはちょっと困った顔をしてたな。

そんな事を何回か繰り返してたある日、仲間と違う匂いがしたんだ。

その匂い吐きにならなかったからいつものお帰りなさい。と飛びついた。

その時ね、お母さんはホッとした顔してた。

なんでだろう?

そんな事を考えていたある日、弟を連れてきたんだ。

弟は「ワン」とはなかず「ニャン」と鳴いた。

ボクの頭の中は「?」になってしまった。

この弟は、とても気が強い。手も足も短いし、とにかくボクより小さい。なのにボクに対等に向かって来る

でも、決して爪はたてないんだ。ボクももちろん本気で噛まないよ。

でも、ある時に何かの拍子にボクの耳を本気でかじったんだ。それが凄く痛くて思わず

「キャン」

って泣いてしまったんだ。

ボクは怒り心頭して、もう口を聞いてやらないと、しばらく無視をしていたら、お母さんがもう仲直りしなさいと怒られてシュンとしてしまったよ。

あれから6年。

ボクは弟と仲良く留守番をしている。

そして部屋中を2人で追いかけっこして、仲良くらしている。

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