#35. ご注文は恋愛ですか?

あちこちで、色んな声がする。

右を見ても、左をみても、いろんなお店がずらーーっと並んでいる。

道中は店に並んだり、お目当ての店を探す人で、溢れかえっていてー


「やば……まるで文化祭じゃん、これ……」


その光景に、思わず呟いてしまう。

私ーリンネは現在、城下町にきている。

なぜかって?? それは、バザールに参加するためであーーーる!!


「バザールとは、年に一度街全体で開かれるイベントです。職業や種族、国籍関係なく出展でき、掘り出し物やセールなども多彩に行われます」


「うおっ、なんかレアそうな果物ある!! 美味しそぉ〜!!」


「中でも、今回はどこが一番売れたかを競い……」


「あ、このアクセかわいい〜来れなかったみんなへ、お土産に買って行かない?」


「……お嬢様、ここにきた目的を忘れていませんか?」


あーそうだった、あっぶねつい……

なぜバザールに来ているのか、それは言うまでもなくアミさんを探して、尋問するためである。

彼女とはアサカがおかしくなって行った以来、全然顔をみることも話題に上がることもなかったから、会うことすら久しぶりである。


アサカに芽生えた、好きを知りたいという疑問。そう思う元凶は、やはり彼女の存在にあった。

そもそもなぜ自分を捨てたのか……捨てられた手前、聞きに行くことすらアサカは抵抗あったみたいだけど……


気になるなら行けばいい、聞きたいことは本人に直接聞けばいい。

そう背中を押してくれたのは、紛れもない四天王の他の3人だ。

仲間のために率先して動ける……やっば四天王、最強やね!!!


「わかってるよ〜アミさんと話すんでしょ〜? 大丈夫かねぇ〜聞いたところで、答えてくれそうにない気がするんだけど」


「もともと、彼女は秘密主義ですから。自ら他人との壁を作ってしまいがちで。かつてはぬいぐるみである私に、唯一の話し相手として、たくさんの話をしてくれました」


「え? そうなん??」


「意外ですか? ああみえて、おしゃべりなんですよ」


ほえー、さすがアミさんのぬいぐるみ。

私が知らないだけで、アサカは彼女とたくさんの時間を過ごしてきたんだろうなぁ。


「やっぱりよく知ってるね、アミさんのこと」


「……生まれた時から、おそばにいましたから」


「アサカってさ、自分じゃ気づいてないだろうけど、アミさんの話すると普段じゃ見れない顔するよね。怒ったり、悲しかったり。アミさんの話してたアサカ、今、すごく優しい顔してたし」


「……ですが、アミは私のことなんてー……」 


「好きって何か知りたい、って言ってたけどさ。それってもう、自分の中で答え出てるんじゃないかな?」


私が諭すようにいうのも、アサカは納得し難いとばかりに顔を逸らす。

うーん、これはなかなかに難しい……こりゃあアミさんの狙いがはっきりしないと、溝は埋まらないか。


「あら? リンネちゃんじゃなぁい」


ん? 何やら聞き覚えがある声が……

と、同時に人々のどよめきのような声がする。

同時に全員がはけるように道の真ん中を開けだし、悲鳴のような歓声を上げる。

みんなの憧れの視線が向く、その先にいたのはー


「リンネにアサカか。珍しい組み合わせだな」


「こんなところで会えるなんて、運命感じちゃうわ。ねぇ、ディアちゃん?」


ふんわりとした金髪が、ゆらりとゆれる。

そこにいたのは、まさかの魔王と巳胡さんだった。

って、このバザールって魔王とかも参加できちゃうの!!? すんげぇな!?


「お、お母さんたち!? なんでここに??」


「えへへっ、いいでしょぉ? デート中なの❤︎」


「変なことを吹き込むな。買い物に付き合えとうるさいから、仕方なくといっただろう」


「もぉ〜そんなこと言って、毎年一緒に来てくれるじゃなぁい」


そう言いながら、巳胡さんは魔王にくっついてみせる。

彼女の手には紙袋がたくさん握られていて、結構買わされていることがわかる。

それでも魔王の方は、さながら嫌な様子もみられない。

さすが、というべきなのか……理想なラブラブ像でありがたすぎる……


「デート……交際中の相手が、日時を決めて会うこと……失礼ですが、お二人はどういう馴れ初めでご結婚を?」


「あらぁ、きになるぅ? だったらそこで、お茶しながら話しましょうか」


え! まじ!! ここにきて馴れ初めきけちゃう!?


「……リンネ、今のうちにアサカを連れて逃げろ。長くなるぞ」


えーせっかく聞けると思ったのにぃ、おかんのけちぃ。

興味は大アリだけど、今日の目的はあくまでもアミさんのことだもんな!

ここは心を鬼にして、彼女を探さないと……


「よってらっしゃいみてらっしゃぁい。ここにしかない、おいら特製錬金術の商品だよん〜」


そんな時、聞き慣れた声に思わず振り返る。

すぐそばの店には、声をあげて売り込むアミさんの姿があった。

彼女を見つけた私は、アサカに構わず声をかけて……


「あーみさん!!」


「ん? おお、リンネ君じゃないか。久しいねん、今日は一人かにゃ?」


「ううん、違うよ! あのね、アミさんに話が……」


「ご主人様! もうこれ使わないデスよね? なら、奥の方に片してきちゃっていいデスか?」


ん?? ご主人様、だと??

よく見ると、店の奥の方で誰かガサガサしているのがみえる。

棚から品を下ろしていたのか、しばらくするとこちら側にやってきて……


「あ、すみません! 接客中デシタか! ジブン、ご主人様のおつかい人形のドウルデス! よろしくデス!」


なん、です、と!!?


(つづく!!)


おまけの裏話

アサカと共に、いざバザールへ!((((っ・ω・)

リンネ「アサカ! せっかくだから、お店色々見て回ろーよ!(っ ॑꒳ ॑c)」


アサカ「アミを探すのが最優先です('ω'乂)」


リンネ「そうだけどぉ〜( ˙³˙ ) あれ、ポケットになんか入ってる……」


マヒル『叩いても壊れない斧! 必須!( ✧Д✧)』


サヨ『アクセ。高級、または限定品( *¯ ꒳¯*)』


ユウナギ『ついでに、晩御飯のおかずになりそうなものがあればお願いしますm(_ _)m』


アサカ「興味無い、私が行けばいいと背中を押してくれた割に、物を買わせようとするとは……彼女たちらしいですね( ˙꒳​˙ )フムフム」


リンネ(ぬ、抜かりねぇ……(・・;))


この後ちゃんとお買い物しました。

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