第39話

 校門のところを歩いていると、静夜の後ろ姿を見つけた。走っていって声をかける。

「静夜さん、おはようございます!」

「はいおはようございます。元気ですね」

「はい、朝から静夜さんに会えたので!」

「……そうですか」

「それじゃあ授業頑張ってください!」

「あなたも」


 トイレで朝食を吐いてから教室に入ると、やはり誰も居なかった。

 ミステリ小説を取り出して読み始める。静夜さんはこの時間は何をしてるんだろう。

 彼も小説を読んでいるのだろうか。

 小説に没入していると、早見に声を掛けられた。

「旭、昨日どうだった?」

「えー? うん、直前でキャンセルされた」

「は? どうしてまた」

「告白しちゃったから先輩に意識されちゃって」

「は? でも生きてるじゃん」

「つまりそういうことよ」

「はぁ? あんたたちのあの距離感で振られたの?」

「振られたよ」

「意味がわからん……」

 早見はこめかみに手を当てた。

「私は今日お前に会えなくなるかもって心配してたんだよ。恋が成就しちゃって死んでるかもって」

「たぶん先輩わたしのこと好きじゃないんだと思う。だから告白し放題」

「好きじゃないなんてことあり得るかなあ︙︙。っていうか告白し放題ってなんだよ。そのたまに出る極限ポジティブは一体何なの?」

「いやまあショックだけどね、でもむしろエウレカ! って感じだよ、お風呂じゃなかったけど」

「ショック受けてからの転換が頭おかしいんだよ」

「防衛機能が働いているのかな?」

「そうかもね」

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