潜入捜査
@nekochansong03
第1話
潜入捜査
見当たり捜査をしていた、彼はため息をついた。履いているスニーカーは、すでに底が擦り減っている。仕事は膨大な指名手配犯の顔を記憶して、検挙する、警察に帰ることはめったにない。職場が競馬場、パチンコ屋と言ってもいいくらいだ。相棒は60歳くらいにみえるヤマちゃん。端から見ると、競馬場の常連客にはなしてるように見える。軍人と同じ、体力勝負の警察で、40歳でこの職場は出世コースとは言え無い。
そこで見込まれて、潜入捜査に指名された。見とり捜査よりは出世コースなので、彼は即断した。
花盛まつりが公安に目をつけられたのは、ただのヒステリックな55歳のおばさんだが、夫に離婚され、一人娘の家族から疎遠にされ、親族や世間から嫌われていた。その原因は、ヒステリックな性格の為、全く非を認めず、成長することが無かったからで有る。そのおばさんに有りがちな、新興宗教にはまったことからである。
コールセンターや工場の軽作業などしていたが、そこでもその様な態度だったので、疎まれて居たようだった。辛うじて仕事はしていたが、何かしらうっぷんを内心に抱えていた。
毎度のように仕事場でうとまれて、それをうすうす感じて居た、花盛はとうとう、自分から仕事を辞めて仕舞った。その為生活苦で、たまたま夜に眠れなくなった為、精神科を訪れた。
その結果、生活保護を受けられたのも良かったし、自立支援を受けられたのも良かったが、生活保護を受けているのにもかかわらず、
善根を積みたいが為に、割りと良心的な団体で、寄付は無理しないように、生活保護者からは寄付を受け取らないことになっていたが、花盛まつりはその新興宗教団体には秘密にして、寄付をしたのである。
その割りと勢いがある新興宗教団体の弱点をつかもうと国は動いて居たが、
この件は格好の材料になっていた。
だが、その団体も花盛まつりは迷惑な存在で、やめさせたいが、そうも行かず、
花盛まつりもうすうす気付き、居心地の悪さから辞めていった。
だから公安が追う必要はなくなったはずである。
だが、潜入捜査の佐々武は花盛まつりの監視を命ぜられた。
何故か目につく存在で、
やらかし勝ちだが、本人はそれに気付いていないようすだ。
自立支援を受けれたのをいいことに、花盛は自立支援の現場でアルバイトをすることにした。精神疾患の者ばかりで、賃料は安いが生活保護を受けているので問題無かった。
花盛の目論見通り、指導員は、地味な見た目の40歳の青年だったが、福祉の為生まれて来たような、穏やかな性格だった。一般と違って、教え方も親切だった。指導員として、潜入捜査して居たのは、その佐々武だった。花盛にとって居心地も良かった。二人一組で色々な掃除現場に行った。そのもう一人の女の子は、20台前半のかわいい子で、おしゃべりだった。化粧もきちんとし、特にネイルは素人はだしで、褒めると満更でもないようすだった。その子はテキパキ行動したが、突然止まることがあった。最初は驚いたが、指導員は居たので、佐々武は戸惑うようすも無かった。
慣れて来ると、自分はこの程度の人間じゃないと、ネットカフェに行って、出会い系のサイトにアクセスした。他のアクセスした人は消極的だったが、6歳年上の男性と花盛はたちまち、定年退職したが、土地持ちの財産家の金持ちの男と、自分のアパートの近くのファミレスで会うことにした。携帯電話の番号も交換した。金持ちなのにファミレス?と疑問に思ったが、花盛は意気揚々と行った。それがその男はやくざだった。周りの席もやくざで囲まれていた。瞬間ヤバイと本能がささやいたが、何か?といわれ、コーヒーといった。趣味のことを問われたが、忙しいのでと断って離れた。だが翌日から近所のスーパーに、その男ややくざ風の男達が現れ、話し掛けられそうになったので、そそくさと花盛はその場を離れ、それ以降は離れたスーパーで用事を済ますようにした。その甲斐かしつこい事がなく、ホッとした所、
自立支援の現場の掃除の場が、広域に成り、新たに5人くらい人が入り、常時5~6人になった。前に付け狙われた組織も大きなやくざだったが、こんどはある意味もっと大きな組織だった。25歳くらいの若く、綺麗だったり、かわいい女性が二人、登校拒否をしていた25歳の男の子達、花盛には一番歳が近いが、60過ぎの定年退職したような男だったが、ぼんやりして居た。その中の、25歳くらいの若く、綺麗だったり、かわいい女性が二人、全くの正常だった。かわいい女の子は、とぼけた行動をしていたが、ミエミエだったし、綺麗な女の子は暗い印象を受けたが、演技で普段の性格を強調している印象で、全く正常だった。だが指導員は特に同情しているようすで、佐々武は二人共と肉体関係がある様子で、その大きな組織にそれを条件に、仲間に引き入れられたと推察される。役得があった。
だが、佐々武は警察官なので、いわゆる二重スパイである。
佐々武は花盛まつりに対しても同情的だった。姿が母親に似て居たからだ。せめてもうちょっときれいだったら、命懸けで守るのに、佐々武はそう言い訳しながら、事無かれ主義を通し、花盛の監視だけを続けた。
花盛まつりはモヤモヤ感と居心地の悪さを感じた。
花盛は、そうだ、北海道に行こう。と思った。
潜入捜査 @nekochansong03
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