第12話 特訓の成果
第一章
特訓の成果
結局、想像力である程度突破できる様だが、複合魔法はどうも魔力の組み合わせがうまく行かない。
ふぅ、魔力的にも気力的にもここまでだな。
「リリース」
手に出していた魔杖を解除して今日の訓練を終わらせる。
「ふぅ、ある程度はできたけど…そもそもこれであっているのかどうか。」
腰に手を当てながらグッと背中を伸ばしていく。ずっと同じ様な体勢で魔法を使っていた身体に伸びが染み渡る。
「エルー!ご飯だぞー!」
父が家の窓から俺のことを呼んでいる。両手を組む形で窓の縁に体重をかけ酒を片手にこちらのことを見ていた様だ。
「はーい!」
〜〜〜
あれから1年が経ち7歳の誕生日もこの間迎えた。
午前は父との訓練を続け、最近になって型を教えてもらう様になった。
魔法に関しては、魔法の等級上げを試みてからコツコツと難易度の高い魔法に魔力を自在に込めて速度や射程距離、効果範囲を弄る遊び…もとい訓練を続けていた。
「エル!今日は基本の型に加えて剣神流の型を学んでいくぞ!」
父が剣を片手に持って肩に乗せながら近寄ってくる。
「素振りを終えて型に入ってからすぐに次の型に入ってますが大丈夫なのですか?」
ウォーミングアップ代わりの素振りの手を止め父の方に近寄る。
父は肩をトントンと鞘に入れた剣で叩きながらもう片方の手を顎に当てさすりながら答える。
「んー、俺の持論なんだがな、素振りをしっかりとやった後ならば型はどんどんと吸収しやすいんだ。
だから、今体を温めている素振りを型でできる様になるのが目標だ。となると、いろんな型を覚えて苦手なものを把握して練習するべきだろ?」
「確かに…?ですね。父様って割と色々考えながら訓練してくださってるんですね!」
「割とってなんだ、割とって〜」
頭をガシガシと撫でられる。
「じゃあ、よろしくお願いします!」
「うし!始めるか!」
剣神流の型は基本的に攻撃と防御の型が半々だ。素直で愚直なってイメージが合うオーソドックスな型だが、これを極めるとこちらの手が制限されていくイメージだ。剣の合わせ方や行動の選択がどんどん剣神流の流れに持ってかれていつかは崩される。
先手を取った場合は詰将棋の様に相手の選択肢を狭めて遅れた場合に攻撃が当たるイメージ。
後手に回った場合は相手のミスを狙うためにしっかりと防御しながら隙を生み出すために剣の位置を前に出して防御のタイミングをズラしたりする。
「良いじゃないか。剣神流は型への理解度が上達へのものを言う。これからは型を使いながらもっと考えて剣を振るんだ。」
父に言われた通りに相手が切り上げだったら、もし防がれたら、避けられたらとケースバイケースを考えながら振る。
何度も素振りをしてきて剣を振っても疲れなくなってきたが、頭を使うこの型稽古はいつもよりも体力の消耗が激しい。
「よし、今日はここまでだな。剣神流の特徴として型破りな独自の流派や魔物なんかには通じないことが多いから気をつけろ。」
ぜーはーぜーはーしていると父からのありがたい言葉が上から降ってくる。膝に手を当てながら父の方を向く。
「ならそう言う相手にはどうするのですか?」
「まだ教えないが、俺なら龍神流でぶった斬るかな。龍神流は剣神流と違って攻撃の剣だ。相手が何かをする前に、何かをしたとしてもそれよりも威力の高い攻撃でぶった斬る。そう言う流派だからな。突き詰めれば魔法とかも切れるぞ。」
そりゃ全て使えるあんたからしたらそうでしょうが…。多分体のポテンシャル的には俺もできるだろうけど。
「水神流はどう言う型になるのですか?」
「水神流は全ての攻撃を受け流し、弾き、カウンターで急所を突いて敵を倒す剣神流のカウンター特化みたいな流派だ。こっちは魔法を受け流したり返したりできるぞ。」
「えぇ…聞いている感じだと剣神流が一番弱い気がするんですけど…」
「ちなみに剣神流は威力の大きすぎない魔法なら切れるし、返すことはできないが受け流すことができるぞ。」
「剣術って意味わからなすぎる…こっわ…。」
「はっはっはっ、そんなことができるのは王級以上の連中だけだがな!俺は魔法を切ることしか出来ねぇよ!それに、槍も斧も盾も似た様なことはできるし、弓に至ってはどの流派も全弾撃ち落とす奴もいるらしいぞ?」
「似たり寄ったりですね…」
どの武器も極めればいかれているってことかよ…
まぁ、ある程度ゲームでのスキルでも似た様なものがあったからわかるけど…
「だがなぁ、武器毎だけでなく、武器の流派毎に相性ってもんが存在するから気をつけろよ…」
「はい!」
「よし!良い返事だ!訓練を続けるぞ!」
バキンッ バキンッと木剣と剣の鞘がぶつかる音が庭に鳴り響いていた。
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