6 憧れに健気に尽くす男の性

こうなったら、最後の手段。

俺がソフィアを幸せにする。

神様、王子じゃなくたっていいんだろ?

最終的にソフィアを幸せにすれば。


「お姉様、はい……お紅茶」

「ああ、ありがとう。ほら、ソフィア、ケーキ食べて。今日はソフィアが主役なんだから」

「はい!!! 頂きます!」


今日は、ソフィアの誕生日。

俺は、とっておきのケーキとプレゼントを用意し、この日の為の準備をしていた。


「美味しい!! お姉様も、食べてみて!」

「ああ……ほら、ソフィア、ほっぺにクリームついてる」

「は、恥ずかしい!!」


本当に、可愛い子だ。

妹でなくたって大事にしたくなる。


でも、全く恋愛感情や性欲は湧かない。

こんなに愛おしいのに、不思議なものだ。 


「お姉様、ボクの顔ばかりじっと見つめて……どうなされたのですか?」

「ん? いや、何でもない。ただソフィアは可愛いなって……」


ソフィアの頬が、ぽっと赤くなる。


「もう! お姉様は! いつもそう言ってボクの事をからかう!」

「あれ、嬉しくないのか?」


「嬉しいに決まってます!!! お姉様の意地悪!!」


やはり、姉妹という関係性に基づく強制力が働いている。

そう考えるのが自然なのかもしれない。


「改めて、今日は誕生日おめでとう、ソフィア」

「お姉様、ありがとうございました。こんな素敵な誕生日パーティー、ボクすごく幸せです!」


「良かった。喜んでくれて」

「プレゼントのこのネックレス、一生大事にします!」


ソフィアは、少し涙目になっている。

嬉しさが溢れているのだ。

そんなところも可愛い。


「あの……お姉様の隣に行っていいですか?」

「ああ、おいで……」


確かに恋愛感情がない以上、恋人にはなれないだろう。

それは仕方ない。

でも、ずっとこうやって寄り添い暮らす事はできる。

これだって、幸せの形のはず。


「なぁ ソフィア……」

「はい?」


「俺がソフィアの事を幸せにする。それでいいか?」

「え……突然……お姉様は何を言いだすの?」

 

「ふふふ、王子の誰かをお前の恋人にさせようとしたが、やめだ。俺がソフィアにずっと寄り添う。いいね?」

「本当ですか!? お姉様!!」


「ああ」

「ボク、とっても嬉しいです!!」


俺とソフィアは、固く抱き合った。

涙を流すソフィア。

俺までもらい泣きになる。


「そんなに嬉しいか?」

「はい! もちろんです!!!」

「そうか……」 


俺は、いつものようにソフィアの頭を撫で、額にそっとキスをした。

ソフィアは猫のようにうっとりと俺の胸の中に収まった。


これでいい。 

二人幸せに暮らしハッピーエンド。

なかなかいい結末じゃないか。


「お姉様……」

「何だ、ソフィア」

「ボク、もう我慢出来ないです! お姉様!!!」


ソフィアは、突然、俺の膝に跨ぎ座った。

下半身同士が密着する。


「こらこら、いくら甘えたいからって、これはちょっとはしたないぞ? 女の子なのだから……えっ!?」


下腹部に固い物の感触。

これって……。


「お姉様……ごめんなさい。ボク、少しエッチな気持ちになってしまって」


前の膨らみ。アレ独特の形。

どうして!?


「ボク、恥ずかしいんですけど……とても興奮してしまって」


まさか、それって……。

男のもの!!!


(ちょ、ちょっと待って……思考が追いつかない。どういう事だ?

なぜ、ソフィアに男のモノが有る!?

女の子のはずだ……いや、本当にそうか?

いつから? 最初から? 嘘だろ!?

もしかしたら、これもストーリー強制力。

俺の認識すらも歪んで……なんて事だ)


ソフィアは、俺の服の中に手を忍ばせる。

そして、俺の感部を探り当てようと試みている。


「ちょ、ちょっと何を……」 

「だって、ボク、お姉様としたい……」


「したいって……だ、ダメだって! そんな事しちゃ!」

「ダメですか? ボク、お姉様の事、大好きなんです。それにお姉様だって ボクの事、幸せにするって言ったじゃないですか!!」


恥じらう顔で上目遣い。


キュン……。


(えっ! なぜだ? どうしてトキメキ?)


ソフィアが女の子だと思っていた時はこんなトキメキは無かった。

どんなに甘えてきても。

でも、今は違う。

まさか、年上に憧れる男の気持ちに共感してしまったのか。


ソフィアは、必死な表情で、俺に訴えかける。


「ボク、お姉様の事、出会った時から好きでした。

お姉様、ボクの為に色々考えててくれて、それが嬉しくて……。

でも、恋人探しは正直嫌でした。でもボク、我慢しました。

だってお姉様が大好きだから!!

ガッカリさせたくなかったから!!」


キュンキュン……。


なんてピュアなんだ。可愛いすぎだろ。

愛する人を慕い、ひた向きに頑張る。

男が愛する女に抱く気持ちそのままじゃないか。


でも、まずい。このままじゃ、俺は、ソフィアの気持ちに抗えなくなっちまう。

王子達のだけじゃなく、ソフィアのも受け入れる事になる。


「お姉様!!」


ソフィアは、思いっきり抱きつき、そのまま頬擦りをする。

どうしたらいい? このままでは、まずい。


「ボク、お姉様がボクの事をどうやったら意識してくれるか、ずっと悩んでいて……。

でも、お姉様のお気持ちが分かって嬉しい!!

お姉様、ボクとして下さい!! ボク、お姉様を気持ちよくしたいです!」


つぶらな瞳。

懸命に気持ちをぶつけてくる。

勇気を振り絞った、ギュッと握られた小さなこぶし。


キュンキュンキュン……。


(ああ、ダメだ。ソフィア。

恋に悩んだ男の子が決心し、ついに告白。

真っすぐで純粋で男として大事な勇気をみせて……。

尊すぎる……堕ちる……)


「ダメですか? ボクとじゃ?」

「いいよ、ソフィア。俺をソフィアの好きにして」

「嬉しいです!! お姉様!!!」


****


ベッドルーム。

姉と妹が、男の体で愛し合う。


『お姉様の体。とっても綺麗で美しいです……それに比べ、ボクなんて、まだ子供みたいで……恥ずかしい……で、でも、ここはほら、おっきくなるとお姉様と同じくらいになるんです!』


『……本当にボクのお姉様の中に入っているんですよね。ああ、すごい、感動です! 今、お姉様と一つに繋がって……ああっ、あっ、そ、想像しただけで、ボク、気持ちよくなってしまいそう……あっ、お姉様』


『お姉様のお尻、そんなにぎゅうぎゅう締め付けされたら、ボクのちぎれちゃいそうです……でも、とても気持ちよくて……ああっ、お姉様もボクので感じてくれてるんですね! お姉様もこんなに興奮して……ああ、お姉様の中。とてもあったかくて、ボクとろけそうです』


『お姉様、ボクもう、でちゃいそう……ごめんなさい、ごめんなさい……あっ、あっ……お、お姉様の中に出していいですか? ボクの愛の全てを捧げます……ああっ……ううっ、でちゃう、でちゃう!』


明け方になり、ソフィアの性欲はようやく収まった。


「お姉様……大好き……むにゃ、むにゃ……」

(ああ、俺も、ソフィアが大好きだよ……)


俺は、ソフィアの唇に、ちゅっとキスをする。


(ありがとう、俺を求めてくれて)


そして、俺は乱れた布団を整え、ソフィアにそっと掛けてやった。


****


気持ち良かった。

またしても男のモノで絶頂を迎えてしまった。


しかし、言い訳をさせてもらえれば、


こんなの気持ちいいに決まってるだろ!

妹といえど、こんな情熱的な男のモノに掻き回されてるんだからよ!


である。


しかし、これで文句はねぇよな。神様!

ソフィアは幸せになった。そして、これらもずっと。


つまり、これがこの物語のハッピーエンド。

で、いいんだよな?


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