第131話 剣術すげえ
ゾンビ化したドワーフたちを元に戻した。
「ここに居ては危険です。一時王都から非難してください」
私がドワーフたちに非難を呼びかける。
ドワーフたちは戸惑っているようだ。
『そらそーか。いきなり現れた知らんおっさんの言うことなんて、聞く分けねー。しかも、敵であるミブロ連れてんだからな』
ドワーフたちの警戒はもっともだ。
む!
「下がりなさい!」
地中から氷の柱……つららが急に生えた。
無数のつららが私達を貫こうとしてくる。
「極光剣。炎蛇!」
刃に炎の蛇をまとわせ、一閃させる。
蛇はつららをすべてくらい、蒸発させた。
「あの人我らを守ってくださったぞ……」
「いいやつなのか……?」
ドワーフの疑心が薄れてるのがわかる。
「いやいや、すぐに信用しすぎでしょ。ドワーフさんらよ。あんたらを騙すために自作自演してるだけかもよ?」
……ミブロがそんな古竜のお尻に、ぶすり、と刀を突き刺す。
「ぎゃん! いってー!」
「貴様はどちらの味方なのだ」
「おれはどっちの味方とかねーし! おれは古竜……最強の存在だし! 誰の下にもつかねーぜぇ!」
「ふぅん……じゃあ、あれから貴様は守らなくていいのか?」
「ほえ……? あれ……?」
ミブロも敵の攻撃に気づいてるようだ。
無数のつららが、地中から生えてきたのだ。
「どしぇえーーーーーーーー! なーんだあの大量のつららはよぉお!」
無数のつららが、まるで生き物のごとく、こちらに向かって降り注いでくる。
「ぎゃー! おっさんたしゅけてぇええ!」
「ミブロ。その子をつれてドワーフのもとへ。一箇所に固まっていてください」
こくんとミブロがうなずく。
ドワーフたちはあの巨大つららに怯えていた。
守ってみせる。
私は聖剣ファルシオンを引き抜くと、右手に持って構える。
「天王剣……!」
ずばん!
空間を切り裂く一撃。
切り裂かれた空間の穴に、つららが吸い込まれていく。
先ほどまであった大量のつららは、異空間へと転移させられた。
「なるほど……」
「なるほど!? いや、おっさんが何したのかわかるの!?」
「ああ。空間をきって、あの大量のつららを別空間へと移動させたのだろう。炎の攻撃で蒸発させてもよかったが、そうするとすさまじい水蒸気が発生しこちらに被害が出る危険性があったからな。さすがだ」
うんうん、とミブロが感心したようにうなずく。
「そ、そうか……。そういや、天王剣って転移魔法だよな。転移魔法を防御に応用したってわけか……すげえ発想だ……」
「「いや、転移魔法じゃない。剣術だ」」
「そう思ってるのあんたら剣バカだけだから!? なぁ、ドワーフの皆!?」
背後のドワーフたちに、古竜が尋ねる。
ドワーフたちは目を輝かせて……。
「なんという素晴らしい剣術だ!」
「ああ、あんな剣術みたことがない!」
「すごすぎる剣術だ!」
「剣術すげえ!」
ほら。
皆さん剣術を褒めてくれる。
「いやドワーフらよぉお!? あんたら目ぇ節穴!? どーーーーみても魔法じゃねえかよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
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