第72話 聖剣を進化させ転移門つくる



 魔銀の剣のおかげで、誰でも魔銀を製造できるようになった。


 ワンタ君たち兵士と協力し、たくさんの魔銀を採取できた。


「エヴァシマまで持って帰るのだるいっすねー」


 ワンタ君がそう独りごちる。


「副王様がいれば、一瞬で転移できるでしょ?」


 トイプちゃんがそう言う。

 私に私の天王剣があれば、魔銀鉱山からエヴァシマまで一瞬で止める。


「でもさぁ、そのたびに副王様に空間をきってもらわないといけないじゃないっすか」


 そう、一度斬って作った空間の穴は、時間がたつとしまってしまうのだ。


「副王様がいないと転移使えないっすからね。その都度出張ってもらわないといけないのって、副王様にとって負担じゃないっすか?」

「うーん……確かにお兄ちゃんの言うとおりだね」


 私が不在の時には、鉱山とエヴァシマの間を、皆さん長い時間かけて歩いていかないといけない。

 それは、なるほど確かにめんどくさい。


「空間の裂け目って、いじできないんっすか?」

「そうですねえ……」


 裂け目が開きっぱなしになっていたほうが、皆さんにとって都合がいい。

 それができればいいのだが、さて、どうするべきか……。


 剣術の威力(性能)を上げるためには、闘気オーラの量をあげればいい。

 もっと一気にたくさん、闘気オーラを流し込んで、天王剣を使えれば……


「む? もっとたくさん流し込む……それだ」


 私は一つのアイディアを思いつく。

 ハイミスリル剣を左手に持ち、逆の手には、聖剣ファルシオンを持つ。


『どうしたのじゃ、我が主よ?』

「少し試したいことがありましてね。いいですか?」


『無論じゃ。おぬしになら何をされても良い』


 ファルの許可がもらえたので、早速実験を開始だ。

 まず、私は左手に持つ、ハイミスリルの剣に闘気オーラを流す混む。


 ハイミスリル剣の刃を、ファルの刃を重ねる。


「ハイミスリルで闘気オーラ量を増幅させてから、一気にファルに流し込む……!」


 かっ……!


 次の瞬間、ファルシオンがまばゆい光を放った。

 左手に持っていたハイミスリル剣が青白い光に変換される。


 そしてその光がファルに取りこまれる。


『うおぉおお! なんじゃぁ! 力が……力がわいてくるんじゃぁああああああああああ!』


 光が、消える。

 私はすぐに、右手に持っていたファルの姿が変わっていることに気づいた。


 今までは片手剣だったのだが、両手持ちの、バスターソードになっていたのである。


『おおお! 力がみなぎる! 今なら……いけるぞ!』

「よし。では……」


 私はバスターソードとなったファルを片手で持ち上げて、振り下ろす。


「天王剣(改)!」


 ズバンッ……!!!!!!!!!


 そこには、人の10倍くらいの、大きな次元の裂け目ができていた。


「うわ! すげえっす!」

「前より裂け目が大きい……!」


 ワンタ君トイプちゃんが驚いている。

 そして……エルザも目をむいていた。


「す、すごいわ……これ……転移門ゲートよ……」


「転移門……?」


 また知らない単語が出てきたぞ。


「転移魔法の上位互換魔法よ。転移魔法は転移するたびに魔法を使わないと行けない。けど、転移門は一度作れば、何度も向こうとこちらを行き来できる」


 おお、なるほど。

 これなら、転移の都度、私が剣で空間を切らないですむ。


「すげえっすすげえっす!」

「転移魔法って古代魔法ですごいのに、さらにその上位互換を使ってしまうしまうなんて! さすがです副王様」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る