第15話

調子に乗った22歳の男は、仰向けで息を切らしながら訴えていた。


「なんか、坊っちゃん。今日のあたり、強くなかった、っすか…」

「しらん」

「坊っちゃーん。次ー、俺と組んでくれま せーん?」

「おー。今行くー」


フィルスの訴えをバッサリと切り、少し遠くの衛兵と模擬戦をしに行く。


「…なんであんま息、切らせてないんだろ」




模擬戦が終わり、昼食の時間になった。

模擬戦には途中から、いつの間にか父上が混じっていた。


というわけで、大人数での昼食である。


「もーらいっ」「は!?テメッ、返せ!」

「ほらほら。じゃんじゃん食いな!」

「うま!肉うま!」「野菜も食えよ、お前」

「はーっ、生き返る…」「スパルタすぎ…」

「おばちゃーん!これおかわりー!」

「そいや、子供生まれたんだっけ?」

「スンゲー可愛い」「今度、酒やるよ」

「あのパン屋いいぞ」「行ったことねーな」

「カスクートうまあ!」「なんか作ってら」


「ラース。チア嬢とはどうなんだ」

「2ヶ月程前に手紙を貰いましたよ。あとクッキーも」

「お?なんだ仲いいじゃねーか。ぼんもついに婚約か~?」

「気が早い。あっちまだ6歳だよ、師匠」

「返事は出したんだろう?」

「もちろん」


団長がまだ騒いでる。ホントやめて欲しい。恥ずかしい。


衛兵団団長、ダン。昔から俺に稽古をつけてくれていて、俺の師匠でもある。

父上とはライバル同士らしい。父上、母様、師匠の三角関係だったとかなんとか。現実にあるんだーって思ったよね。ほんと。

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