第12話

スターチアからの手紙を読んで、心から安心した。


よかっ、た~~~~~……。嫌われてなかった~~~~~……。


椅子の背もたれに寄りかかる。改めて手紙を見て、驚嘆した。思わずため息が出る。


「6歳にしては、綺麗な字だな」

「それはそうだろう。お前に手紙を書くためだけに、特に練習していたからな」


……………へぇ?


「まあ、元々チアの字はチアの可愛らしさが滲み出ていたしな。今の字はチアの可憐さが表れていてさらにいい。さすが、僕のチアだ」

「…そーだな。一生懸命練習して、書いてくれたんだ。返事を出さないとだな」

「あ?」

「ん?」


フリーズしてしまった。


ゆっくりと目を見開く。


汗をかきはじめた。


明らかに動揺している。

" 練習してた " のくだりは秘密だったんだろうなあ。


「…チアに言うなよ」

「大丈夫、大丈夫」

「怪しいな…………。ニヤニヤするな」


手紙と一緒に渡されたクッキーを食べる。

この前、伯爵家のグラジオラスの部屋で食べたクッキーと同じ味がする。


甘さ控え目で、小麦の風味が口の中に広がる、素朴なクッキー。俺好みの味。



この日は消灯時間まで、スターチアのクッキーと紅茶をお供に、グラジオラスと話をしていた。


スターチアへの手紙に、どんなことを書くか考えながら。

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