第2話 ナビゲーション
眠りから覚めると、草原は薄暗くなっていた。夕方になったようだ。夢うつつで昨日のことを思い返す。やはり水だけでは腹が空く。向こうに森が見える。果実を探しにいこう。森の中に猛獣は居ないか鑑定して見る。
ホーンラビットに注意。木の棒でも倒せる魔獣。食用。美味。
そして変わった色の果実が自生しているとか。
ホーンラビットってここは異世界かよ。あ、そうか、この洞窟はダンジョンって言ってたな。えーと、あの声は叡智の実を解説してくれたっけ。
「えっと、えいちさん、えっちさん居る?」
『ちょっと失礼な、私の事を変態みたいな呼び方しないでくださる、私はナビゲーションシステムの音声担当です。そうですねナビちゃんと呼んでくださいね』
「へえ、自我が有るんだ凄いね」
『うふふもっと褒めてもいいのよ』
なんだかめんどくさい奴だなと思いながらも俺は言う。
「うん、声も可愛いねナビちゃん」
『でしょ。で何を知りたいの?』
ここはいったいどこなの?地球?日本?」
『はい、ここは異世界【ラボラトリーク】の貴方個人所有のダンジョンです。ここは絶海の孤島です。あなた以外に人間は居ません。元の世界で人間関係に悩んでいた貴方を救うために召喚されました。孤独に耐えられなくなったときは別の世界に転移出来ますが出来るだけここで頑張って生きてみてくださいね。このダンジョンで採取出来る植物や動物、鉱物などは、貴方が必要とするものと交換することが出来ます。それについてはおいおい判ってきますが、今は魔物を倒してレベルを上げてくださいね。まずホーンラビット5匹の討伐をお勧めします』
まあ、ボッチには慣れてる俺だから孤独には耐えられると思うが今はナビちゃんの言う通りやっていこう。
森に入ると笹が生い茂っている。気を付けないと足をとられて転びそうだ。
ホーンラビットに襲われたら足を角で刺されそうで動物と戦ったことも無い俺は不安だった。ウサギは俊敏な動きをするイメージがあるからだ。
ガサガサっと音がして、笹が動いている。そこか!俺は棒を握りしめて身構えた。
バッとホーンラビットが跳びかかって来た。しかし遅い!跳んでいるのに、ゆっくりと動いている。まるでスローモーションのようだ。俺でさえ簡単に避けることが出来た。
(いかん、いかん!ボケっとしている場合じゃない。討伐しなければ。確か角を根元から折れば良いんだっけな)
再度襲って来たそいつの角を狙って棒を振り下ろした。
ブキュっと鳴いて息絶えた。
『お見事です!レベルが2に上がりました。魔石と毛皮と肉と角がドロップしました。和夫さんのストレージに収納されました』とナビちゃんの声。
「ストレージって何?」
『魔物の初討伐のお祝いとして入手したスキルです。時間停止の状態で保管できる倉庫みたいな空間収納機能です。あと4匹頑張って討伐してくださいね。レベルが上がると色々なスキルを獲得出来ますよ』
うわ!小説やアニメに出て来る便利機能だ。ようし、頑張ってスキルを集めよう。もしかしたら魔法も使えるようになるのかな?
俺は希望に胸を膨らませた。
★★★★★★★★★★★★★★
冒頭部分を修正加筆致しました。6/13
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