この星屑を口にして

冬馬海良

プロローグ

プロローグ

 エメラルドグリーンだ。

 一瞬のことだった。なのに、とてつもなく長い時間に感じた。

 無数の星々が空にザラメのように散りばめられていた。

 星々が集結した天の川。光の線は十字に交わり、キラキラと煌めき、輝きを放っていた。雲一つない空には、ぽっかりと空いた穴のように、青白くやわらかな光を纏う大きな月が顔を出していた。

 広い広い、広大な夜空の下、箒に乗って現れた君と対面した時間は、ほんの1秒にも満たない。

 それでも緑色の宝石のような瞳から目を逸らせなかった。

 あの一瞬で観た、君の色を、輝きを忘れない。

 君と過ごした魔法のような日々を。

 君の魔法を。

 この記憶は薄れ、やがて忘れる。それは約束であり、確定した未来だ。

 それでも僕は断言したい。

 君は僕の中に残り続ける。

 何があろうとも、君との出逢いは、ずっと。

 僕はあの日、世界の〈境界〉で、君と出逢った。

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