第2話
「ありがとうございます!ご主人様!」
たった二人きりの結婚披露宴会場で私はご主人様に心からの感謝を伝えました。
そうです。たった……二人きり。
ご主人様が私のために貸し切ってくれた会場で。
私、メアリーと申します。
有毒人種チフス人、おそらく最後の生き残りです。
普段はご主人様の元でメイド業に勤しんでいます。
このたび晴れてご主人様と結婚する事と相成りました。
二人きりで披露宴を開くなんてとんでもないことはご主人様のなにげない一言から始まりました。
「チフス人って結婚式とかどうしてるの?」
「結婚式ですか?外から人を迎えた場合はやりませんが、それ以外は一族総出でのお祭り騒ぎです。楽しかったなぁ」
有毒人種チフス人、その身体は余すところなく全てが毒。
いえ、決して無節操に毒液を垂れ流してるなんて事はありませんが、イベント事などで感極まったりするとどうしても抑えが効かなくなることってあるじゃないですか。
そんな訳で集落でのお祭りの際は立ち入り禁止の規制線を張るところから始まったりします。
まあ、集落でお祭りをする機会なんて無くなってしまった訳ですが。
「じゃあ、やろうか。結婚式。二人きりでさ」
もう無くなってしまった故郷に想いを馳せる私にご主人様が提案をします。
「……はい!」
本当にありがとうございます。ご主人様。
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