第4話 相合傘

「お願いします!我が国、世界をどうかお救いください!貴方がこちらに来ただけで、必ず雨は降り、人々が助かるのです!」

 と頭を必死に下げた。

 どうしよう。

 こんなに必死だと本当なんじゃ無いかと思えてきた。


「……日比野くん、私なんかに頭を下げないでください……。


 わ、私に出来ることなら協力するし……」

 と言うと日比野くんはパァッと笑顔になりまた手を握られた!!


 ぎゃっ!!


「本当ですか!?雨森様!!では、こちらに来てくれるのですね!?」


 あー、もう、どこでもついてきますよ!!


「は。はいっ!わ、わかりましたからあ!!」

 と言うと日比野くんはハッとして手を離し


「すみません、馴れ馴れしく!つ、つい……」

 と言い、とりあえず出てきた料理を食べ、それにも日比野くんは感動して涙を流しながら食べていた!


 会計を済ませてファミレスを出た。

 雨はさっきよりかなり強くなっていたから傘を広げる。


 折りたたみなのでちょっと小さい。

 というか、仕方なしに私と日比野くんは同じ傘に入っている!!!


 ひ、ひいいいいい!!

 か、肩が触れそう。

 と思って少し離れると日比野くんは

 なんと、私の肩を引き寄せた!!


「濡れてしまいますよ。風邪でも引いたら大変です!!」

 と自分の肩が濡れるのもお構い無しに私が濡れない様にしてくれる!

 ひい!


 学校の皆様!すみません!日比野くんと相合傘など百年早い、この地味な私目が!!



「あ、ありがとうございます」

 と消え入りそうに下を向き言う。


「本当はもっとゆっくりしたいのですが、そうも行かず、すみません」


 と先ほどの神社に向かう。

 石段を登り、上まで来た。日比野くんはまたあの装束に着替えると私を社の中に手招きする。


 狭いそこに入り、あの勾玉を出して


「神官長様!これから戻りますので繋げてください!!」


『わかった!』

 と返事が返されると


「さあ、雨森様。こちらに来て手を繋いでください!」

 と日比野くんと手を繋ぐことになり、ひいいいいい!!


 と恐る恐る繋いだ。

 すると勾玉が光り、


「飛びます!」

 と日比野くんが言うと


 次の瞬間、床に穴が空いた!!?

 バカっとまるで落とし穴みたいに!


「ひえええええええええええ!!」

 下に落ちる私達!


「手を離さないで!ああ!失礼します!」

 と日比野くんが私の腰に手を回して離れない様にした。


「ひええええええええええ!!」

 落ち続けて軽くパニックだが、次の瞬間に床の感触が感じられた!

 私はいつの間にか日比野くんに抱きついており、ゆっくり目を開くと……。


 白い部屋の中に祭壇みたいなのと、

 何人かの装束を着た人々がこちらを見ていた。


 私を話すと日比野くんが頭を下げて


「戻りました!神官長!皆さん!!巫女様を連れて参りました!」

 と言うと皆んなが泣き始めた。


「うっ!!よくぞやり遂げた!充!」

 と涙ぐむ人々に唖然として、ようやく私は


「ほ、本当だったんだ……」

 と驚いて腰を抜かした!!


『巫女様が!』

『大丈夫か!』

『直ぐに床の準備を!!』

 と口々に言い、


 私は一旦他の部屋に連れて来られた。


「まずは少々、お休みいただき、その後に、儀式に移りましょう!!


 申し訳ありません、あまりおもてなし出来ず……。



 食べ物などはまだ提供できませんが、その他何でもお言い付けくださいね」

 と言う。


「あのう……」

 そろそろと手を上げて日比野くんに私は聞いた。


「何でしょうか?」


「儀式って……一体どういうものを?そ、それに私、元の世界に戻れます!?」

 と聞いてみた。

 日比野くんは


「ええ、お役目さえ終えてもらいましたら、元の世界まで送ります!」

 と日比野くんは言ったので、少し安心はした。


「儀式は……、つまり雨乞いの様なものです。巫女様が天に祈りを捧げると渇ききった国に雨が降るとされています」



「何だ。そ、それなら前の巫女も直ぐに出来たのでは??」


「……いえ、こちらの巫女様は儀式の場に向かう途中に隠れていた敵国の暗殺者に狙われて命を落とされたのです!」


「そ、そんな!」

 と青ざめる。それってこっちの世界の私って事?私暗殺されたの!?怖っ!!


「あ、あの。それって今回も同じ事になるんじゃ!?それに巫女を殺してどうなるの?水は世界でなくなって人類滅ぶんでしょ?」


「それが……。今は敵国側も巫女様を使って儀式を行っているみたいですね。ですが、もちろん戦争中で巫女様の存在は自分達の国だけで良いと考える国が多く、他国の巫女様が邪魔だと思い、巫女様を暗殺するケースが頻発しているのです」


 な、何それえ。

 水の奪い合いをしていて、尚且つ、その水の確保の元となる巫女を消して自分の国だけ潤うつもりなんだ!ひ、酷い!!


「もちろん厳重に護衛をつけて儀式の場に向かう予定です!雨森様の盾になり、命に変えてもお守りします!」

 と日比野くんが真剣な顔してまた私の手をギュッと握り、私は


 ひゃああー!!

 と赤くなった。

 このイケメン野郎ー!!

 しかし、パッと手を離し日比野くんが申し訳なさそうにした。


「すみません。また、馴れ馴れしく!

 ま、前の世界では貴方は僕の憧れの人だったので!」

 と言い、私は


「ええっ!?」

 と驚いた!!


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