第29話 イタズラっ子

ひさめさんが、ゆみと私の腕に自分の腕を滑り込ませ、軽く組みながら私たち2人に小走りを促したのだ。



私は左腕に質感を感じてから、控えめに言って大パニック。


もちろん、すみだんをその場に置いていき、置いてかないでよー!という返しを期待しての行動なのは分かってる。


それだって、同時にゆみも同じ状況にあるのだって、分かってるけど......



ひさめさんが私と腕を組んでる!?嘘でしょ!?



それからすぐすみだんが追いかけてきて、(予想通り置いてかないでよー!と言いながら笑)ひさめさんと腕を組めてたのは1分も無いくらい本当に一瞬だった。


でもその一瞬の出来事で、私の寿命はいくらか延びた気がする。


気持ち悪いとか言わないでほしいけど、今でもちょっと感覚は残ってる。

無理に力を入れるとかでもなく、ふわっと優しく軽くて、触れるだけより長く密着している感じ。



ひさめさんが何を思って私と腕を組んだのか、組んでいる間どう考えてたのか、それは本人にしか分かりえない。


でももし、勇気を出してくれたなら、欲を言えば私に触れたいと思ってくれたのなら、これ以上嬉しいことは無い。



まさに天にも上りそうな気持ちで、やっぱり私はひさめさんが好きなんだなって改めて感じた。

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