第2話 手紙
それから、佑は寝た。
寝て、寝て、寝続けた。
寝る以外にできることがなかった。
睡眠の合間に目を覚ますと、玄関の郵便受けに一通の封筒が入っているのに気が付いた。佑は退屈しのぎに、封筒が落ちる音で目が覚めたのだろうと推理する。
それから短い睡眠を挟んで佑が再び目を覚ますと、封筒はまだそこにあった。――寝すぎて眠れなくなってきたので、宙に浮いているような
……国際郵便? 誤配達か?
と佑が思ったのは、宛名がアルファベットで書かれていたからである。
しかしその名前は、『
しかし佑は、名前をローマ字表記してくるような差出人に心当たりは無い。つまり差出人の名前は見ても分かるはずがないので、見ずに封筒を破り開け、中の薄い紙を取り出す。
製造記号 192111090R+UEde
通称 OTOGAYA Tasuku
問題の発生によりインターネットを通じての連絡が不可能であるため書面にて通知。
製造記号192111090R+UEdeの購入者が決定。二〇六八年九月十五日午前十一時に輸送業者が来る。
――やはり、誤配達だ。合っているのは名前だけ。
近頃では、長期間動かさないと不具合が起きるAIロボットのメーカーと、
佑は、近くの物件に『OTOGAYA Tasuku』というロボットが置かれていて、自分が
富裕層の遊びになど付き合っていられない。
佑は開封済みの封筒と手紙を郵便受けに突っ込み、再び布団に潜った。
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