出会い⑪
河原千晶になんか、目も向けてやれないくらい、俺に夢中にしてやる。そんなことを考えるまでに俺はダサくなってしまった。それくらい美鈴に惚れてしまった。
美鈴を抱いてからは、女遊びをしなくなった。と、いうか。河原美鈴以外の女に勃たなくなってしまった。かなりの重症だ。
「最近、女の子と遊ばないんだってね」
いつもの店のカウンターでコーラを飲んでいると、香織が隣に腰をかけてきた。俺が女遊びをしなくなってからというものの、香織がやたらとくっついてくるようになった。
「ああ。面倒になったからな」
「なにそれえ」
甘ったるい声を発しながら、香織は俺の左腕に巻き付く。グロスでテカテカの唇をにやつかせながら。なにか言いたげだが、俺はそれに気づかないふりをする。
「香織ちゃん」
夜の友人が声をかけてきた。
「少し話さない?」
香織に気があるらしい夜の友人は、俺に目配せをしてくる。香織が俺の方を見ていないうちに「連れて行っていいぞ」と口パクした。夜の友人は嬉しそうに頷く。
「えー…でもぉ」
香織は俺になにかを言ってほしげに、上目遣いをしてきた。ああ。非常に面倒だ。
「誘われてんじゃん。行って来たら?」
絶世の笑顔を浮かべながら言ってやった。香織は一瞬だけ面食らったような表情をした後に、徐々に茹蛸のように真っ赤に染まる。
「なにそれ!!!ひどい!!!」
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