4 ギンフウの羽根ペン

 こちら『ギンフウの羽根ペン』でございます。

 書類仕事の多い方の必需品。

 中世ファンタジー感をバリバリ演出するにはもってこいのアイテムでございます。

 魔法のある世界設定ですので、このペンにもなにやら魔力付与が施されている……設定だったはず……なのですが、忘れてしまいました。


――――


(さて、どうやってコクランを誤魔化すか……)


 ギンフウは平静を装いながら、倒れた執務用の椅子を引き上げ元の状態に戻す。

 そして、深呼吸を何度か繰り返すと、なにごともなかったかのように座りなおし、そのまま書類に向き合った。

 ギンフウが心を無にし、新たな書類に必要事項を書き加えていたとき、今度は背筋に悪寒が走った。

 心が激しくざわつき、引き裂かれるような、焼けつくような痛みに襲われる。

 うめき声の代わりに、バキッ、という乾いた音がする。

 驚いたコクランがギンフウの手元を見ると、彼が手にしていた羽ペンが真っ二つに折れていた。


――――(『生贄奴隷の成り上がり〜堕ちた神に捧げられる運命は職業上書きで回避します〜』本編より)


「お兄さま、お兄さま、ここにも、お兄さまのお仲間がいらしてよ!」

「どういう意味かな? イトコ殿?」

「羽根ペン割りの達人がいらっしゃいましたわ!」

「…………イトコ殿」

「しかも、真っ二つですって! お兄さまとよい勝負ですわ! 今度、羽根ペンを真っ二つに割るコツを教わりたいですわ」

「いや、それは必要ないでしょう?」

「いいえ! わたくしも、お兄さまのような羽根ペン割りマスターになりたいのです!」

「……イトコ殿、わたしが悪かった。これからは羽根ペンは大事に使います」





〈イラスト掲載先・近況ノートに飛びます〉

https://kakuyomu.jp/users/morikurenorikure/news/16818023212054838220



〈この作品は……〉

4-5.見つからなかったら、怒られないわ

https://kakuyomu.jp/works/16817330666712685959/episodes/16818023211997898591

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