第13話「起・咲のお古の剣」
ビルドは、感情をサキに対して吐露する。
「他の事なんてどうだっていい。あいつが空を自由に飛ぶ竜だってんなら、俺は地を這う虎になりたい。どんな形だっていい、俺はあいつに勝ちたい。あいつを憎んでるとか、酷いやられ方をしたとか。そんな事はどうだっていい、頂きを見つけた、だから登ってみたい。あいつを、戦空を超えたい! ヤツの、奴の為だけの天敵に俺は成りたい! あいつと、並び立ちたい!」
その姿に、サキは女の子には無い男の子を見た。
「……男の子だなあぁ、キミは」
《物拾いが発動しました。〈先取り披露〉を覚えました!》
〈先取り披露Lv1〉
相手が使おうとしている攻撃技を自分の技として使い、ダメージを増倍する。後攻になった場合や、相手の技が変化技や必殺技の場合は失敗する。
だがしかし、恋愛感情は芽生えるはずもなく、むしろ悪落ちしそうな初心者に対して、その話の展開なら、と、話を続ける。
「んで? その戦空に勝ちたいってのは具体的にどう勝ちたいの?」
「何? ……勝ったこと前提で話を進めるのか」
「ビルドの心意気、立派だと思う。勝てたらそれこそ気分がいい……ただし。たった1人に勝つことなんて最前線は考えてない。全体論、その時その状況で正しく勝ち続けるからこその第一線なのよ。例えば、戦空だけに勝てる戦法を考えて、実際に出来たとする。誓約をより強固にすればそれも可能でしょう。でも、〈どう勝つ〉か決まってない」
「……」
「相手を一方的にマウント取って勝ちたいか。戦いの後に余力を残すか。戦い終わり、目的を達成したら死んでもいいのか……。悪いけど、死んでもいいから勝ちたい何て子に私は技術を教える気は無いわ。その上で、どう勝ちたいか聞いてるの」
「……」
この話は泥沼にハマりそうだったのでサキはビルドに対して本来の話題に戻す。
「ま、この話は一旦保留にしましょう。話を戻して……、剣だっけ? ナマクラの剣3本を何とか揃えたいって言う……」
「あ、おおう。そうだった、いくらスキルでセンク……、勝てそうに思えても、実戦で使えなきゃ意味ないもんな」
怒涛剣グラムボルトは自分で用意したが、残り3本の剣となるとアテが無さすぎるし材料もないし。そもそも戦闘も実戦も、モブ敵ともバトルしてない……。
そこで、サキは後ろ頭をカキカキしながら「しょうがない、あたしのお古を貸してあげよう」と言ってくれた。
「いいのか!?」
「ただし、貸すだけだから返してね? えっと、何処にあったかなあ~……」
サキのストレージの中は、アイテムや武器がゴッチャになりすぎてわけがわからない状態になっていた。
持っていたサキのお古は……。
「全部エンドコンテンツじゃねーか!?」
「まぁ、アルテマウェポンが無いだけマシということで……w」
「それの何処がマシなんだよ!?」
ビルドがサキのお古にツッコミを入れる中……。そしてあとは、
《右手に
「出来た! 〈
あとは実戦あるのみ! なのだけれど……。という所でサキが察した。
「試し斬りでしょ? いいわ、相手になってあげる」
戦空にスキルが効くかもわからないし、いきなり四刀流の夢が叶っても、技術や実戦が皆無じゃ意味がない。
〈第三休憩所、憩いの洞窟住居『スヤリ』、ビルド工房拠点〉の外側の広場。
「えー審判は、不本意ながらこの私、デストロイがやろうと思います~!♀」
ビルドとサキは広場の中心に陣取り、臨戦態勢に入る……。
「ルールは簡単、何かそれっぽくいい感じに一本取ったほうが勝ち! 私がソコマデと言うまで続きます……それではさっさと……ハジメ!」
サキはステータス画面を手で移動させながら表示。愛刀、
(エンドコンテンツがお古って、こいつは、こいつとその剣は何処まで強いんだ?)
「「よろしくお願いします!」」
ここに来て初めての対戦、お互いの力量がわかるいい機会になりそうだ。
試し斬りと言う名の、決闘が始まった――。
「では先手はもらいます! ただの普通の〈森羅万象のワルツ〉!」
(来た! このスキルは貰ったから知ってる! 連続8属性、8連撃攻撃!)
シュババババン――!
と、戦いが始まった――。
◇◇◇
プレイヤー名【ビルド】、ランク【ビギナークラス】。
〈ビルドLv2U〉〈
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