第12話「結・仮想敵2」

 仮想敵として信条戦空しんじょうせんくうを選択し、スキル〈反応速度論はんのうそくどろんLv1〉と〈威圧抵抗力いあつていこうりょくLv1〉を手に入れたビルド。残りは〈常識外れ〉と〈何か〉への対策だった。

「常識外れは、ルールの枠をぶち壊すようなプレイスタイルというのはよく分かる、型破りみたいなな……。だが、何かって何だ? 〈透明な何か〉があるという言い方しか出来ないぞ……」

 この〈何か〉を対策しなければ、本当の意味で対策したという事にはならない。抜け道が出来てしまうという事だからだ。たぶん何にでもなれるとか、何でも出来るとか、そういう意味だと思うのだが……。そもそも〈何〉とは何だ?

《解答。何、とは。物事をどんなものだとは、はっきり定めずに指し、また名がわからない物事を指すのに用いる語》

「あー、つまり『エックス』ってことか……。説明不要・・・・根拠・・ね……」

 ここを叩かないと終わる。何故ならこの滅茶苦茶を封じなければ、いくら理論を構築した所で無駄無駄無駄の無駄に終わるからだ。

「そんなの、フェアじゃない……!」

 これはつまり、永遠に解けない謎々のようなものだった。しかも解かせる気がないし、一生教える気もないと来た……。

「……」

 サキは沈黙する。ソレを封じる手がサキにはあるからだ。だが、ビルドにあげるにはあまりに強力すぎるのも事実……。サキはゲームマスターヒメに提言する。

「お姉ちゃん、私は理解出来てなかったからアレだけど……これって」

「そうじゃな、今後のゲームし支障をきたす……よってゲームマスターのワシがスキル〈禁ずる弾丸〉を使おう……」


 ゲームマスターヒメが赤き真実を使う。

 〈禁ずる弾丸〉

 『なに』とは『エックス』の事であり。今後、『何か』の答えが用意されて無い使用は不正・フェアじゃない行為と審判・・され、禁じられる。何も無い・透明な物でも構わない、だが永遠に決めていない、は不正となる。『何』が中身かは、後から決めてもいい。


 で、ビルドの場合はどういったスキルを持てばいいのだろうか?

「〈常識外れ〉は〈型破り〉だから、それをガードないし回避するスキルはと言うと……。ポ○モンで言うと、相手が型破りを持っているから、〈化けの皮〉や〈守る〉は貫通してくる……てことは、単純な防御力を上げるか回避率を上げるか。……になるか」

 ビギナーのビルドがマスターランクの戦空相手に、防御力で防ぎ切るのはまず不可能……。というか、戦空が攻撃特化型だから無理だ。

 となると、普通に回避率を上げるしか方法がない。〈反応速度論〉が一度は絶対に攻撃を受けたり、目視しないといけない以上。初撃の回避率を上げるのは、ビルドにとってはかなりの生命線になる。一回だけ回避して、一回目視すれば、あとは〈反応速度論〉である程度何とかなるはずだ。つまり特性で〈必ず一回は回避する〉というスキルないし特性がないと、戦空とまともに戦えないで一撃の型で終わるのである。

「ポ○モンだと、HPが必ず1残る気合のタスキ系か、絶対地面技回避の風船、とかそんな所だろう……」

 一回だけ絶対に回避できるスキルか道具……。仮に道具だとしたら、〈化けの皮〉絶対回避の道具持ってたら、2回攻撃を耐えてしまう化け物ゲームになってしまう。となると多少、大きめのデメリットが無いとゲームにならない……。

「じゃあ、スキル〈絶対回避〉、初撃の攻撃は絶対に回避出来るが、代わりにHPは半分ダメージを食らう。とかそんなスキルか?」

 ミ○ッキュ君も、〈化けの皮〉でダメージを〈身代わり〉したらちょっとHP減るし、タスキ対策上、そうなるだろう……。

学習ラーニングしました。ゲームの進行度合いと合わせて、スキル〈絶対回避Lv1〉を獲得しました》


「よし、これで〈常識外れ〉の対策は取れた。……で、後は〈何か〉だよ! どうやって俺自身が対策するんだよコレー!?」

 ビルドは頭を抱えてウオオオン! と唸った。サキが話の材料を提供する。

「ビルドにとっては、戦空の〈常識外れ〉な〈何か〉の攻撃がビルドを襲う! てゲーム上の表記になるのかしら?」

「たぶん、見てなかったからわかんないけど。いや待てよ、……〈何か〉てことは〈真偽看破しんぎかんぱ〉とかすれば、少なくとも対策は取れるのか? ……たぶん一瞬すぎて何も対策取れないけど……」

「考える時間も無いだろうね」

「となってくると、いよいよ〈加速世界アクセルワールド〉なるものを学習ラーニングしないと、戦空と戦えないんだが……」

 サキはそれはちょっと、と悩んだが。

「まあ良いんじゃないかな? 相手はマスターランクだし。どうせレベル1でしょ?」

学習ラーニングしました! 〈真偽看破しんぎかんぱLv1〉と〈加速世界アクセルワールドLv1〉を覚えました!》


 〈絶対回避ぜったいかいひLv1〉

 一度だけ、目視・不可視・不認識だろうと、初撃の攻撃は絶対に〈回避率100%〉になる。自身の限界以上の動きをするので体が耐えられず。代わりに自身のHPは半分ダメージを食らう。


 〈真偽看破しんぎかんぱLv1〉

 物体不明の『何か』が何か判る。それが真実か虚偽であるかも判る。


 〈加速世界アクセルワールドLv1〉

 思考が加速し、世界がゆっく動いているように視える。考える時間が増える。


◇◇◇


 プレイヤー名【ビルド】、ランク【ビギナークラス】。

 〈ビルドLv2U〉〈業魔幻滅剣ごうまげんめつけんLv3U〉〈物拾いLv2〉〈ウインドカッターLv1〉〈地脈Lv1〉〈学習ラーニングLv2鍵〉〈心眼しんがんLv2鍵〉〈トランジスタLv1〉〈連鎖反応れんさはんのうLv1〉〈地図師Lv1〉〈鷹の目Lv1〉〈森羅万象のワルツLv1〉〈秘匿ひとくLv1〉〈投影トレースLv1鍵〉〈ロックLv1〉〈奪取ダッシュLv1〉〈妨害ジャミングLv1〉〈鏡転きょうてんLv1〉〈四刀流よんとうりゅうLv1〉〈反応速度論はんのうそくどろんLv1〉〈威圧抵抗力いあつていこうりょくLv1〉〈絶対回避ぜったいかいひLv1〉〈真偽看破しんぎかんぱLv1〉〈加速世界アクセルワールドLv1〉

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