第1章「スキルビルダーズ」西暦2037年9月15日
第1話「起・スキルビルダーズ」
まず、主人公。
〈ログイン、オン!!〉
〈第一の街、始まりの街ライデン〉
人人人……、街には、初心者プレイヤーで溢れかえってい第1話「起・スキルビルダーズ」る。
とは言えまずはスキルだ、VRゲームに始めてログインしている以上。スキルを習得しないわけにはいかない……。
本名、
プレイヤー名、ビルド。
スキル〈斬撃Lv1〉
「……」
これだけだった、コレしか彼の存在価値はなかった。
「しゃーない、これからいっぱいスキルをビルドしていくか~~~~」
などと、脳天気な事を言いながら。心八は、散策へと向かうのであった。
……、と、その前に。
「まずはギルド登録しなきゃ始まらねーよな!」
こうして、ギルド『スキルビルダーズ』は出来上がった。……まだ
「初心者なんだから、優しくしてくれよな!?」
「ん~どうしよっかなあ~? スパルタも案外悪ない……?」
「ビルドに限っては良いんじゃないかな? なのじゃ」
左右にいるのは超ベテラン上級者、天上院咲/サキと、天上院姫/ヒメだ。
ここではサキとヒメで名が通っている、二人共バリッバリのガチっガチの最前線
プレイヤーだ。
これから先、追いつけるか心配なビルド……。
「で、これから先の事を最前線プレイヤーであるお前達2人にレクチャーしてもらおうと思う」
ビルドは初心者プレイヤーだ、何が何だかさっぱり解らない。
こういう時、ベテランがいると……何と言うか便利だ。
「じゃーそんなわけで好例行事! 草原でスライム退治だー!」
「おー!」
「お、おおー!」
雄叫びとともにビルドは右腕を上げる、こうして、冒険が始まったのだった。
で、1人で冒険に出たのだが……。
「何とレベルが2になった!」
それは良いのだが……。
何かユニークスキル〈ビルド〉なるものを付けて帰ってきた。
「何でユニークスキル持って帰って来るかな……」
ヒメがツッコミを入れる。
「本当だ、学習してもコピーや強奪、〈
「仮に無理やり強奪しても、ゴミスキルに成り果てるだけだからな、それがユニークスキル」
それは知らなかった、とサキは言う。
んで、ビルドの方なのだが。
「んで、色々スキルを
「ん? 拾ったの? 技マシン的な感じでかな……?」
「じゃね?」
ここはエレメンタルワールド、何が起こっても不思議じゃない。
【所持スキル】
スロット1〈ビルドLv1〉
スロット2〈
スロット3〈ウインドカッターLv1〉
「どうだろうか?」
攻略組上級者の2人に判定をお願いするビルド。
「良いんじゃないかな?」
「あぁレベル2にしては上出来じゃ!」
やったぜ! これで俺も晴れて冒険者の仲間入りだ……! と、息巻いて喜ぶビルド。果たしてこの冒険やいかに……?
「所で、2人からマップはもらったが、俺のまずすることって何だ?」
2人はお互いの顔を見合わせてから、同じ答えを返す。
「漫才の相方じゃな、会話のキャッチボールができん」
「一緒に冒険をしてくれる相棒、良くも悪くも支えられる」
そうなのか? と、結構不思議がるビルドだったが。
ヒメは冷静に言う。
「今はわしら、サキとヒメが会話を持たせているが、立派なギルドとして冒険を続けるなら、個性的な相棒、ないし。心の寄せられる安心して冒険できる相棒は必須じゃな」
サキはおおらかに言う。
「ログインしてからのオススメのプレイング方法! オススメは1人でもギルドを作ること! 移動拠点か、固定拠点か! とか何だけど……、ビルドくんはもう出来てるから、次に必要なのは【漫才の相方探し】かな~~~~、これずっと会話のキャッチボール劇が続くから。かな~り重要だよ??」
「なるほど相方か~~~~」
ビルドは手を顎をくっつけながらウンウンと頷いた。
「最悪、最初に組む相方、1人から2人が最後まで命運を分けると思っても良い」
「だよね、私達の冒険の場合。最初から最後まで一緒で、途中から入ってきた相棒は全員空気だもん」
それはちょっと言い過ぎなんじゃないかなとも思うが、あながち間違ってはいない。
「なるほど、物語の最後の最後まで一緒に居たい漫才の相方か……」
ビルドは「ようし!」やるぞ! と気合を入れる。
「最後まで一緒ならまずは面接だ!!!! 漫才の相棒を面接しよう!!!!」
どの面が下げて面接と言うのだろうか……????
◇
というわけで、実際にコントをやって今後の展開を占うことにした。
エントリーナンバー1、メスガキネズミちゃん。
「あ♀ あは♀ ザコじゃん♀ ザーコザーコ♀」
「おい! 裏方でプロフ読んで、こいつと話しをしたが! キャラが濃すぎるぞ! 俺が作ってこいつが壊す、みたいな相棒構成みたいだが! 何か色々ツッコミどころ満載だぞ!」
「なぁ~んでじゃ~ん♀ 別に減るもんじゃないし~♀ そのヨワヨワビルドで残念な錬金術作ってよ~~♀ ザーコ♀、変態♀、気持ち悪い♀ 刑務所帰って貰って良いですか~~~~♀」
「……、なあ、サキ&ヒメ。俺の相棒、これででいいと本当に思ってるのか!?」
「ナニソレ~!♀ ひっどい言われよう何ですけど~~~~♀?♀」
「触んないでよ♀ 逮捕するよ♀ 囚人さん♀」
「触らねーし! 逮捕もされねーし! 囚人でもねーよ! パワハラ通り越してむしろお前がセクハラだ!」
――審査員、サキとヒメは冷静に困惑する。
「……【強烈な個性がある】ことは良いことなんじゃが……」
「こ、これが相棒……、このノリを最初から最後まで……?」
……持つかな? 保てるかな? 主にビルドの性癖が歪みそう。
「まともに考えれば、最初はお飾りで♀ 付けまくっても別に問題はない」
「ないけど、相方が疲れそう。……脇役で輝き過ぎちゃった三下みたい」
「あーあるよね、主人公より目立って作品食っちゃったみたいな……」
「数こなせば、慣れて馴染むと思うけど、終始メスガキネスミちゃんと一緒に居たい、相棒として、パートナーとしてコントを永遠するとなると……」
「あと、これは余波じゃが、社会的影響力がめんどそうだな」
「悪と善の対比としては良いかもよ?」
「だとしたら善、主人公ビルドが弱い。タダでさえ宗教法人とかいうわけわかんねー組織票が多いのに、更に和をかけて酷くなる……」
エントリーナンバー2、等身大幼馴染ちゃん。
「何さビルドまた寝坊したの~? たーっく私がいないとダメなんだから~」
「しょうがねえだろ? 俺朝速く起きるの苦手なんだからさ」
「そんなこと言って、また夜中までゲームしてたんでしょ~? ダメじゃない、ちゃんと区切りの良い所で寝なきゃ、メ!」
「ぐぬぬぬ、すみません」
「あんたの事は私がよく知ってるんだから、体に気を付けなきゃだめだよ~?」
「へーい」
――審査員、サキとヒメは冷静に平静だった。
「普通だな」
「まあ等身大ですし?」
「湘南桃花の系譜何だよなあ~、ある意味一番安定して長続きする型とも言える」
「それだったら桃花先生がいるじゃん?」
「それな、成功体験があるから等身大で行こう。は冒険してない感じがする」
エントリーナンバー3、頭の良いお姉さん。
「また宿題わすれたの? しょうがいなぁ、私の写してあげる」
「え、まじ? 本当? ありがとう~!」
「と、思ったけど~。それじゃあ自分の身にならないので私がミニテストしてあげまーす! まずフェルマーの最終定理について~……」
「わかるか!!」
「あぁ、その定理が解けない問題だって頭ぐらいはあるのね~」
――審査員、サキとヒメは斬新に思えた。
「お姉さんキャラかー」
「今まで、ロリ・ガキ・チビ・頭悪い系の相方女性が多かったからこれは意外ね……新天地?」
「まあ掘り下げてない地平線ではあるものの……あと、変に子供に解りやすくとか、小中高校生に媚びを売る必要はないのはデカイアドバンテージだ」
「こんな頭の良い高校生居るか! ぐらいが逆に小説に向いているみたいな?」
「そうそうそんな感じ。じゃあ最後にあれやるか!」
「でたよ闇鍋……、全部混ぜれば美味しくなる的な発想……」
エントリーナンバー4、等身大の頭の良いメスガキ幼馴染お姉さんネズミ。
「てゆーか! この発想だと頭の良いロリ巨乳のイメージあるんですけどー♀」
「それはお前の発想だろ!? てか中身がウザいママじゃねーか!?」
「ヤダー!?♀ その歳でマザコン♀!? お家帰っておっぱいチュパチュパしててくれませんか~赤ちゃ~~ん♀ 私は政界の娘で忙しいんですう~♀ パスで♀ 帰って♀ ダッシュで♀」
「ガキなのか頭いいのかどっちかにしろよ!? マウント取られるジャネーか!」
「ヤッダー!♀ 弱いものイジメしか出来ないんですか♀ この弟くんは~ダメだぞ♀ お姉ちゃんがしっかりダメ人間にしてあげるからねえ~♀ クズくん♀」
「やりずれーぇーーーー!!!!」
――審査員、サキとヒメはこれならイケそう! と何かを掴んだ。
「【頭の良いウザイメスガキロリ巨乳お姉さん】ならイケる気がするのじゃ」
「あー、そっち系ね。からかい上手とかイジらないで系の系譜。確かにそのコントはやったことないね」
「それなら他のキャラとも被らない。小中高校生に媚を売るような〈子供政策〉をやる必要がない、頭良いしな」
――結果発表。
「で、俺の相方は誰になったんだ?」
「エントリーナンバー4番の〈頭の良いウザイメスガキロリ巨乳お姉さん〉じゃ、それが採用」
「ちょっと待て! 盛りすぎだろ!?」
「相手が頭良いから変に子供向けに小説を書く必要がない。メスガキという濃ゆい属性にはウザイは付いてくるが、お姉さんキャラなら居るよね、みたいな感覚になる。以上で採用」
「まじかよ!? てかまだ名前も聞いてねーし!」
「やったー!♀ マジありがとうー!♀ ちなみに名前は〈デストロイ〉です♀ よっろしく~ボクちゃん!♀」
デストロイが小気味よい感じで相棒認定されたので、ビルドは盛大に困惑し、叫ぶ。
「あぁ! やっぱやりずれえ!?」
サキとヒメの総論がまとめられた。
「観てる方は飽きないから大丈夫」
◇◇◇
◇メモ◇
・スキルは一度スロットに埋めれば使いたい放題だがMPを消費するスキルもある。
・スロット数は無制限、特にルール的な規制はない、何個でもスキルを装備可能だがスキルポイントに由来する。
・〈斬撃Lv1〉冒険者Lv1からある初歩的なスキル、戦うコマンドで斬撃を放つスキル、必要SP1。
・〈業魔剣Lv1〉業の強い魔物によく効くスキル。
・〈幻滅剣Lv1〉幻影によく効くスキル。
・〈操風Lv1〉そよ風程度の風を操る。
・ユニークスキルは、コピーや強奪が出来ない、出来たとしても劣化する。
・この世界ではスキルは拾える。
・自然回復とは、例えばポリゴンを破壊した時。1秒間に1ポリゴンずつ自然修復する。文字だけならもっと速いがその品目のデータ容量によって、回復する速度は異なる。文章で言えば、1日に2000文字ほど、あらゆる〈不自然〉を修復出来るレベル。人数やお金を賭ければ、もっと速く修復できる。
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