第20話 感情と遭遇

「でもよく討伐隊の人じゃないってわかったね。誰かの魔法かもしれないのに。それこそ鬼の人たちとか。」


「こればっかりは経験がものをいいますから一言では言い切れないですね。後鬼人族の魔法は全く違うものなので。」


「鬼の一族の魔法って何なの?」


「身体強化魔法です。」


「...それって皆が使える魔法じゃ?」


「ええ。でも鬼人族の身体強化魔法は他の魔族のそれとは度合いが違うんです。少しの魔力で身体強化魔法を使えるし、強い強化が出来るんです。なので長い時間他の魔族より強い強化魔法を使えるので、鬼人族は近接戦闘がとても強いんですよ。」


「鬼のイメージぴったり。」


「中には傷を治したり、とれた腕をつけたりなんてことが出来る鬼もいるみたいですよ。」


「それはもはや強化魔法ではないのでは?」


「まあとりあえず自分の体の強化が得意なんです。なので武器を使わなかったり、打撃武器を持つことが大半なんですよ。なので敵を斬ることはないんです。」


「あ、なるほど。鬼のイメージどおり。」


「?先ほどの話ではあなたの世界に、鬼やドラゴンはいないという話では?」


「お伽話とか創作物語の中にはいたんだけどね。姿は大体おんなじで、鬼だったら棍棒持ってたね。」


「...違う世界で?」


「......言われてみれば、そうだ。何でだろ?」


漫画などの鬼の姿を思い出しながら進むと、いきなりマスターに袖を引っ張られた。マスターの方を向き、


「どうした...」


ドォン!!!


「へ?」


後四、五歩歩いていたらたどり着いていたと思わしき場所に矢が刺さっていた。矢の大きさは元の世界と同じくらいなのに、刺さっている周りには直径30cm程のクレーターが出来ている。刺さっている矢も全く壊れているようには見えない。


「え?なに?」


素っ頓狂な声しか出てこない。


「これは...。」


矢を見て呟くマスター。


「誰かと思えばこれはこれは。」


いきなり上から声がする。上を見るとそこには、


「お初にお目にかかります。お姫様。」


弓を持った眼帯のむきむき男が枝に立っていた。

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