第6話 交流と相性
それから一週間は修行の日々となった。まずは全身に魔力を巡らせそれを維持する修行。サリヤいわく
「一時間は継続させないと話にならない。」
とのこと。レイトとしては魔力を使った際の冷たい感覚は苦手だったが有無を言わさないサリヤに押し切られそのことを言わずに修行をしていた。
(多分マスターが得意としてる魔法が氷魔法だから冷たいんだろう)
まだ慣れていないのか魔力を巡らせるのを解いた時に全身筋肉痛になるのも悩みの種だった。これのおかげでレイトは連続で魔力を巡らすことが出来ず、魔力を巡らせるのに苦手意識が出来たレイトであった。最初は魔力を巡らすのが3分程度だったが三日目には一時間続くようになり、魔法を巡らせていると耐久力があがり岩をぶつけられても痛くなくなった。修行と言って身体強化魔法を使った状態で岩を投げてきた時には死を覚悟したレイトだったがそれ以外は順調に進む。次はその状態で足に魔力を集中させて移動をする修行。全身冷たい中足にさらに魔力を集中させたら指の感覚がなくなった感じがしたのでレイトは更に嫌な気持ちになったがそこそこ耐えれるようになってきて走るのはすぐに出来た。サリヤと同等の早さで走ることは出来たが止まる時は多少踏ん張りが必要で足が痛くなり連続使用は見送りとなった。むしろ上手く止まらず転ぶ事が多い。一週間といわれた修行期間は5日で終わってしまった。マスターの教え方が良いんだろうとレイトは思っていたが、
「私は自分でやったやり方を教えているだけよ。それで魔力を使えるようになったってことは魔力の相性がいいってことよ。」
と言われ相性の良さを改めて実感した。この五日間で城の人?とも仲良くなったレイト。オークオブオークと説明があったバザル。身長が2m以上あって太い腕が四本あったが気が弱く優しい性格のようで初めて見る人間に驚き、怯えていた。メイド長でラミアのリルム。上半身は綺麗な女性だったが下半身が蛇でついでにつり目で怖い印象があり蛇だからか移動速度は速い。この城の防衛部隊の隊長のミスルード。グリフォンらしくライオンの体に鷲の翼で二足歩行なのだが四足歩行の方が速いらしく、何か報告を受けて急に四足歩行になって飛んでいった時にはレイトは腰をぬかしていた。。
そしてレイトは色々な種族と知り合い、サリヤや魔王がどれだけ慕われているのかを理解した。修行の最中にもサリヤに会いに庭に来たり、レイトにコツを教える魔族が多くいたのだ。そして修行ののち自分の寝床で筋肉痛を癒していたとき。
「そういえばマスター。城ってことは町があるんですか?」
「あるわよ。一応魔界でも大きい町ね。」
「じゃあ栄えてるんですね。」
「……行かないわよ。」
「えー。」
「いい?あんたの世界は人間しかいなくて平和だったらしいけどここは魔界なのよ?私の使い魔とはいえ人間ってことで絡まれるかもしれないのにぷらぷら歩ける?少なくとも自衛が出来るまではあんたに城下町を歩かせる事は出来ないの。」
「…魔界ってそんなに怖いところなのかよ。」
「後、明日までには筋肉痛を治しておいてね。出掛けるから。」
「今の話の流れからすると町じゃないですよね?」
「ええ。アルムンっていう近くの国よ。友好的な国でね。たまに行くのよ。」
「へーー。遠いんですか?」
「普通に行ったら二日か三日かかるけど王族用の馬車で行ったら半日で着くわ。」
「魔界ってそんなに広いのか。」
「ちなみにティーナの故郷よ。」
「じゃあ龍人族って種族の国なんですか?」
「そう。だから国民は大体が龍人族ね。数はうちに比べたら少ないけど戦ったら強いわよ。」
「へーー。」
「…ああ、後私と同い年の王女がいてね。彼女も最近使い魔を召喚したらしいわよ。」
「仲良くなれるといいなー。」
「一応言っておくと使い魔っていうのは基本的に主人以外とはあんまり接点がないものなのよ?そこら辺はわきまえておいてね。」
「了解です。そういえば聞きたかったんだけど。」
「なんですか?」
「マスターって何歳なんですか?」
「20よ。」
「年上だったのか...。あ、後マスターはどんな使い魔がよかったんですか?」
「……自分の立場でそれを聞くの?別にこれといって希望はなかったわよ。強いて言うなら強いのがよかったわね。」
「すいませんね、こんなので。でも何だかんだ面倒みてくれて助かってます。」
「来てしまったものは仕方ないから、面倒くらいみるわよ。巻き込んだのは私だしね。」
「ありがとうございます。」
「じゃ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
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