「流行と哲学少年。」~10代から20代に書いた詩

天川裕司

「流行と哲学少年。」~10代から20代に書いた詩

「心理的病者。~哲学人~」

 心理の真実さとは、それを実行した時にはじめてわかる。よく“個人差”というのを耳にする。その個人差が、心理の中にあるのだ。平均などそこには関係がない。やはり、人は他人(ひと)の中には入れない。とてつもないことだ。カウンセラー、心理的病人のhelperとして、設けられた。だが、その個人差の存在がある限り、人は他人(ひと)を救うことはできない。いや、その悩み(経験)を消すことはできない。それはやはり、他人をすくうということにはならないのだ。人を救えるのは神だけ、とどこかで聞いたことがある。もし本当なら、それが本当だ。人には、他人(ひと)は救えない。“治った”と歓喜する人々を目にする。それはただ、目の前から、その病が消え去っただけで、人は背後を見ることはできないのである。ましてや脳の中、心の中、身体を切り裂いて取り出せるものではない。そして、そこに孤独がある。人は常にそれを見ないように努力する、すべてを背後に回すために。


「流行と哲学少年。」

 世界は戦争になり、人はいなくなり、唯一、哲学少年と、流行を歩いた女だけが残った。

世界の広さはかわらず、その二人だけである。お互い通り過ぎれば今度逢うまでずっと一人で、逢えるかどうかもわからず、孤独でいなければならなかった。

川や、空や、海は同じようにあり、不思議と動物達がまだ生き残っていた。ただ動物は言葉を知らず、しゃべれない。女は、すでに半狂乱に近くなっていた。流行のものは何ひとつなく、けなす相手もいない。ただ哲学少年ひとりいることだけ知っている。

その日初めて見た顔の哲学少年に女は話しかけた。唯一、孤独がとぎれるかどうかの期待の時だった。哲学少年は流行を嫌い、普段から一人だったので孤独をプライドとしていた。

女の視線を知り、初めて逢った人と話など、と皮肉じみた顔で立ち去ろうとした。

しかし、女は孤独に数分耐えることができず、少年をしつこく追った。それでも意地を張り、哲学少年は女をなぐりつけ、“近づくな”と言い、“欲は俺にはもうないのだ”とセリフを吐いた。女は、その時の感情で事情がよくわからず、泣きながら立ち去り、遠くへ行った。

哲学少年は、“これでいいさ”と軽く笑い、未だかわらず流行を嫌い続けた。その気持ちは、もう憎みにまで達していた。

その後、女はまた哲学少年を探し求め哲学少年は、その女からワザと隠れ続けた。やがて、死のうと考えた女の目の前に、突然現れた哲学少年は、狂ったように女にとびつき、体を求めようとした。女は狂わんばかりに喜び、“私に心をひらいてくれた”とすっかり純粋に思い込んでいた。

すると少年は突然形相がかわり、女が手にしていたピストルを自分のこめかみにつきつけ、自殺した。即死だった。女はぼうぜんとしたままじっとしていた。しばらくして、現実を悟り、笑った。女も自分のこめかみに少年の手を持ったままつきつけ、撃った。そして人はいなくなった。


「貴族の善人。」

 彼は優秀だった。頭が人1倍きれ、性格もずばぬけて良かった。彼は生活も、貴族的な風習で育ち、クリスチャン的なしつけがいきとどいていた。人々は彼を愛し、彼も人々を愛した。

まわりの人々に愛され続け、彼はそこら周辺の地を任う地位までになった。彼は人の上に立ったのだ。誰も彼には、人の上に立つ器があると思っていた。それまで彼は独身で子供もおらず、ただ母親と父親のしつけだけが彼を任っていた。その上彼は性格も良かったため、人を思う気持ちは忘れはしなかった。そんなある日、そのまわりにいた女が、彼の妻になろうと彼に近づいた。

彼はその女に会い、たちまち女に惚れてしまった。女は彼にあわせていたのである。彼はただひとつ、貴族的風習のため、女への欲の出し方はしつけされていなかったため、どう出ていいのかわからず、ただあせっていた。女はその辺のことをしっかりつかんでいたので、彼の家の財産をのっとろうとさらに色目をつかった。彼はその女の行動にふしんを抱いたが、性格故女の気持ちを思いやり、女にあわせた。

しばらく平和状態が続き、とうとう彼は一国の主(あるじ)となった。頭は商売方向に伸びてゆき、やがて結婚したその女とも仲良く暮らしていた。その国で彼はたくさんの法律をたて、平和を保とうと試みた。女の財産ののっとりは未だ消えず、眠る時も、彼の夢ではなく金の夢を見ていた。

平和な一日々が続いていたある日のこと、ひとりの男が殺人犯とまちがわれて裁判に問われた。その裁判を任う彼は、長い間判決に迷っていた。だが、長い平和ボケのせいで、頭が鈍っていた。女は自分の命ではないので、“早く決を出してあげましょう”と彼をさいそくし、あせらせた。そんな時、国の中の一部の民が、そのひとりの男を憎んでたのか殺すよう彼に頼んだ。

彼は、長い間の疲労と一部の民の気持ちを思いやって、そのひとりの男に死刑の判決を言いわたした。男は殺された。女はさらに彼に色目をつかうようになり、他人が見ればそれは異常だとわかる程だった。だが、その色目をうけているのは彼本人で、当人にはその異常が喜びにかわっていた。その事情を知った他の国の王が、彼を残念に思い、戦争をしかけてきた。事情をもらしたのは、女だった。

彼はうすうす気づいてはいたが、知られてしまうと女の身も危ないのでその女をかばい、沈黙を守っていた。戦状は、彼の国は富んでいたせいで彼の国が有位に立ち、ついには勝利をおさめた。女は喜び、彼も喜んだ。負けたその国の王は生けどりにされて彼のもとへつれて来られた。

女は遊び半分で彼に“殺す”よう示唆した。彼はその示唆を上手く読み取り、その王を死刑にした。負けた国の民たちは、彼の事を“欲にあやつられた悪人”と呼んだ。その国の王は、彼から女にかわっていた。



動画はこちら(^^♪


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「流行と哲学少年。」~10代から20代に書いた詩 天川裕司 @tenkawayuji

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