第2話魔法使いの家出

魔法使いの家出




列車に駆け込んだために上がった息を整えた少女は紫色のワンピースの皺を伸ばして空席しかない列車を見渡した



ペネロペ「…やっぱりこの時間は誰もいないね。」


寂しそうにいう魔法使いの

少女_______ペネロペ・チューリップに


ガリプ「当たり前だろっ!これ終電だぞ!今からでも降りて帰ろう!マギアに!」

その肩にのっているのは

使い魔であるマギアケナガイタチのガリプ。


ペネロペ「ヤダっ!だってクラスメイトは

今日から20年卒業試験開始なこに

先生もママもパパも私は卒業試験延期して

20年学舎に通えなんて言うんだよ!!


みんな120歳になったら卒業試験合格してマギアや人間の国で働くのにっ!


それなのにみんなが卒業試験している20年間まだ学校に通えなんて!

人間なら赤ちゃんが大人になるくらい長い年月だよ!!」

ペネロペはムキになったように言うと一番近い席にドサっと座った。



ガリプ「そりゃ、古くから続く魔法の学びやで歴代最悪の成績だもん…先生とママさんとパパさんはペネロペがこのまま魔法社会や人間社会に出て苦労しないように言ったんだよ?


それに長命族の魔法使いにとって20年遅れたって大差ないよ。」


ペネロペ「うぐっ!はっきり言わないでよ!」


ガリプの言葉が刺さるペネロペ



ガリプ「大体、家出ってお金は?目的は?

途方に暮れて帰って怒られるのがオチだよ。」


ペネロペ「そ、そんな事ないもん!


目的は……そう!

私も卒業試験に参加して誰よりも速く終えること!


半分の10年…ううん!さらに半分の5年以内に!できるだけたくさん!


そうすれば

きっと「20年なんて学ばずとも立派になったからすぐにでも卒業していいっ!」て言ってくれるよ!




あと、お、お金はアルバイトしながら稼ぐ!」

と自分に言い聞かせるように言うペネロペ



ガリプ「卒業試験って20年間で魔法記録書を完成させることでしょ!?無理だよ5年以内だなんて。」


魔法記録書_______世間一般で言う『魔導書』のとこだ


様々な魔法や魔法薬学などが一冊666ページにもわたって記されている魔法使いにとって貴重な本であり


ペネロペの通っている学校ではそれを作ることが卒業試験に値する。



20年間で各国を旅して学校では学べなかった

魔法を学び気に入った魔法を

本に記録し最後のページには先人達が残した偉大なる魔法ではなく

自身のオリジナルの魔法を記載して学校に持って変えるのが卒業試験の内容。



それを5年で完遂すれば

留年しなかったことも

家出したことも

勝手に卒業試験をしたことも



許してもらえて一人前の魔法使いとして認めてもらえるはず!


とペネロペは意気込む



ガリプ「魔法使いが入り用なアルバイトなんてマギアだろうが人間の国だろうが

僕はちゃんと学校に通ってる魔法使いを雇うとおもうな、僕は」



ペネロペ「……それはそう…だけど。」

いつのまにかガリプに説教される形になったペネロペ


ガリプ「今頃、ママさんもパパさんも心配してるとも思うなぁ〜」

とペネロペをさらに見つめてガリプは言う



ペネロペ「んーーーーーー。」


しばらく沈黙した後。



ペネロペ「分かった!!」

とペネロペは言った。



ガリプは家出が終わると思っていたが


ペネロペ「明日、衣食住とアルバイト見つからなかったらちょっと計画を立て直そう!」



ペネロペの斜め上の答えにガリプは思わずペネロペの方からずり落ちそうになった。


ガリプ「なんでそうなるのさっ!」



ペネロペ「お願いっ!」


ペネロペのお願いにガリプは渋々、承諾するしかないのだった。

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