episode.33
ご機嫌よう。キティ・ドゥ・ローズでごさいます。
皆さま、どんなに前向きな気持ちであっても、もしも、私がこの世から云々なんて、口にするもんじゃありませんわ。
今をっ!今をっ!生きましょうっ!
バルコニーと部屋を隔てた大きな窓から、降り積もる雪が見える。
ライトアップされた庭の光りの中降る雪は、とても幻想的で美しい。
外から隔絶された室内は、暖かく、うっすら汗をかくほどだ。
「あっ、クラウス様っ、ダメっ、んんっ、そこっ」
……嘘です、汗だくです。
ベッドの上でクラウス様の膝に抱かれ、後ろから伸ばされたクラウス様の手に、私はずっと翻弄され続けている。
「キティ、すごく綺麗だよ。
ほら、君の可愛いところが俺をこんなに欲しがっている」
「いや、そんなこと、あっ、い、わないでぇ」
耳元で囁かれるクラウス様の言葉に、私は羞恥に耳まで赤くなる。
イケボでそんな卑猥な事、言わないで欲しい……。
余計に感じてしまうでは無いか。
すごく……凄いです……ありがとうございます。
クラウス様の指が私を翻弄する音が静かな室内に響く。
それに被さるような私の甘い喘ぎ声、そしてクラウス様の低音で囁く声……。
冬の静けさの中、しんしんと降る雪と、部屋に響く2人の荒い息遣い。
まるでこの世界に、私たち2人だけしか存在しないような、甘い錯覚に陥る。
クラウス様に触れられる度に、脳が甘く痺れて溶けてしまうような快感が背筋を這い上がってきて、私は身体を仰け反らせ、潤んだ瞳でクラウス様を見上げた。
「可愛い、キティ……そんな甘い目で俺を見上げて………もう、今すぐ貪り尽くしたくなる……」
うっとりと蕩けるような瞳で見下ろされ、クラクラと脳が揺れ眩暈が起きる。
そのクラウス様の表情に惚けてだらしなく開いた口を、クラウス様の唇で塞がれてしまった。
舌を激しく絡ませ合い、お互いの唾液が混ざり、隙間からいやらしく垂れてゆく。
クラウス様の爪で胸の頂をカリッと引っ掻かれ、私の身体がビクンッと跳ねる。
私の震える唇からクラウス様が唇を離すと、銀の糸が2人を名残惜しそうに繋いでいた……。
で、ど〜してこんな事になっているかと言うと。
えっ?こんな事ってどんな事って?
だ、だから、上記のような、ね。
あれよ、あれ。
あの〜……クラウス様に、その、ゴニョゴニョでアレコレと……。
って、そんな事はど〜でも良いわっ!
とにかくっ!私は今、クラウス様と王家の別荘の一つに来ている訳です、はいっ!
学園が冬季休暇に入ったと同時に、クラウス様に誘われて、この別荘にやってきた訳。
この王国では珍しく山間の雪に閉ざされた場所。
隣国の北の大国に燐した場所だけあって、そこは本来ならとても寒さ厳しい閉ざされた土地……の筈なんだけど。
赤髪の魔女様の考案で、王家が運営する冬の一大リゾート地に変貌を遂げている。
ちなみにここ、辺境伯であるローズ家直轄の領地でもある。
お爺様の代にここをリゾート地にしないか、と赤髪の魔女様に提案され、王家と協力してリゾート開発を進めた。
お陰で、スキーやスノボ、スケートやスノーモービル等、冬のレジャーを取り揃えた、一大リゾート地が出来上がった。
随所に細かく魔法で快適に過ごせるアイデアが盛り込まれていて、毎年冬になると大盛況。
北の大国と燐した、本来なら緊張感漂う土地の筈なのに、この土地は王国随分の武を誇るローズ家の守りと、赤髪の魔女様の強力な結界のお陰で、実は平和そのもの。
沢山の人で賑わう、活気的な土地に生まれ変わった。
そこにまたしても生徒会メンバー、大集合。
何故かお兄様とレオネル様だけいないけれど。
来ているメンバーはそれぞれ、スキーやスノボを楽しんでいた。
……私は、と言うと…。
「そうそう、キティ、上手だよ。
板を履けたね、凄いよっ!」
ハードル低めから徹底的に褒めるスタイルの専属コーチ(クラウス様)に腕を支えられ、プルプルと震えていた………。
「ふふ、キティ、今日はより一層産まれたてみたいだね」
ちょっとーーーーーっ!
実はいつもそんな事思ってたのっ?
産まれたて感が出ちゃうのは貴方にも原因あるのですが⁈
そもそもね、前世でもこんなリア充にのみ許されし聖地に足を踏み入れた事なんかないのよ?
スキーとかスノボとか、お洒落でイケてる遊び、した事ないのっ!
人生初(前世含む)なのっ!
そりゃ、産まれたてにもなるわっ!
アンヨは上手からお願いしますっ!
「おい、だから違うって、それじゃ横滑りするだけだからっ!馬鹿っ!体重をこっちにかけるなっ!」
ふと、そんなスパルタな声が聞こえてきてそちらを向くと、ジャン様がミゲル様を支えて青筋を立てていた。
「すみませんっ、このような板に足を固定されては、思うように出来なくて……。
皆、本当にこんな事を楽しんでいるのですか?」
ミゲル様は真っ青になって、ジャン様に抱きついている。
途端に、私のBでLなレーダーが、ピコーンピコーンと鳴った。
昼間は強気で生意気なこの子(受け)も、夜は私の愛欲に溺れていますよ?
ですね、分かります。
いつも頼りないアイツ(攻め)が、夜になると豹変、ちょっ!掴まれた腕が振りほどけないっ⁈
コイツのどっからこんな馬鹿力がっ⁈
ですね、分かりみしかない。
カシャーカシャーカシャーカシャー。
私はそっと、心のスクショを撮らせて頂く。
「また何か撮ってんじゃねーよっ!」
ジャン様の怒鳴り声に、私はニマニマ笑った。
あらあら、飼い主さんの前でそんなに吠えて大丈夫かしら?
後でキツい躾が待っていますよ。
「あら……良い格好ね」
ジャッとシュプールを描きながら、シシリィが現れた。
懐から小型記録魔法機器を取り出すと、無言でカシャカシャカシャカシャッ!と連写する。
「だからっ!撮ってんじゃねーよっ!!」
雪崩を起こしそうなジャン様の雄叫びに、私とシシリィはニマニマと笑い続けた。
「昼間は悪い子でしたね、ジャン。
分かっていますね……。
さぁ、脱いで?
ですね?シシリィ殿」
「俺、そんなつもりじゃ……。
ごめんなさい、酷くしないで……。
ですなぁ、キティ氏」
分かりみが深い……。
「嫌だ、コイツらの頭の中が、心底嫌だっ……!」
ジャン様は寒気に襲われたように、両腕をさすっていた……。
「くちゅんっ」
私はくしゃみと共にずーっと鼻水を垂らす。
それをクラウス様がハンカチで拭ってくれた。
「冷えちゃったね、キティ。
キティは薄いから」
はっ?胸?胸の事?
私は青筋を立てながら、クラウス様を下から睨んだ。
「えっ?どうしたの?キティ。
え〜………?ふふっ、可愛い」
その私のオデコにキスをして、クラウス様は頬を染めている。
……なんか、私が生意気な事をしたり言ったりした時、よく頬を染めていらっしゃるような気がするのは、気のせいかしら?
「早めに別荘に戻ろうか」
クラウス様は私を抱き上げ、さっさと歩き始めた。
「あの、その事ですが……」
私はおずおずと切り出した。
「お兄様が、こちらの城に戻るように、と」
私の言葉にクラウス様はニッコリ微笑んで言った。
「その必要は無いよ。
ノワールには近隣に被害を出している魔獣の討伐を頼んでいるからね。
この辺は本来なら平和だけど、最近、北の大国からの魔獣流出が問題になりつつあるんだ。
まぁ、まだ大きな被害は出ていないけど。
大事な家畜を荒らされている村があるらしくてね。
ノワールとレオネルに向かってもらったんだよ」
私は驚いて目を見開いた。
「そんな……お兄様とレオネル様は、ご無事でしょうか……」
心配で堪らなくなった私に、シシリィが笑って手をヒラヒラさせた。
「大丈夫大丈夫、あの2人なら秒殺レベルの魔獣だから。
ただのアイスドラゴンだし。
既に討伐完了の一報はきてるのよ」
ただの……アイス……ドラゴンッ!!
そ、そ、それっ、ただのじゃないしっ!
魔獣でもなくないっ!
私がアワアワしていると、クラウス様が考え込むように言った。
「ただ、ここは領全体に赤髪の魔女の結界が張ってある筈なのに……。
一体どこから入り込んで来ているのか……」
クラウス様の言葉に、シシリィが肩を上げる。
「だからあの2人に向かってもらったんじゃない。
あの2人なら必ず原因を突き止めて帰って来るわよ」
私は2人を交互に見つめ、凄いな〜と感心していた。
既に2人は、いや、生徒会の私以外のメンバーは、国の為にこうして動いてきたんだ。
手慣れた感じに、私は感嘆の思いで2人を見つめた。
「だから、キティはうちの別荘に帰るんだよ」
クラウス様に笑顔で言われて、私は妙に納得(?)してつい頷いてしまった。
王家所有の別荘は、もう別荘と言うより、城。
豪華なエントランスから私はクラウス様に抱き抱えられたまま、用意された部屋に向かう。
広く豪華な部屋をほわ〜っと眺めていると、バルコニーに続く大きな窓の前で、クラウス様がニコニコ手招きしている。
私は何だろうと小首を傾げながら、クラウス様に近づいた。
窓を開けてバルコニーに出ると、クラウス様が下を指差すので、その先を眺めてみると……。
庭に巨大な氷のオブジェ……。
………〈うる魔女〉の主人公とヒロインが手を繋いで、空を見上げている。
丁度この部屋から見たら、一番ベストポジションになるように作られていた。
顎を外しかけながらクラウス様を見ると、テレテレと嬉しそうに笑っていた。
「この前のは、登場人物全員いたから……。
無駄なものは排除して、2人きりのものを作らせたんだ。
どうかな?キティ?」
そうですね、あまりのロイヤルに言葉も出ません……。
「あ、ありがとうございます、クラウス様。
とても嬉しいです」
私は氷彫刻を眺めながら返事をしたが、目の焦点は合っていない。
「良かった。夜にはライトアップもするからね。
楽しみにしてて」
途端、パァッと顔を輝かせるクラウス様。
うぅ、眩しい。10万ボルトの輝きっ!
あの国民的愛玩モンスター並みの愛らしさっ!
私は自分の情けなさに、内心溜息をついた。
何だかんだと私の為に、クラウス様に無駄遣いをさせている気がしてならない……。
私がもっと確固たる態度で断らないといけないんだと、分かってはいるんだけど……。
クラウス様が私の為にロイヤル発動してる時に、凄く嬉しそうだから……。
いや、いかんいかん、絆されっぱなしではいかんっ。
ここは一発バシッと物申さねばっ!
そうですよねっ!黒タイツ師匠ッ!
「あの、クラウス様っ!」
「あっ、ごめん、身体が冷えているのにね。
湯に入るのが先だったね」
意を決した私の言葉はクラウス様に被せられ、敢えなく空に掻き消えた……。
くっ、無念。
でも、焦りは禁物。
今度こそっ!ロイヤル発動前に必ず物申すっ!
見ていて下さいっ!黒タイツ師匠っ!
その後私はゆっくり湯船で温まり、着替えてクラウス様とディナー。
夜にライトアップされた件の氷彫刻を、庭からも部屋のバルコニーからもじっくりたっぷり鑑賞して、また湯船へ。
今度はメイドさん達に髪の毛の先から爪の先までピカピカに磨き上げられ、フワフワのバスローブに包まれていた。
「キティ、寝支度は終わった?」
クラウス様がお揃いのバスローブを来て、部屋に入って来た。
私はワタワタと慌てる。
ま、まだ、寝着に着替えていないのですがっ!
私が周りを見渡しても、さっき迄いた筈のメイドさん達の姿が無いっ!
あれ?ジャパニーズニンジャ?
「どうしたの?駄目だった?」
なんか、シュンとしてしまったクラウス様に、私はブンブンと頭を振った。
み、見えるっ!
大型犬わんこの耳がっ!
可愛すぎて無理、断れないっ!
「ふふ、良かった、隣に座っても?」
クラウス様に聞かれて、私は慌ててどうぞどうぞと座っているソファーを横にずれた。
クラウス様は私の隣に座ると、その長い足を優雅に組んだ。
ほほぅ……良い。
バスローブにまだ濡れた髪。
ワインでも片手に持っていれば、もう完璧。
って、濡れた髪っ!
「クラウス様っ!御髪がまだ濡れていますっ!」
私がワタワタすると、クラウス様はハッとした顔をして、生活魔法で髪を一瞬で乾かした。
「ごめん……キティに早く会いたくて、忘れてた」
照れたようにそう言うクラウス様に、私はハワワっと顔を赤くした。
かわっ、可愛え〜〜……っ!
ハフハフ、もう何なの、さっきからっ!
ハフハフ、か、か、可愛いんですけどっ!
私は両手がワキワキ無意識に動くのを止められなかった。
襲いたい……襲って可愛い声で鳴かしたい……。
はっ!何かしら?こんな扉、開いた覚えはないのに………。
「下、着てないね」
私がふ〜むと首を捻っていると、クラウス様が私のバスローブの胸元を引っ張って中を覗いていた。
「な、な、な、何をっ!」
ワナワナと震える私など気にせず、クラウス様が自分のバスローブの胸元をはだけさせた。
「俺も、着てないんだ」
はだけたバスローブから覗く美しい胸筋、滑らかな肌……。
大好物です。……しゅき。
ハワハワと手を伸ばすと、クラウス様はその手を掴んで、自分の肌に沿わせた。
「ねぇ、キティ、少しだけいいよね?」
色っぽく首をかしげられ、私はボーッと頷いた。
涎も垂れてた。
ふふっと笑うと、クラウス様がゆっくり顔を傾けて、唇に口付けてきた。
「はっ、ふぅん、はぁ」
舌がゆっくり侵入してきて、舌と舌が絡まる。
ゆっくり口内を隈なくクラウス様の舌に蹂躙され、私は抑えられない声をもらした。
クラウス様の手がバスローブの胸元から差し込まれ、やわやわと胸を揉まれると、私の身体が喜ぶようにピクリと震えた。
胸の頂きを指の腹で優しく撫でられて、私は知らずに太腿を擦り合わせた。
「ね、キティ、ベッドに行こう」
耳元で囁かれ、私は惚けた頭でただ頷いた……。
そして、冒頭に戻る……。
「キティ、まだだよ」
あれ?終わらない……。
普通、冒頭に戻る、で終わるよね?
あれ?
散々撫で回されてぐったりとクラウス様に寄りかかっている私に、クラウス様がチュッと口付けて、ふふっと笑った。
私はその乱れてはだけたバスローブから覗く、色っぽい鎖骨をぼんやり見ていた……。
舐めたい……。
舐め回したい……。
クラウス様の妖艶な色気に、新しい扉が開きかける……。
私はクラウス様の鎖骨に顔を近づけて、舌を伸ばしてそこを舐めた。
「えっ?キティ?」
驚いたようなクラウス様の声が、何だか気持ちよかった。
くくっ、たまには受けの気持ちを知れば良いわ。
調子に乗った私は先ほどから腰の辺りに感じる硬いものへと目を落とし、チョンッと指先で突いてみた。
「なっ、キティッ!いけない、それは……」
止められる前にっ!と私は硬くて熱いそれを優しく撫でてみる。
「はっ、キティ……駄目だ、やめてくれ……」
途端にクラウス様の力が抜けたのが分かる。
なるほど、急所とはよく言ったものだわ。
いつもいつも私ばかりがやられっぱなしじゃチワワが廃る……いやっ!チワワじゃないしっ!
女っ!私の女が廃るってもんよっ!
さぁっ!今こそ反撃の狼煙を上げる時っ!
と息巻いてクラウス様を見上げると、頬を染めて力なく首を振るクラウス様……。
い、い、色っぽっ!
エッロッ!
ヤバいヤバいヤバいっ!
これはヤバいっ!
あまりのクラウス様の色っぽさに、私の頭がグワングワン揺れた。
アワワワワワッ!
その狂気的な色気に当てられ今にも泡を吹いて倒れそうな私は、体のバランスを崩し、ついクラウス様のクラウス様をキツく握って支えにしてしまった。
「ーーーーーーーッ」
クラウス様の身体がビクッと震え、声にならない声が漏れる。
私はその反応に胸が締め付けられるようなドキドキが止まらなかった。
ナニコレ、凄い滾るっ!
い、いいよね?
触るだけだし。
私だっていつもあっちこっちサワサワされてるんだし。
つい調子に乗ってそれをサワサワナデナデしまくると、クラウス様が眉間に皺を寄せ、悩ましい吐息を吐いた。
「っ、はっ、んっ、キティ、駄目、だ……、やめろ、君がする事じゃないっ……」
ダメと言って止めて貰えた経験の無い私は、気にせず更にナデナデしてみる。
「……キティ、はっ、悪い子だ……」
その時、クラウス様がフッと息を吐くと、私の両手が何かに縛られて、グイっと引っ張られた。
そのままベッドにうつ伏せで倒れる。
ゆらりと起き上がったクラウス様が、私の腰を持ち上げて、愉悦の笑みを浮かべた。
「キティ、そんなに俺にお仕置きして貰いたかった?」
ぴぃぃぃぃぃぃぃっ!
昼間のミゲル×ジャンの妄想が、現実になって私の身にっ!
調子に乗って、ごめ゛んなざいっ!
しかしクラウス様は私の謝罪をもとより求めていなかったかのように、私の背中にチュッチュッと口付けていく。
「ん、んん、あっ」
私は口付けられる度、小さな声を上げた。
背中まで恥ずかしさに真っ赤になっていそうだ。
「もう腰が切なそうに揺れてるね。
ごめんね?濡れてきちゃったかな?」
だから、イケボで卑猥な言葉禁止っ!
耳が孕むっ!
クラウス様が腰にキスをしながら、太腿に手を伸ばし優しく撫でる。
私はゾクゾクとした快感に、背中を震わせた。
「そうだ、こんなのも良いかも」
そう言って、クラウス様がサッと手を振ると、急に私の視界が何か布のようなもので遮られた。
「どうかな?キティ。
気に入ってくれると良いんだけど」
両手を拘束されて、視界を遮られた私は、不安に駆られ、浅い息を繰り返す。
その時、クラウス様が耳元にふっと息を吹きかけた。
「ひゃっ!」
私は驚いて声を上げた。
次に何をされるのか、不安と期待の混ざり合った妙な心地が襲ってきて、胸が高鳴って落ち着かなくなる。
ヌルっとした感触が腰を這い、クラウス様の舌でそこを舐められている事に気付いた。
「はっ、あぁっ、クラウス様ぁ、んっ」
一箇所感覚を遮断された事で、いつもより敏感に身体が快楽を拾っていく。
いつもより強い刺激に腰が勝手に揺れて、甘い声が漏れ出た。
クラウス様の舌と手がまるで私の身体を塗り替えていくような錯覚に陥っていく。
その時、太腿の間に何か硬いものを差し込まれ、私はビクンッと身体を震わせた。
「……キティ、さっきはこれに興味津々だったね。
あんな事、どこで覚えてきたの?
でもダメだよ、もうあんな事しちゃ………。
俺は今すぐにでもここに入れて、中をめちゃくちゃにしてやりたいと常に考えているだから………。
奥をたくさん突いて、子種を注いで孕ましたい……って」
クラウス様の悩ましげな声に、私は悲鳴のような声を上げ、頭をブンブンと振った。
「ク、クラウス様っ!それはっ、あのっ、らっ、らめですぅっ!」
私の言葉にクラウス様は困ったような、残念そうな声で答えた。
「そうしてしまいたいけどね、それじゃ、駄目なんだ……。
キティが我慢出来なくなるくらい乱れて、自分から俺を欲しがってくれなきゃ……」
いっ、いっ、いっぱいいっぱい〜〜〜。
既に今まで以上にキャパ超えてますからっ!
なのに、これ以上とか、もう無理っ!
ヒィィィィッとガタガタ震える私に、クラウス様は悩ましげなため息をついて、またふっと息を吐くと、私の両手の拘束が解かれ、視界を遮断していた物もなくなった。
そのまま仰向けに体勢を変えられると、腰を掴まれ、グッと引き寄せられる。
太腿にクラウス様の硬いものが押し当てられ、驚愕に目を見開いていると、クラウス様が愉悦の表情を浮かべ、微かに笑った。
「お仕置きはまだ終わらないよ。
キティ、あんな事、どこで習ってきたの?
ねっ、教えて?」
優しく微笑むクラウス様の目だけがギラリと鈍く光り、私はハワハワと震えながら、必死でぶんぶん頭を振った。
ちが、違うんですっ!
習ったというよりも、読んだというか……。
愛読していた数々の薄い本の中ではデフォというか……。
ごめんなさい〜っ!
虹をリアルに持ち込んで、申し訳ありませんっ!
もうしませんっ!もうしませんからっ!
瞳孔開いたまんま、眼を光らせないで〜っ!
あっ、またサワサワしないでっ!
ダメダメダメッ!
これ以上は本当に無理だから〜〜〜っ!!
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