episode.24

朝チュンですわ、皆さま。

苦手な方、今すぐ逃げて〜〜っ!!





「んっ……ふぅっ、んっ」


私はベッドに両手を縫い付けられるようにおさえられ、クラウス様の口付けに必死で答えた。

クラウス様の舌が、私の口内を味わうかのようにゆっくりと舐ってゆく。

舌を絡めあって、貪るようにお互いを求め合った。


クラウス様の手がスルリと下がってゆき、胸を包むように揉まれると、私はビクリと体を揺らした。

その私の反応にクラウス様がゾクゾクと体を微かに震わせ、耳をカプリと噛まれて、舌が耳の中に侵入してくる。

私の身体は既に火照り切って、クラウス様にされるがまま、全てを投げ出してしまいそうだった。


だんだんと舌が降りてきて、首筋をなぞられると、私は甘い声を漏らした。    


「……可愛い、食べちゃいたい、キティ……」


悩ましげな熱い吐息と共に囁かれて、私は脳が沸騰してしまいそうにボッと赤くなった。


なっ、なっ、なっ、なんかっ、なんかっ!

クラウス様って、慣れてないっ?

前に『初めて同士〜』とか言ってた気がするんだけど、これって本当にそうなのっ?

キスとか上手いし、あと何か手慣れてる気がするのは気のせいっ?


アワアワとテンパりながらクラウス様に向かって私は疑問を投げかけた。


「あ、あの……クラウス様はこういった事に慣れていらっしゃるような気がするのですけど、あのっ、本当にこういった事は今まで経験無いのでしょうか」


私の問いにクラウス様は顔を上げて、少し意地悪な顔でんっ?と首を傾げた。


「こういった事って、どんな事かな?」


楽しげに揺らめくその瞳に私はうぐぐっと唸り、ポソっと小さな声で答えた。


「で、ですから、その……だ、男女の睦み合い……といいますか……その……」


言いながら顔を真っ赤にする私に、クラウス様はもう耐えられないといった感じで弾けるように笑い出した。


「アッハッハッハッハッ、キティ、これくらいで睦み合いだなんてっ」


楽しげに笑うクラウス様に、なんだか凄く馬鹿にされた気分になって私はぷぅっと頬を膨らませた。

クラウス様は笑い過ぎて滲んだ涙を長い指で拭いながら、笑いを堪えて言葉を続けた。


「ねぇ、キティ?俺は子供の頃から君が好きなんだよ。

それも好き過ぎて頭がおかしくなるくらい。

当然、想像の中で君を何度も犯してきた。

どんな風に可愛がったら君はどんな声をあげるのかな、って毎日想像しながらね。

想像の中の君はとっくに俺にぐちゃぐちゃにされちゃってるんだよ?

まっ、そういった意味では、慣れていると言えば慣れてるかな?」


ふふふっと狂気に満ちた瞳で見つめられ、私は小さくヒィィィィッと悲鳴を上げた。

うっうっうっ、聞くんじゃなかった。

恐ろしや、お年頃。

知らないうちにオカズにされてたなんて……。


まぁ私もっ、クラウス様の美麗スチルコレクションでフヒフヒやってるんで、そこは責めれない。

何故なら全部自分に返ってくるからっ!

脳内スチルを更に脳内で服引っぺがして裸に出来る私に勝てる人いるっ?


それにしても、私ったらクラウス様の想像の中でどこまでされちゃってるんだろう……?

わ、私はね?脳内で服引っぺがしたところで鼻血ブーでノックアウトよ?

あっ、念の為言っておくけど、前世の知識で一通りは知ってんの、いや、マジでマジで。

………男同士で良ければ、まぁ。


いやだってっ!腐だもんっ、私っ!

腐ってなんぼの青春だったんだもんっ!

でもあれでしょ?男女の色々だってあんまり変わらないんでしょ?

やる事一緒だよね?

つ、つまりね、私もクラウス様の想像の中であんな事やこんな事されてるとして、で、一体どこまで………?って事なのよ。


もし最後までいっちゃってたとしたら、ヒィィィィッ!

私、知らないうちに乙女消失済みっ⁉︎

そんなっ!酷いわっ!クラウス様っ!

そんな事っ!想像の中の私が羨まし過ぎる〜〜〜っ!

って!ちっがぁぁぁぁぁぁうっ!

だから出てこないでっ!淫乱Cカップ令嬢は出てこないでぇぇぇぇぇっ!


ハァハァ…………。

もしかして私………キャパオーバーで脳バグってない………?


ち、違くて、あのっ、私が言いたいのは、その。

このまま流されてクラウス様と最後まで、い、致しちゃったりしたりしたとしてよ?

直ぐに私以外の女性の所にいっちゃうような人とそんな事しちゃったら、私、可哀想過ぎない?って事なの。

いやあの、確かに私はクラウス様以外とそんな事したくないし、婚約破棄したら一生誰とも結婚なんかしないから、今経験しとかないと清いままでダイよ。

下手したら来年にはダイしてんのよ。

なら、いつやるのっ!今でしょっ!

って、ちがぁぁぁぁぁぁぁぁぁうっ!


ハァハァ、ゼェゼェ。

なんで思考がそっちにいっちゃうのかしら………。

これはアレね。

さては画面越しじゃない最推しに完璧にやられてるわね。

好きって怖いっ!

なんでも許しちゃいそうで、怖いっ!

さっきから許しちゃう理由ばっかり探してる自分が怖いっ!


グルグル目を回してう〜んう〜んと唸っていると、クラウス様が私の頬にチュッとキスをして、ちょっと拗ねたような不機嫌な顔で私を見下ろしている。


はわわわわわわっ!

拗ねた顔が可愛いの極みっ!


「さっきから何を考えてるの?キティ。

俺といる時に他の事を考えるなんて随分余裕だね。

俺の事しか考えられないようにしてあげようか?」


そう言ってクラウス様は首筋に舌を這わせ、手のひらで包んでいた胸をギュッと強く握った。


うひぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

考えてませんっ!

他の事なんてっ!

むしろ俺の事で頭がいっぱいでパンク寸前なんですっ!

ってか胸っ!ギュッてしないでっ!

ちょっと乱暴に扱われる事に心臓がキュンってなっちゃう自分の新しい一面を発見しちゃった事への動揺がハンパないっ!

一から十まで恥ずかしい説明させないでぇぇぇぇぇぇぇっ!


ハァハァ、ゼェゼェ………。

もうダメ………。

クラウス様がヒロインと結ばれたら婚約破棄されるのに、とかなんとかの前に、このままじゃ心臓が保たない………。

来年を待たずに心臓爆発による爆死待ったなしっ!


「ク、クラウス様っ、あの………」


「ん〜〜?」


ご機嫌で私の首筋に舌を這わせ胸を揉んでいるクラウス様の限りなくラフな返事にまたもやキュンキュンしながら、私は、いやクラウス様のどんな反応にもトキメイてる場合じゃなくてっ!と自分を叱咤しつつ意を決して口を開いた。


「せ、節度を守りましょう、私達、まだ婚約したばかりですし、ねっ?」


私の言葉にクラウス様は顔を上げて、不思議そうに首を傾げた。


「守ってるよ?節度、最大限に」


予想外のクラウス様の返答に私はポカ〜ンとマヌケ面でそのクラウス様を見つめてしまった。


最大限、とは….…?

私今まさにベッドに押し倒されて、あっちこっちチュッチュッされながら乳揉まれてますけど?

んっ?節度ってなんだっけ?


婚約者同士って……どこまでオッケーなの?

私が習った淑女教育では、パーティのパートナーだったり、後は頬にキス、くらいだったような………。

乳揉みオッケーとか言ってなかったよね?


私は自分の習った知識を信じて、再び口を開いた。


「あっ、あのっ、あのっ、婚約者同士とはいえ、そのっ、どっ、同衾はいかがなものかとっ!」


勇気を出して言い切った私の言葉に、クラウス様は弾けるように笑い出した。


「アッハッハッハッハッ!キティ、同衾って、これくらいでっ、フッ、ククッ、本当にキティは可愛いね」


クックッと肩を揺らすクラウス様に私はぷぅっと頬を膨らませた。

同じベットで過ごしている時点でもう十分同衾だと思いますけどねぇ。

じゃあ何て言えば良いわけ?

ベットに押し倒すのはやめて下さいって?

なんかそれは……経験上もっとヤバい事になりそうな気がするんだけど……私の気のせい?


いつまでも笑うのをやめてくれないクラウス様に私はもうっ!とふくれっ面でプイと横を向いた。

それに気付いたクラウス様はまだ笑いながら私の髪を撫で、優しい声を出す。


「ふっ、ふふっ、ごめんごめん。

そうだよね、キティと婚約出来て俺、暴走気味だったと思う。

今まで我慢してきたものが一気に爆発しちゃって。

キティにしてみたらもっとゆっくり節度を持って進めたいよね」


意外に話が通じた事に私はパァッと顔を輝かせうんうんと頷いた。

その私にクラウス様はニコニコしながら人差し指を口の前で立てた。


「じゃあ、こうしよう、一つずつキティの許容範囲かどうかを確認するよ」


クラウス様はそう言うとゆっくり顔を近づけてきて唇に優しくキスをした。


「……これは?どう?オッケー?」


クラウス様からのキスにボンっと頭から湯気を立て、私はコクコクと頷いた。

ちょっ、良いでしょっ!キスくらいっ!

キスは許して、キスはっ!


自分の軟弱な精神を棚に上げ、私は頭の中でブツブツと言い訳を並べた。

キスが挨拶って国もあるもん。

良いんだもん。


私の反応にクラウス様は嬉しそうに笑い、また唇を重ねて今度は舌を口内に侵入させた。

クチュッと音を立てながら絡まる舌に必死に応えていると、クラウス様は唇を離してふふっと熱っぽく笑った。


「………じゃあ、これは?」


私は蒸気した顔のまま、ポーッとして頷いた。

あっ、いやっ、今のは……オッケーして本当に良かったのかな……?

でも何度もした事あるし……拒否するのも今更?な気がするし……。


すでに微妙な判定になりつつある私に、クラウス様は耳や首すじ、鎖骨に舌を這わせた。


「ここは?ねぇ、キティ、教えて?」


その度に確認されて、私はピクリと体を震わせながら恥ずかしげに頷く……。


いっ、いやいやっ、待ってっ!

仕方ないと思うのっ!

色々事情があって結ばれない私達ですが、この人私の好きな人っ!

好きな人になら何されても嬉しいじゃんっ!

なんならぶっちゃけ気持ちいいじゃんっ!(淫乱Cカップ令嬢発言)

ほわ〜〜って夢心地になってつい頷いちゃうのっ!

何されても拒否とか出来ないのっ!お願いっ、分かってっ!


非常に情けない言い訳を並べつつ、クラウス様になすがままになっていると、スルッと手が伸びてきて、また胸を揉まれてしまう。


「キティ、これは?」


もう既に何の羞恥プレイ?状態なんですけどっ!

あっでも、む、胸はね、あれかな?

揉んでもらうと大きくなるって言うし?

スタイルアップの為、みたいな?

うん、女性としてスタイルを気にするのは良い事だよね。


またグダグダ言い訳を頭の中で並べながら、私は顔を真っ赤にしてコックリ頷いた。

それにクラウス様は嬉しそうにクスクス笑いながら、耳元で囁く。


「良かった、駄目って言われたら気が狂ってたかも……」


もももも揉んでくらしゃいっ!

それはも〜〜思う存分っ!

CカップがEカップになるくらいっ!

それにしても、乳が揉めなくなると気が狂うとか……恐ろしや……お年頃……。


たまに放たれるクラウス様の恐怖発言にカタカタ小さく震えていると、クラウス様が悪戯っ子のようにニヤリと笑い、胸の中心を指でチョンと突いた。


「じゃっ、ここは?」


ノォォォォォォォォォォォォォォォっ!

思わずピクってしてあんって声出ちゃったでしょぉぉぉぉぉっ!

そ、そ、そ、そ、そこはっ、ノーーーーっ!


私はババッと両腕で胸を隠し、涙目でプルプル首を振った。


「ダ、ダメです、そこはダメですぅ〜〜」


うぇぇぇぇぇぇぇぇんっ!

クラウス様がえっちぃ事したぁっ!

そこはダメだって私でも分かるもんっ!

大好きな腐神仏(BでLな作品)でも受けがアンアン言ってる場所だもんっ!

グッとエロみが増す場所だもんっ!

そこから無し崩されちゃう自信しかないもんっ!


私の反応にクラウス様は残念そうに眉を下げ、ねだるように首を傾げた。


「どーしても、ダメ?」


ドゥフグハァッ!

か、か、可愛ひひ………。

しょんな顔しないで………。


超レアな最推しのおねだり顔に胸を抉られつつ、それでも私はブンブンと頭を振り、血を吐く思いでそのおねだりを跳ね除けた。


「ダ、ダメ、です」


私からの2度目の拒否にクラウス様は拗ねたような顔をしながら、でもそこは諦めてくれたらしい。


今度はスルッと手を下に伸ばし、私の太腿を撫でながら、楽しげにニヤリと笑った。


「……じゃ、ここは?」



………そんな感じでありとあらゆる場所の許容範囲を探られまくり、私は結局涙目でプルプルプルプル震える一夜を過ごした………。



「ねぇ、キティ、ここは?」


「はぅっ、ダメぇ、ダメですぅ」


「え〜〜、じゃ、ここは良い?」


「あっ、やんっ、ダメぇ、クラウスさまぁ、いけません」


「ここなら良いでしょ?」


「やっ、そこは、やんっ、ダメぇ」



………こんな感じで………もう、それはそれはねっとりと………。


もう、堪忍してぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!

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