第19話 ランクBカルエVSランクAレンフェ

 パシッパシッパシッ!! というチープな音とともに、カルエとルキアはあらかた片付け終えた。


「やっぱり、大したヤツは配置してなかったみたいだね」

「これだけの大規模取引なのに、雑魚しか置かないっておかしくないかしら──」


 刹那、ルキアはシックス・センスで危険を感じ取った。彼女は伏せるが、すでに遅かった。


「ルキア!!」


 銃弾が右肩に当たり、金髪碧眼の美人ルキアは、苦悶の表情で入口付近を指差す。


「よう」


 カルエは、原作でも見慣れた男を眼で捉える。


「とりあえず、オマエら壁のシミ確定だ」


 スキンヘッドの黒人、レンフェがカルエを指差す。

 レンフェ。ブルームーンの特攻隊長であり、その戦闘能力はランクが『A』であることもあり、非常に高い。


「ルキア、しっかりしろ!」


 だが、カルエの中の少年は、レンフェよりもルキアに目を捕られている。苦しみ、息も絶え絶えの彼女を放ってはおけないのである。


「おい、女の心配してるんじゃねェよ。──なあ!!」


 レンフェは、『XM350』という軽機関銃で、カルエも撃ち殺そうと銃を傾ける。銃弾が放たれた。

 しかし、カルエは寸のところで銃弾を改造済みの右腕で受け止めた。彼は地上に降り立ち、レンフェとの対決に挑んでいく。


「おう、やはり右腕は改造してあったか。こんなおもちゃじゃ、貫けそうにもないな」

「……、ブルームーンの特攻隊長さんよ、アンタのギアは『オートエイム』だろ? あと両足を改造してある」

「良く知ってるな。誰から訊いたんだ?」

「ああ、そうだな──」


 カルエは小型ブースター付きの脚で彼との間合いを狭める。


「おいおい!! 撃ってくださいと言わんばかりだな!!」

「ああ、撃ってみろよ」

「上等だ!!」


 レンフェはカルエの頭に照準を合わせる。彼のギア『オートエイム』は、絶対に標的を逃さない。一度ロックオンした相手は、たとえ標的に背を向けようと直撃する。だから彼は、犬歯が見えるほどに笑い、トリガーを引いた。


 だが、


「オマエ、馬鹿だなぁ」


 カルエは、レンフェとの間合いを詰め切り、彼の腹部を改造してある右手で殴った。


「ごはあァ──!!?」

「ヒトを撃つときは、頭なんて狙わないんだよ。胴体を狙うんだ。そうじゃなきゃ当たらないからな」

「てめ、てめェ!? なんで『オートエイム』が発動しねェ!?」

「オマエ、おれがオルタナって豚野郎から奪ったギア知らないのか?」


 カルエが現在所持しているギア『無効化』は、能力で動いているものを無効にする。カルエに向け、ギアの能力を使い攻撃した時点で、『オートエイム』の化けの皮が剥がれていたのだ。


「おれのギアは、相手のギアが動いてる時点で効果を発揮する。オマエはギアを使っておれを撃ち殺そうとしたから、全部空砲に終わったってわけさ」


 レンフェは殴られ、『XM350』を手放してしまった。カルエはそれを咄嗟に拾い、レンフェの胴体に向けて引き金を引いた。

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