第4話 原作改変、開始
つまり、現状この世界の主要人物たちと関わらないほうが良いという結論に至るわけだ。
「じゃあ、貴方はどんな作戦を望むわけ? 行動起こさないといつまでも貧乏暮らしよ」
「叩く相手を変える。オルタナっていうヤツに」
「オルタナ? 聞いたことないわ。どこの小物よ?」
「アイツらと同じくルーキーさ。悪党どもとつるんでかなり良い暮らししてるって話だ。そのガキを叩く。そしてヤツの持ってるギアとカネはおれたちのもの。それで良いだろ?」
「随分容量の大きいギアを持ってるのかしら? その口振りだと」
「そうだな。一生物だよ」
疑念ばかり抱いているルキアを尻目に、カルエは棚から拳銃を二丁取り出す。至って普通の『M2011』というセミオートのハンドガンである。ルキアにそれを投げ渡し、銀髪に碧眼の少年カルエは自ら選んだ流れに乗る。
*
「笑いが止まらねェなぁ!! 身の丈に合わないサイバーギアに意識を持ってかれそうな連中相手に、ヘロイン売り飛ばすのがこんなに流行るなんてよぉ!!」
オルタナという薄汚い男は高笑いを飛ばしていた。このままいけば『ウィング・シティ』の裏社会を征服できるとすら盲信していた。
実際、原作でもオルタナは登場話こそ遅いが、登場する頃には裏社会の帝王のひとりとして君臨している。彼の夢は原作お墨付きというわけだ。
「ウォ!? なんだァ!?」
ガラスが飛び散り、破片がオルタナに刺さる。それも当然痛いのだが、その痛覚すらおぼろげに感じる存在が目の前に立っていた。
「よう、小悪党」
「……!! カルエ・キャベンディッシュッ!!」
「そんなに驚くことはないだろ。まさか自分が狙われないとでも? この奪い合いの街で?」
カルエが吐きそうなセリフを並べ、拳銃をオルタナの頭部に向ける。
「さて、オマエをそのピエロみたいな人生から解放してやるよ。あばよ……オルタナ」
カルエ・キャベンディッシュは、目を見開いてわなわな震えるオルタナの頭部に銃弾を放った。2回の破裂音とともに、現段階ではギアも身体改造もしていなかったオルタナを消すことに成功するのだった。
(正直嫌いなキャラだったけど、死体はあんまり見たくないな……)
カルエ・キャベンディッシュになってしまった以上、人殺しは避けられない。元々正気じゃないキャラクターだからだ。ただその分、いまオルタナを射殺したことへの恐怖心や罪悪感などは一切抱かなかった。キャラに自我がある程度引っ張られているのだろう。
「あっさり消せたわね。それで? コイツの持ってる一生物のギアってなに?」
「逆に訊くよ。理想のギアってなんだと思う?」
「……そうね。負荷が重たくないことは大前提。貴方の場合は戦闘力を底上げできるもので、私の場合は戦闘能力を生み出す、あるいは補助系統をつけるのが理想かしら」
「その通り。では、その理想をほとんど叶えてくれるパックを引こう」
オルタナだったものが倒れ込む机の棚から、カルエは2枚のSDカードみたいなものを取り出した。
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