第10話 妹
昼飯を済ませて父上と俺が店に戻ると、圧倒的な言葉の量で工房の皆を制して、妹が待っていた。
「まあ、お父様、お兄様お帰りなさいませ。お待ちしておりましいたわ!お兄様、今朝方私はお兄様にお伝えしておりましたわよね。『今日は学院が終わりましたら、まっすぐに工房に伺います。必ず
あまりの迫力で言い切る妹に『あ、そうだったね。すみません…』と俺。
見かねた父上が、
「マイカや、少し落ち着いておくれ。工房の皆が迷惑しておるようだ」と
「まあお父様、迷惑だなんてとんでもありませんわ。私、お父様たちのお姿がお見えになるまでは、貝のように口を閉じて静かにしておりましたのよ!そもそも、お兄様がお約束を守っていただければこんなことを私が申し上げることもございませんでしたのに!」
絶対そんなことはないと思うが…
「わかったわかった、もう降参。俺が悪かった。何でも言うこと聞くから…」
俺は早々に白旗を上げた。
「それで、どうすればいい?」
妹はそこでニッコリと微笑むと、なかなかに大胆な要求を口にし始めた。
「まず
ひ、
「オリィや、済まないが妹の話を聞いておくれ。私はやらなければならない仕事があるのでね…」
父上はそう言って俺の肩をポンと叩き、奥の部屋に戻ってしまわれた。
(ちちうえーっ、置いていかないでくれー!)と心の中で叫んでいたが、声にはならなかった。
「それで、一応聞くけど。お前のことだから、普通のジュエリーってわけじゃないんだよね?」
「とーぜんですわ。
「で、お前が考えているその『普通じゃないもの』って?」
よくぞ、聞いてくれました!とばかりに妹がニンマリと笑う。イヤ、その顔コワイ、コワイから!
そのあとマイカが語ったことを要約すると、
1、ジュエリーの形はブレスレットで
2、
3、そのブレスレットには
と言う条件がついた物だった。
特に何?この3番目のヤツ、聞いたことないんだけど…
そしてそれとは別に、誕生日の前祝いとして、今度王都の王立ホールで行われる、とある人気楽団のコンサートに連れて行って欲しい、これが
俺はどっと疲れが出た。
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