⑱オレ、百合漫画の主人公として、活躍しちゃったよ。

主人公として、少しはいい所を見せられたと安心したお昼休みが終って、次の授業は体育だ、なので教室でジャージに着替えると、オレ達はグランドに向かった。(鶴子ちゃんや豆っち、その他の人達の着替える姿を見て、鼻血が出しそうになったことは言うまでもない…)


「さぁー!私の大好きな体育の時間だー!」


「やる気いっぱいだね、豆っち。」


「当たり前だ、私は体育をやるためだけに

 学校に来ていると言っても過言じゃないからな!」


「あはは、豆っちらしいね。」


漫画で見てるから知ってるぞ、豆っちは勉強はとっても苦手だけど

 運動は大得意で、豆っちは帰宅部なのに

 体育で部活してる子達より活躍したりしてたよな。

 

「今日やるのは何なのかな…?」


「なっ何だろうね?」

(漫画ではドッジボールだったけど

 これは言わない方がいいよな…)


「あまり体を動かさないのがいいな…」


「えー!そんなのつまんないじゃんー!」


「だっだって…私、運動苦手だもん…」


これも漫画で見てるから知ってる、鶴子ちゃんは勉強は得意だけど

 体力なくて運動はすごく苦手で、短距離走の時に

 遅い足で、息を切らして、フラフラなりながら、走ってたもんな

 でもそんな姿も可愛くて、オレは好きだったけど。


「雛ちゃんだって、同じだよね…?」


「えっ!あっうん、私も簡単なのがいいな!」


準備運動をしたら、体育の藤崎先生の周りに集まった。(準備運動の時も鶴子ちゃんや豆っちと体が触れるたびに鼻血が出しそうになったことは言うまでもない…)


「今日やるのはドッジボールだ。」


『えっ〜!』


「はいはい、文句言ってないで、クジを引いて

 二組に分かれたら、試合を開始するぞ〜。」


『はーい。』


そして二組に分かれた。


「よかった…雛ちゃんと同じチームになれて…」


「私も嬉しいな。」


「雛ちゃん…」


「でも…あいつは別チームになっちゃったけど…」


「あっ…」


「はっはっは!つるっち!ひよっち!

 敵チームになったからは容赦はしないぞ、覚悟するんだな!」


「あの豆山さんが味方ならこんなに心強いことないよ!」

「頼んだよ、豆山さん!」


「ああ、私が全員、倒してやるよ!」


「強敵すぎるね…」


「あはは、そうだな。」


「それじゃあ、試合開始、ピィ〜!」


先生が笛を吹いて試合が開始された!


「くらえー!」


「きゃっ!」


開始早々、あの豆っちの小柄な体から投げられたとは思えないほど

とんでもない速さのボールが私達のチームの子を直撃して、アウトにした。


「あはは、豆山さんやばすぎ…」

「あれ…当たったら、絶対に痛やつだよね…」


「流石だね、豆山さん!」

「味方で本当によかったよ!」


「へっへっへ、最初の一人目。」


「やっぱり兎姫ちゃん、強すぎだよ…」


「ああ、思ってた以上だよ。」

(実際だとこんなにすごいんだな…)


それからは豆っちの独壇場と言っても過言じゃないくらい

怒涛の勢いで、次々に私達のチームの子達を当てていった!


「ぐわっ!」

「きゃっ!」


そして等々、オレのいるチームで残ったのは部活をしていて運動が得意な小野さんと

もちろんオレと運良く当たらずにいた鶴子ちゃんの3人になった。

でもそんな状況で、小野さんが頑張って、豆っちのチームは豆っち一人になっていた。


「小野、やはり私に立ちはだかるのはおまえか…」


「運動部のプライドをかけて、あんたは必ず私が倒してみせる…」


「ふっ、そうか、ならば全力でやらねば失礼というものだな」


「なんか豆山さん…キャラが変わってない…?」

「だっだよね?」


あはは、漫画でもそうだったけど

豆っちは勝負事になると一切ふざけたりしないタイプだからな。


「私の全力のボールを御見舞してやるよー!」


「来い!」


「そりゃー!」


「ぐあっ!」


豆っちの投げたあまりの速すぎるボールに小野さんは受け止めきれず、アウトになった。


「すごいー!あの小野さんを倒すなんてー!」

「豆山さん、かっこいい!」


「えへへ…照れるぞ…」


「一生の不覚…」


「さぁ、残る相手は運良く残ったひよっち、豆っちだけだな。」


「頑張れー!愛田さん!鏡原さん!」

「豆山さんを倒して、私達の仇をとってー!」


「そっそんなこと言われても無茶だよ〜!」


「後ろに下がってて、鶴子ちゃん。」


「えっ…?」


「君のことは私が絶対に守るから。」


ドキッ。


「雛ちゃん…」


「行くぞー!ひよっち!」


「来い!」


「そりゃー!」


(あんなの取れるわけない!)

「逃げて!雛ちゃん!」


「ぐっ!」


「えっ!?」


「なっ!?」


雛(晴都)は豆っちの投げた速いボールをキャッチした。


「それっ!」


「きゃっ!」


そしてそのまま動揺した豆っちにボールを当てた!


『ワァァァ!』


そこに居た全員が歓喜の声を上げた!


「ごめんね…?豆っち、痛くなかった…?」


「やるじゃんか、豆っちー!」


「ひゃっ。」


豆っちは抱きついた!


「今のいいボールだったよー!」


「そっそうかな。」


「あの豆山さんのボールを取るなんて!」

「それに豆山さんをアウトにするし!」

「今日の愛田さん、いつもと違って、かっこいい!」


「そっそんな…」


「雛ちゃん、私を守ってくれてありがとう…」


「鶴子ちゃん。」


「かっこよかったよ…」


ドキッ。


「あっありがとう…」


試合は雛(晴都)のチームが勝利した。

しかしその後の試合は倒されたことでスイッチが入ったのか

豆っちが最初から本気を出して、雛(晴都)もあっさり倒されたのだった。


(やっぱり豆っち強いってー!)

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